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韓国ドラマ「プレーヤー」(連載35)
☆主なキャスト&登場人物
○ソン・スンホン➡(カン・ハリ(チェ・スヒョク))
○クリスタル➡(チャ・アリョン)
○イ・シオン➡(イム・ビョンミン)
○テ・ウォンソク➡(ト・ジヌン)
○キム・ウォネ➡(チャン・インギュ)
「プレーヤー」第3話→(検事と手を組む詐欺軍団)③
★★★
出ていく時、”第31期司法修習生修了式”の額縁写真が目に留まって足を止めた。そこには懐かしい2人の人物が収まっていた。
一瞬だが、ハリの表情は変化する。
「教えてやるよ」
ハリは薄ら笑いを浮かべた。
「あなたたちが捕まえられない理由を」
ハリはチャン検事を指さした。
「道徳心と名分を捨てられないからだ。あいつらにそんなものはない」
ハリは頭に人差し指をあてた。
「覚えておいて」
「だから―法を犯して同じことをしろと言うのか?!」
チャン検事はハリに空箱を投げつけた。
ハリは振り返った。
「法だと?」
チャン検事の前に歩き戻った。
「法に何ができる。誰のためだ。悪人を捕まえるための法だろ。だのに、何で出所後も奴らは普通に暮らしてるんだ。自分たちを有利にする裁判なんかをなぜ…!」
ハリの気迫に押され、チャン検事は言葉を挟めない。
話の無意味さから、ハリもこの先の言葉を見失った。後に出て来るのはため息だけだった。…
2人はしばし黙り合った。
やがてハリはチャン検事の胸を指でついた。
「法ならひとりで守れ」
名刺を取り出した。
「気が変わったら連絡を」
チャン検事のチケットポケットに押し込んで立ち去った。
★★★
テレビは収賄容疑で実刑を受けた元検事長のニュースを流した。
執行猶予付きで釈放、収賄容疑の一部を無罪との認定付きだった。
― …課された罰金と追徴金は1500万ウォンと989万ウォンです
国民はテレビやラジオの他、携帯などでそれらのニュースを一斉に見聞きした。
― チョ社長から無料で株を受領した容疑で、クォン議員は懲役3年、罰金5億ウォン、追徴金3億ウォンを宣告され、一部の罪は認めたものの180億の差益を生んだ株の取得過程は無罪との判決でした。
チャン検事はそれらのニュースに耳にしながら街中の居酒屋で苦い酒を飲んだ。
ハリもまた苦い酒をちびちびと飲みながら、チャン検事の返事にひそかな期待を向けていた。
大きな仕事をひとつやり遂げ、ビョンミンはご機嫌だった。食事の準備で包丁を振るう手には力がこもり、口笛も流れ出る。
「ジャガイモをひと握り…それから玉ねぎもひと握り~、野菜もひと握り~、肉は食べたいだけ入れて…ハリか?」
後ろを振り返る。
「名簿は気に入ったか?」
ハリは赤いスーツ姿で現れ、ノーコメントで腰をおろした。
「また気に入らないのか」
「…カレーか? いい匂いだな」
「まだ火にかけてない。このままだと飢え死にするよ」
「…”急がば回れ”だ。待っているのさ」
ビョンミンはその場でひとまわりした。
「おい、回ったぞ。急いでるからな。どうだ?」
「待ってろ。そのうち、面白いことが起こる」
ハリはリモコンを握り、テレビをつけた。
”華陽(ファヤン)物産のナ社長嫌疑なし”
の字幕でニュースが流れている。
― 国策事業入札にまつわる贈賄と違法賭博の容疑を受けた華陽(ファヤン)物産のナ社長が”嫌疑なし”とされました。検察は疑いを立証する根拠が足りないと判断し、控訴を取り下げました。
検察側を記者会見を開いてその説明を行った。
― 裏金を横領したという事実を裏付け出来なかったため、本件は嫌疑なしで捜査を終了します。
検察陣は一礼して退席する。
「それで終わらせるんですか?」
記者たちからは口々に不満の声が飛んだ。
釈放されて車に向かうナ社長を報道陣が取り囲んだ。カメラのフラッシュが炊かれ、質問が次々に飛んだ。
ナ社長は苦々しい顔で車に乗り込んだ。
「社長、お疲れさまでした」
配下の者たちは車に乗り込んだナ社長の労をねぎらう。
「お義父さんは?」
「LA出張から明日、帰国予定です」
「家内は家に?」
「札幌です」
ナ社長はふんぞり返った姿で呟く。
「…グローバルな父娘だ」
車がしばらく走ったところで言った。
「車を止めろ」
車は右に寄って停車した。
ナ社長はビンの容器を握っていた。
「これは何だ?」
配下が答える。
「いい香りなので特別に…」
「マニュアルは?」
「すみません」
「読んだのか?」
「はい」
「それで?」
「片づけます」
「いや、片付けなくていい」
ナ社長はビンを運転手に向ける。
「飲め」
「えっ?」
「いい香りなんだろ?」
運転手は答えられない。手にすることもできない。
「嫌か?」
「いいえ」
彼はビンを手にした。ためらう彼をナ社長は急かす。
「さっさと飲め」
彼はやむなく飲み始める。
「全部飲めよ」
言われた通り飲んで彼は車の窓をあけた。道路にゲーゲー吐いた。仲間は黙ってそれを見ているしかなかった。
ナ社長はそんな彼に文句を並べた。
「バカなやつめ…」
次の瞬間、腕を伸ばして運転手を打っ叩いた。
「ふざけるなよ。今度やったら殺すぞ」
最後には蹴りを入れた。
まだ嘔吐に見舞われている運転手をせかした。
「早く運転しろ!」
チャン検事は記者会見に臨んだ上司の前に立った。
「終わらせるんですか?」
カン・ソンウは配下を先に行かせた。
「なぜ、捜査終了なんですか? また何をするか分かってるのに…」
「だから―確かな証拠を用意して起訴しないといけないだろ」
「罪に問えないと? 今まで相当の金を騙し取ってきた」
カン・ソンウは首を振った。
「証拠がないだろ。推定無罪の法則だ」
「証拠を隠滅したんじゃないですか?」
「動かぬ証拠が必要なんだ。お前は今回の件を報告しなかった。それなのに俺に文句を言えるのか?」
カン・ソンウはチャン検事の首からかかった身分証を握った。
「最後の警告だ。左遷されたくないなら気を引き締めろ」
身分証を投げつけるようにした。せせら笑うように言った。
「チェ・ヒョンギ派だからか、仕事ができないな」
そのまま行こうとする。
「何といいました?」
カン・ソンウは足を止める。チャン検事を振り返る。
「何だ?」
「今、何と? その汚い口でヒョンギさんの名前を呼ぶな」
カン・ソンウはチャン検事に詰め寄った。
「ふざけるな」
手にしたファイルでチャン検事の頭を叩いた。
「本当のことだろ。チュ・ウォンギに金をもらい、海外に流したんだろ」
「…」
「あっ、チュ・ウォンギだけじゃなかったな」
「次長!」
「こいつ、誰に向かって」
チャン検事は振り上げたカン・ソンウの手を掴んだ。
「インギュ!」
その時、背後から声がかかった。立っていたのはカン・ソンウと同格の次長検事、ユ・ギフンだった。
「もういいでしょう。僕が教育します」
ユ・ギフンはチャン検事を促した。
「ついて来い」