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韓国ドラマ「青い海の伝説」第15話②
韓国ドラマ「青い海の伝説」第15話①
★★★
ナムドゥがジュンジェのところへやってくる。
「大喧嘩をしたのか?」
「別に…」
「シムチョンは何で泣いてるんだ?」
「泣いてる?」
「泣きじゃくってるぞ」
「思うけどさ。本気じゃないならこの辺で終わりに…」
「何を言ってる…終わりになんてできるか。俺はあいつに何もしてやれてないんだぞ」
「お、おいっ。俺に八つ当たりする話かよ」
「…兄貴」
「何だよ」
「俺に会いに来たのはあいつの意思だが、諦めないのは俺の意思だ」
「…何の話だ?」
「だけど、あいつを帰さないといけないのに、そうせずにすむ方法ばかり考えてしまう」
「…?」
「このままじゃ危険かもしれないのに…」
「ああ、まいった」
ジュンジェの訳の分からない話を聞かされ、ナムドゥも自分の気持ちのもどかしさを切り出す。
「さっきからどうも変なんだ。シムチョンに何か貸しがある気がするんだよ。ああ、もう、思い出せそうなのに…」
ジュンジェが後頭部を叩く。
「思い出さなきゃいいだろが」
ナムドゥは前につんのめった。顔をしかめ、叩かれた場所に手をやった。
「叩くなよ。痛いじゃないか!」
★★★
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ジュンジェは部屋に戻ってくる。
天井裏のセファの部屋を見やる。彼女の言葉は聞こえてこない。
セファはジュンジェの言葉を反芻している。
彼は自分のことを何もかも知っていた。
「そうよ。…あの時もだわ」
サウナで湯船に落ちかけた時、あやうくの所で彼が駆けつけて助けてくれた。
「話をうまくつくろってたけど、あの時ももう知っていたのね…ぜんぶ知ってて…知ってたのにどうして?」
セファは身体を起こす。ベッドから抜け出す。出入り口の戸を開けて、ジュンジェの部屋を見下ろす。
ジュンジェはそこに立っていた。じっとこっちを見上げていた。
セファは黙って下におりる。ジュンジェの前に立つ。
「聞きたいことがあるわ」
「何だ?」
「実は今日、ナムドゥに正体がバレたの。そしたら私の弱みに付け込んで稼ごうとしてた」
「…」
「だから彼の記憶を消した」
「…」
「あなたはなぜ?」
「…」
「私が嫌じゃなかった? 怖くはなかったの?」
「それが重要なことか?」
「ええ。私にとっては」
「そうか。…そんなことは考えなかった」
「…」
「お前は最初から変わってたから…今はその謎が解けただけだ」
「よかったわ。そう思ってくれててよかったわ」
「…」
「気持ちはだいぶ軽くなったかも…いつバレるかと不安でならなかったから。もしバレたら嫌われると思ってたから」
「…俺は今も不安だ――繰り返されることが」
「繰り返されるって…何が?」
ジュンジェはセファを連れて出かけた。
「なぜここに?」
「知りたいんだろ?」
先を歩きながらジュンジェは答える。
「それを教えてやる。
ジュンジェがセファを連れてきた場所は、”難破船遺物 展示会”だった。
ジュンジェはセファを連れて”キム・タムリョン”の肖像画の前に立った。
肖像画を眺めているうち、セファは”あれ?”っと声を漏らした。
「俺の方が―二枚目だろ」
ジュンジェと見比べてセファは訊ねる。
「この人、誰なの?」
しばし考えて、ジュンジェは答えた。
「人魚を愛した男だ。大昔に…」
ジュンジェはセファを見た。セファはジュンジェを見つめ返す。
セファはジュンジェを見つめ、また肖像画に見入る。見比べるようにジュンジェを見つめなおす。
「男は幼いころ海で溺れ…それを人魚が助けた。二人は共に歳月を重ね、愛し合っていたが、男は他の女と結婚した。初夜に家を抜け出した男は―馬を走らせた。命がけで海に入った。人魚に会うために…人魚は男の幸せを祈り、自分に関する記憶を消した。それから時が流れ、成長した2人は再会した。そして彼らは再び愛し合った…」
「それから…それからどうなったの?」
ジュンジェはその先を話せない。目を潤ませてセファを見つめた。
「何が繰り返されるの?」
「その二人は」
ジュンジェは苦い過去を封印して口を開く。
つかの間だったが幸せだった日々を思い起こして…。
―― 柿を二つ握ってタムリョンが部屋に入って来る。
「そなたの好きな柿だ」
「外は雪でしょう?」
「ああ」
タムリョンはセファの手を引く。開き戸を押し、降りしきる雪をセファに見せる。雪を一緒に眺めながら二人は幸せに浸った。
セファを見ながらジュンジェは思った。
(あの時のタムリョンは俺だった。そしてシムチョンお前もたぶん…)
ジュンジェは答えた。
「二人は…幸せにくらしたよ」
「…」
「病気もせず、怪我もせず、子宝にも恵まれてな」
ほっとした顔でセファは頷く。
「末永く幸せに暮らしたんだ」
「そうだったの」
「ああ、そうだ―俺が見た二人の結末だ」
