雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)②




韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)②




韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)①




★★★


 ソ・ユナは塾帰りにセファの訪問を受けた。いつもの帰り道にセファは立っていた。
 ユナは手を振り返した。
 2人はいつものコンビニに立ち寄った。乳酸菌ドリンクを飲みながら話をした。
 ドリンクをストローで飲むユナをセファは思う。
(ここの食べ物が恋しくなりそうだわ)
 セファは手を差し出す。
「じゃあね」
 求めに応じるユナ。
「必ず戻ってね」
「うん」
 握手をすませ行こうとした時、ユナは言う。
「もう行くの?」
 その時、セファは気づく。 
 この子の記憶…(消せなかった?)。
「私が分かるの?」
「当然でしょ」
「あら、そんなはずは…? どうしてかな?」
「何が?」
 セファは椅子に座り直した。
「どう考えても不思議な子ね。私の心の声も聞こえるようだし」
「…」
「どうして?」
「私…夢でも聞こえたわ」
「夢で?」
「うん。(ずっと昔、子供だった頃の私が聞いた…助けて、助けてって叫ぶ声を…)お姉ちゃんは人魚だった…」
「…」
「私もそうよ」
「ユナも?」
「そうよ。パパは人間の漁師でママは人魚だったの。不思議よね」


 ―海の人魚は私に、いろんなことを教えてくれたの。教えられた通りのことを私は漁師に伝えたわ。
「今日は漁に出ないで。嵐がやって来るわ」
「お前にそれがどうしてわかる?」
「なぜか、とにかく分かるの」
「言うことを聞こう。この子はこの前も言い当てたんだ。おかげで命拾いした」
「そういえばそうだった」
 漁師は互いに頷きあった。


「それで? それでその続きは?」
「ずっと幸せに暮らしたわ。その夢を見た時は気分がいいの」
 セファの表情はほころんだ。
「よかった…」
「何が?」
「…昔ばなしって、本当のこともあるのね」
 2人は大人と子供としてしばらく見つめ合った。


★★★


 セファはひとり海辺の砂浜に立った。潮のの匂いを思い切り嗅いだ。ジュンジェと過ごした日々はあっという間だった。
 セファは陸を向き直った。


―この記憶はここへ戻るための道しるべ。そして私だけが覚えている物語。悲恋のまま消えてしまわないように、大切に…心の奥にしまっておくわ。
 セファは履いていた運動靴を砂浜に残した。
 じゃあ、ごきげんよう。
 セファは海に入った。長い旅路に出た。


 ちょうどその頃、ジュンジェは目を覚ました。セファが涙で残した真珠をつまんで眺めた。
 この真珠…いつからこの部屋に? この部屋に入れた女は母親しかいないはずだが…?
 日記にでも書き入れておこう…。





 あっという間に3年の月日が流れた。
 ジュンジェ宅ではセファだけが不在の日々が続いた。そして誰もがセファを忘れ去っていた。
「みんなご飯よ」
 ユランが呼んだ。家族たちがリビングに集まって来る。
「ああ、いい匂いだ。これだから、ここを離れられない」
 ナムドゥはそう言ってカウンター前に腰をおろす。
 ジュンジェに続いてテオもやってくる。
「いったい、いつまでいる気だ?」
 とジュンジェ。
「出ていくと言いながら、もう3年だぞ」
「どこへ行けというの?」とユラン。「いいじゃない。結婚するまでここにいなさい。いいわね」
「母さん、何言ってる?」とジュンジェ。
「お母さん、ありがとう」
 ナムドゥはそう言ってテオを見る。テオは笑みを返す。
「いいだろジュンジェ。俺にもお母さんと呼べる人が出来たんだ」
「僕もだ」とテオ。
「テオもなの?」
 ユランは嬉しそうにし、ジュンジェが食べようとしたおかずをテオに回す。
 ジュンジェはムカムカ。テオはニコニコ。テオのおかずを横取りしたジュンジェの頭を軽く押さえつけるユラン。ジュンジェは苦笑いしておかずを箸でつまむ。テオの皿に載せてやる。


「だけど、ずっとこの席を空けてるよな」
「だから?」とジュンジェ。
「不思議だよ。だれもここに座ろうとしないから、指定席みたいに思えるんだ」
 と笑う。
「特に意味はないさ」とジュンジェ。




 ジュンジェの検察庁前に車で乗り付けた。おろしたてのスーツ姿だった。通門のチェックを受けながら廊下を奥に進んでいく。
 そしてとある部屋をノックする。
 部屋にいたスタッフが訊ねる。
「どちら様?」
 ジュンジェが名乗ろうとすると
「ああ~っ!」
 とひとりが大きな声を出す。
「うちに配属されたロースクールの実習生では?」
 とジュンジェを見た。
「でしょう?」
「はい」とジュンジェは姿勢を正す。「ホ・ジュンジェです。よろしくお願いします」
 礼儀正しく挨拶する。


 
 ジンジュはユランを自宅に招き、取り巻きを呼んだ。ユランと息子の話をした。
「株をお母さんに譲り、ロースクールに通ってるの。そして検事を目指してるのよ」
「まあ、素敵」
「すごいわ~」
 取り巻きはしきりに感心する。
 ユランも気分がよさそうだった。
「ユラン姉さんはその株の半分を売って、家出した青少年のための施設と学校を作ったの」
「すばらしいことだわ」
「ほんとほんと…」
「そうでもないのよ」ユランは謙遜した。「たまたま息子の経験を知り、何かできればと思っただけなんです」
「だってね」とジンジュ。「お姉さんはその気になればCEOにもなれたのよ…」
 ユランは苦笑を浮かべた。
「私に会社経営なんてとても無理よ。そういうのはやれる人がやればいいのよ」
「もう…、ほんとに謙虚な人なんだから」
「…」
「私はそんな姉さんから多くを学んだわ。今だけを見てちゃダメなの。状況は刻々と変わって行くんだから…」
「確かにそうね」
「おかげで私たちも有益な投資ができたし、ああ、もう~、なんて幸運なめぐりあわせかしら」
「…」
「私たちは前世で…実の姉妹だったのかも…」
 ユランはコーヒーカップを握った。
「お代わり? 私が付くってあげようか?」
「いいえ、自分でやるわ」
「姉さん、何言うの? 私がやるから座ってて。お姉さん、マンゴーにする?」
 ユランはジンジュを見て答えた。
「じゃあ、お願いするわ」
 飲み物のカップを集め、歌でも歌いそうなルンルン気分でキッチンに戻っていった。




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