春のワルツ 第17話「許されない愛」
フィリップはチェハを責める。
チェハはウニョンの後を追う。
泣きじゃくっているウニョンを探し当てたのはフィリップだった。フィリップはもはやウニョンの幸せを願う兄のような心境にあるようである。
フィリップはウニョンをヤンスンの店まで送っていく。するとそこへチョンテ親子が現れる。ウニョンを追ってきたチェハがそれを見かける。チェハはチョンテを連れ出して、どうしてウニョンのところへ戻ってきた、と責める。チェハの態度をいぶかるチョンテに、チェハはとうとう自分はイ・スホだ、と告白する。
チェハの言葉を後ろで聞いていたウニョンは呆然とするだけだった。
(第16話より)
NHKガイドから
チェハは、ついに父チョンテに自分が息子のスホだと告げる。チェハの告白を聞いてしまったウニョンは、ショックでその場を後にする。チェハが息子スホだと知り、懐かしむチョンテに対し、チェハは、二度と現れないよう冷たく言い放つ。
チェハはウニョンを訪ねるが、ウニョンは会おうとしない。しかしその晩、互いへの思いに駆られ、チェハはウニョンの家へ、そしてウニョンは雨の中チェハの練習室へ。母の死を招き、突然姿を消したスホに対する憤りと、チェハへの愛に苦しむウニョン。翌日、練習室で顔を合わせた二人だったが、だまされていたという思いに苦しむウニョンは、話を聞いて欲しいと懇願するチェハに対し、激しく怒りをぶつけ別れを告げて出て行く。その様子を見て心配し、後を追ってきたフィリップの前で、ウニョンは倒れてしまう・・・。
父チョンテに息子のスホであることを怒りをぶつけるように告白したチェハ。その姿を後ろでぐうぜん見ることになったウニョンは呆然と立ちすくみ、気持ちに混乱をきたし、その場から立ち去る。フィリップは彼女を追いかけていく。
翌日、フィリップは、どうして言わなかった(イナとの結婚と生い立ち、両方のようだ)、とチェハを責める。チェハは誤解だ、と弁解し、ウニョンに会おうとするが、今はそっとしておいてやれ、と意見する。
彼の意見を聞かず、チェハはウニョンの部屋のドアをたたくが、ウニョンは彼に会おうとしない。
友人からイ・スホがチェハとなった経緯を聞かされたイナは、一計を案じたか、それを誰にもいわないでくれ、と頼み込む。
有名ピアニスト、チェハが実の息子スホであると知ったチョンテはチェハをホテルに訪ねるが、チェハは、二度と自分の前に現れないでくれ、と冷たく追い返す。
「お前に会いたかっただけだ・・・生きていてありがとう」と泣きながら話す父親の言葉が、愛情の媚びのようにしかチェハには映らなかったようである。
実際、息子に対し甘えるようなねっとりした演技を見せるチョンテ役俳優の演技は冴えている。
実の父親チョンテが現れたことに危機感をつのらせたユン・ミョンフンとヒョン・ジスク夫妻は、相談し、息子チェハを守れるのはイナしかいない、と二人の結婚を急がせようとする。
チスクから相談を受けたイナは、知らない振りをするのが一番正しかった、・・・時間をください、と冷静な応接を見せる。一時の狼狽ぶりと違って、チスク夫妻に対し、気持ちの優位感を覚えている様子である。
バスの中ではインタビューを受けた時のチェハの声が流れている。彼の声を聞きながら、ウニョンはスホとの思い出、チェハと過ごしてきたこれまでの時間を思い返していた。そこには紛れもなくあのスホがいたようである。どうして気付かなかったのだろう・・・ウニョンにはチェハとのいろんな場面が去来していた。
あの日も雨だった。雨の降る中、一緒にピアノを弾いたことがあった・・・チェハの練習室へやってきたウニョン。ピアノの前に座ったところへそこへチェハから電話がかかってくる。
「今、どこにいるの?」
「家よ」と答えるウニョン。「あなたは」
「練習室だよ」とチェハ。「ウニョンさん、会いたい。そっちにいっていい」
「だめよ。もう寝るから」
「僕はもう絶対君の手を離さないから」
ウニョンは顔を涙でグシャグシャ濡らす。
母を死なすことになったスホの父。そして自分を捨てて姿を消したスホオッパー。許してはいけない人なのに、その人と知らず愛してしまった自分。お母さん、ごめんなさい、とわびながら泣きじゃくるウニョンだった。
ウニョンは薬指から指輪を外した。彼女はある決意を持ってチェハの練習室にやってきていた。
「愛しのクレメンタイン」を弾こうとするが、うまく弾けない。
そこへチェハがやってきて、ウニョンを背後から助けるようにしてクレメンタインを弾く。
二人にとって思い出の曲だった。
懐かしいメロディにのって、思い出の場面の数々とともに、ウニョンの味わった絶望や恨みまでが同時に胸の奥から現実の前に引っ張り出されようとしていた。
「オッパーッ!」と親愛と恨みつらみをぶつけて飛び出していったウニョンは、何もかも吐き出した喪失感で気を失ってしまった。
フィリップからウニョンが倒れたと連絡を受けたチェハは、養母からウニョンの具合を聞いて病院に駆けつける。ウニョンはチェハを追い返そうとする。チェハはひざまずき、自分の正直な思いをぶつける。ウニョンも正直に思いを返す。彼女のスホへの憎しみや恨みは深かった。
フィリップはチェハに、ウニョンから離れろ、と忠告する。
夜が更けても病院の中庭で考え続けるチェハ。その様子を病室の窓からそっとうかがっているウニョン。
スホへのこれまでの恨みつらみをすべて吐き出した彼女の心の空洞を次に埋めだしているのはどのようなものなのであろう。それは上記の場面から覗き見ることが出来る気もする。
このドラマは父と子、母と子がテーマになっている。
スホとウニョンの関わりを通じて、フィリップにも心境の変化が萌したようだ。彼は母の郷里を訪ねるようで、ウニョンも同行する準備を始めていた。
そこへウニョンの養母の息子がチェハと酒を飲み、したたかに酔って彼を家に連れてくる。
部屋に寝かされたチェハは、ウニョンの名を呼び、魘され続ける。それを耳にしたウニョンはまるで磁石にでも引っ張られるようにチェハの寝床に引き寄せられていく。
チェハの寝言に涙ぐむウニョン。ふと、目を開けたチェハは目の前にいる彼女を思わず抱きしめてしまうのだった。