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チョルスたちは寝床についた。
アンナも自分の寝床に入った。
すごく気分がよかった。こんなにいい気分は久しぶりだ。
「記憶が戻っても…この家から出られそうにないわ。暖かすぎて…」
暖かい寝床で、アンナは気持ちよく眠りについた。
ビリーの脳裏にはアンナの幸せそうな表情が焼きついていた。
「僕はもう逃げない」
ビリーは言った。
「…」
「アンナを連れ戻すつもりだ」
コン室長は思わずビリーを見た。
「社長!」
予想外の言葉だった。
「コン室長。明日、チャン・チョルスを釜山に送れ」
翌日、コン室長はチョルスの事務所を訪れた。チョルスに釜山の現場をぜひともお願いしたいと頭を下げた。
人のいいチョルスは快諾した。
「そこまでおっしゃるなら喜んでお引き受けします」
コン室長はチョルスの手を取った。
「ありがとう。よろしくお願いします」
「いいえ。そしたら準備がすみ次第、出発します」
「ええ、現場には話しておきました。一週間、頑張ってください」
チョルスがお茶を飲む間、コン室長は満足そうにメガネの縁を押し上げた。
倉庫の戸締りをすませてドックは言った。
「うちの母さんが”家のことは任せろ”ってさ。だから大丈夫だ」
「そうか? 出かける準備をしよう」
チョルスは車のエンジンをかけた。
ユギョンの勤めもスタートしていた。
「ゴルフ大会の広報企画書を社長に届けて」
「はい。どこに行けば」
「たぶん、ヴィラ棟にいらっしゃるはず」
「では行ってきます」
「ご苦労でした」
ビリーはチョルスに関するコン室長の報告を受けていた。
「もう、何の問題もないのにどうして奥様を連れ戻すのですか?」
「やっと答えが出たんだ。必ず連れて帰る」
「どう考えても危険な選択です。今まで無視し続けてきたことを隠し通せますか?」
「だからチャン・チョルスを引き離した。アンナとやり直したいんだ。バレさえしなければ…自分はやり直せる気がする」
ユギョンはコン室長のところにやってきた。
「広報室のキム代理からです」
企画書を差し出す。
「そうですか。わかりました」
行こうとするユギョンをコン室長は呼び止める。
「広報室に届けてほしいものがある。ちょっと入って」
コン室長は企画書を持って奥に引っ込んだ。言われたままユギョンは部屋に上がりこんだ。
部屋の様子を感心してみて回っているうち、ビリーが出てきた。企画書を手にしている。ユギョンは頭を下げた。
「広報室の者です」
ビリーはユギョンをちらと見てコン室長を呼んだ。
コン室長が出てくる。
「チャン・チョルスは出発したか?」
「はい、確認します」
二人のやりとりにユギョンは驚いた。
企画書をコン室長に戻すと何も言わずユギョンの横を通り抜けていった。
ビリーが歩き去るとユギョンは何事もなかったように部屋の様子を見て回りだす。
この時、大きな額縁写真がユギョンの目に止まった。ユギョンの視線は見覚えのある女の顔に釘付けとなった。
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