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韓国ドラマ「病院船」から(連載203)
「病院船」第19話➡執刀医の不在⑤
★★★
2人はインジョンをベッドに運んだ。
報告を受け、カン・ドンジュンが駆けつけて来た。
「何の患者だ?」
「先日、病院船で出産したファンさんです」
「ああ、この人か…」
「呼吸と脈拍は正常ですが」
「ですが、何だ?」
「熱があります」
「熱を測らせてもらいますよ」
ドンジュンは耳元に体温計を伸ばした。
「何だ! 38度5分か―血圧は?」
「85の60です」と看護師。
「低いな…とりあえず、輸液をして、アルコール清拭で解熱をかけよう」
看護師に指示を出してドンジュンとヒョンはそこを離れた。
「今日は大忙しだな、ほんと」
ドンジュンは笑い声を立てる。気分がほぐれてるのは、一時的にせよ、ドゥソングループのプレッシャーから解放されているからだった。
ヒョンは訊ねた。
「救急室に平穏な日がありますか?」
「ないよな…」ドンジュンはヒョンを見た。「ソン先生の成功を願うが、…何が成功だか分からないよ。手術がうまくいっても、患者に訴えられたりするんだから」
ドンジュンはファン・インジョンのベッドを見やり、行ってしまった。
ヒョンは立ち止まって彼女のベッドに目をやり続けた。
★★★
事務長の元妻は麻酔で眠らされ、ゴウンも移植提供者として手術台に横たわった。ウンジェを見て”サムズアップ”のサインを送った。
ウンジェはクスっと笑いをもらす。
ウンジェと並んで手を洗いながらミョン・セジュンは言った。
「君ならやれるさ」
「どうだろう」
「怖いのか」
「いつもよ」
「でも、やるしかない」
「外科医の宿命よ」
セジュンはウンジェを見た。
「頑張れ。終わったら手伝う」
セジュンを見つめ返してウンジェは言った。
「ピョさんをお願いね」
頷いてセジュンは先にそこを離れた。
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「何だと!」
理学療法室で身体をほぐしていたチャン会長は起き上がった。診察台の上で胡坐になった。
「手術をするだと? いったい誰が許可したんだ!」
「それは当然…」
秘書は答えた。
「当然…?」
「…」
「普通に答えればいいだろ。人をバカにするな」
「すみません。すぐに策を講じます。会長は指圧の続きを」
チャン会長はタオルで秘書の胸をしばいた。
「生意気だぞ。私に指図するな。私をバカにするんじゃない」
そこに別の秘書が走りこんできた。
「会長…」
「その顔は何だ」
「キム院長が来ました」
キム・スグォンはチャン会長の前に立った。一礼した。
「聞いたよ。面白いことをしてくれたね」
「いいえ。喜ばしいことです」
スグォンはすがすがしい表情で応えた。
「…」
「医者にとって患者を救う以上の喜びはありません」
「…」
スグォンは持ってきた書類を診察台の上に置いた。
「何だ、これは…」
「第一病院で保管していた覚書の原本です」
「それで?」
チャン会長は怪訝そうにする。
「ドゥソンと巨済第一病院が締結したMOUを放棄します」
「…後が怖いと思わないか?」
スグォンは淡々とした表情で言った。
「覚書は会長がご自身で破りますか? それとも私の方で」
それを聞いてチャン会長から不遜な態度が消えた。
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キム・スグォンは覚書を手にしたまま外に出てきた。
夜空を仰いでから封筒から覚書を取り出した。少し眺めて封筒ごと力任せに破いた。ズタズタ引き裂いて上に放り投げた。
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チャン会長は契約を白紙に戻されて怒りが収まらない。
「思い知らせてやるんだ。ソン・ウンジェも第一病院も叩き潰せ」
「はい」と秘書。「記者会見を手配済みです」
「ネタは何だ?」
「些細な問題ですが、うまく扱えば不道徳な病院に仕立てられます」
チャン会長は横を向いた。
「生意気なソン・ウンジェは放っておくのか?」
「もちろん思うようにはさせません。ファンさんに会見をさせます」
チャン会長は秘書を見直す。
「生命維持装置につながれた乳児の姿も流せば、世間の非難が高まるでしょう」
秘書のアイデアにチャン会長の怒りは和らいだ。
少しばかり名を売っても田舎の医師に過ぎないソン・ウンジェに言いたいことを言われ、腹の虫が収まらないでいた。世間の非難にさらされ、行く当てのなくなった彼女を見るのも悪くない…。
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ウンジェによる移植手術は始まっていた。