帰宅して海を眺めながらビリーは思案に暮れた。
「あんなに幸せそうなのに、不幸にしてしまったらどうなる？ 笑う姿を見ていたら、僕は君を連れ戻す自信を持てない」
沈み込んでいる社長を見てユギョンはため息をついた。
「早く連れ戻せばいいのに何をぐずぐずしてるのよ。終わらせるなら早い方がいいのに。その方がチョルスさんだって傷つかないですむわ」
工事の請け負った会社の社長からチョルスは仕事ぶりを誉められていた。
「経験豊かな方で安心しました。よろしく」
握手を交わす。
「ありがとうございます。ところでパク社長とのご関係は？」
「誰です？」
「パク社長に頼まれてやって来たんです」
「何のことです？ 投資家のコネで来たのでは？」
「はい？」
「私はそう聞いてますよ。自分の友人に任せるつもりが――お宅のコネに負けたんですよ」
チョルスは唖然となった。首をかしげた。ぜんぜん話が違うのだ。
「”コネ”だって？ 早朝サッカー会のことか？」
ドックは母親に電話している。
「母さん、いいよ。彼女とは別れたんだ。だからいいって」
ケジュはヒョジュンを気に入っていた。引き下がらずわめきたてた。
「何言ってるの。どうかしてるわ。小学校の先生なら嫁として上々じゃない。戻って何とかしなさい」
「ああ、もう…いいから切るよ」
ドックは携帯を閉じた。不満を並べた。
「まったく～、牛１００頭が目当てだった女だぞ」
ため息が出る。
そこにチョルスがやってくる。
「パク社長はホテルやってると言ってたな。そこはどこだ？」
「いや、俺は知らないけど」
「そいつはコネまで使って仕事をくれたらしい」
「親しいわけでもないのにどうしてだ？」
「そうだよな」
チョルスは首をかしげる。
「チャン社長！」
誰かの呼ぶ声がした。
チョルスは二つ返事でコン室長の横を通りぬけていった。
「社長…」
柱の陰に身を隠し、コン室長はつぶやいた。
「チャン・チョルスは私がしっかり見張ります」
ジュンソクたちはテレビゲームをやっている。
グンソクは兄のジュンソクに言った。
「僕、１００人以上勝ち抜いたよ」
「三人にしか勝ってないくせに」とユンソク。
「グンソクは何でも”１００”だろ」と説明してやるジュンソク。
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