セファは伝う涙をそっと拭う。
「なぜか涙が出ちゃう。どうしてなのかな…?」
ジュンジェはセファの手を引く。
「行くところがある」
「大喧嘩をしたのか?」
「別に…」
「シムチョンは何で泣いてるんだ?」
「泣いてる?」
「泣きじゃくってるぞ」
「思うけどさ。本気じゃないならこの辺で終わりに…」
「何を言ってる…終わりになんてできるか。俺はあいつに何もしてやれてないんだぞ」
「お、おいっ。俺に八つ当たりする話かよ」
「…兄貴」
「何だよ」
「俺に会いに来たのはあいつの意思だが、諦めないのは俺の意思だ」
「…何の話だ?」
「だけど、あいつを帰さないといけないのに、そうせずにすむ方法ばかり考えてしまう」
「…?」
「このままじゃ危険かもしれないのに…」
「ああ、まいった」
ジュンジェの訳の分からない話を聞かされ、ナムドゥも自分の気持ちのもどかしさを切り出す。
「さっきからどうも変なんだ。シムチョンに何か貸しがある気がするんだよ。ああ、もう、思い出せそうなのに…」
ジュンジェが後頭部を叩く。
「思い出さなきゃいいだろが」
ナムドゥは前につんのめった。顔をしかめ、叩かれた場所に手をやった。
「叩くなよ。痛いじゃないか!」
★★★
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ジュンジェは部屋に戻ってくる。
天井裏のセファの部屋を見やる。彼女の言葉は聞こえてこない。
セファはジュンジェの言葉を反芻している。
彼は自分のことを何もかも知っていた。
「そうよ。…あの時もだわ」
サウナで湯船に落ちかけた時、あやうくの所で彼が駆けつけて助けてくれた。
「話をうまくつくろってたけど、あの時ももう知っていたのね…ぜんぶ知ってて…知ってたのにどうして?」
セファは身体を起こす。ベッドから抜け出す。出入り口の戸を開けて、ジュンジェの部屋を見下ろす。
ジュンジェはそこに立っていた。じっとこっちを見上げていた。
セファは黙って下におりる。ジュンジェの前に立つ。
「聞きたいことがあるわ」
「何だ?」
「実は今日、ナムドゥに正体がバレたの。そしたら私の弱みに付け込んで稼ごうとしてた」
「…」
「だから彼の記憶を消した」
「…」
「あなたはなぜ?」
「…」
「私が嫌じゃなかった? 怖くはなかったの?」
「それが重要なことか?」
「ええ。私にとっては」
「そうか。…そんなことは考えなかった」
「…」
「お前は最初から変わってたから…今はその謎が解けただけだ」
「よかったわ。そう思ってくれててよかったわ」
「…」
「気持ちはだいぶ軽くなったかも…いつバレるかと不安でならなかったから。もしバレたら嫌われると思ってたから」
「…俺は今も不安だ――繰り返されることが」
「繰り返されるって…何が?」
ジュンジェはセファを連れて出かけた。
「なぜここに?」
「知りたいんだろ?」
先を歩きながらジュンジェは答える。
「それを教えてやる。
ジュンジェがセファを連れてきた場所は、”難破船遺物 展示会”だった。
ジュンジェはセファを連れて”キム・タムリョン”の肖像画の前に立った。
肖像画を眺めているうち、セファは”あれ?”っと声を漏らした。
「俺の方が―二枚目だろ」
ジュンジェと見比べてセファは訊ねる。
「この人、誰なの?」
しばし考えて、ジュンジェは答えた。
「人魚を愛した男だ。大昔に…」
ジュンジェはセファを見た。セファはジュンジェを見つめ返す。
セファはジュンジェを見つめ、また肖像画に見入る。見比べるようにジュンジェを見つめなおす。
「男は幼いころ海で溺れ…それを人魚が助けた。二人は共に歳月を重ね、愛し合っていたが、男は他の女と結婚した。初夜に家を抜け出した男は―馬を走らせた。命がけで海に入った。人魚に会うために…人魚は男の幸せを祈り、自分に関する記憶を消した。それから時が流れ、成長した2人は再会した。そして彼らは再び愛し合った…」
「それから…それからどうなったの?」
ジュンジェはその先を話せない。目を潤ませてセファを見つめた。
「何が繰り返されるの?」
「その二人は」
ジュンジェは苦い過去を封印して口を開く。
つかの間だったが幸せだった日々を思い起こして…。
―― 柿を二つ握ってタムリョンが部屋に入って来る。
「そなたの好きな柿だ」
「外は雪でしょう?」
「ああ」
タムリョンはセファの手を引く。開き戸を押し、降りしきる雪をセファに見せる。雪を一緒に眺めながら二人は幸せに浸った。
セファを見ながらジュンジェは思った。
(あの時のタムリョンは俺だった。そしてシムチョンお前もたぶん…)
ジュンジェは答えた。
「二人は…幸せにくらしたよ」
「…」
「病気もせず、怪我もせず、子宝にも恵まれてな」
ほっとした顔でセファは頷く。
「末永く幸せに暮らしたんだ」
「そうだったの」
「ああ、そうだ―俺が見た二人の結末だ」
セファは伝う涙をそっと拭う。
「なぜか涙が出ちゃう。どうしてなのかな…?」
ジュンジェはセファの手を引く。
「行くところがある」