韓国ドラマ「青い海の伝説」第8話⑬
Korean drama "Legend of the Blue Sea" Episode 8 ⑬
第8話⑫
セファは彼の言葉を思い出して女に伝えた。
「うれし泣きしたのはたった一度だったそうよ」
女はセファを見つめた。
では、この人も海からやってきた…?
「あなたとの日々が幸せだったのよ」
「…」
「その時の涙を残しておいたのね」
女は宝石に目をやった。真珠は彼の血と涙の結晶で奥深い光彩を放っていた。
★★★
セファとキム・ヘジンはユ・ジョンフンの務めた職場を後にした。人気のなくなった河沿いのベンチに腰をおろして話をした。
河面は暗く沈み、対岸にはネオンの花が咲いている。
「彼に何でも話せる友達がいたなんて…私には隠し事ばかりだったのに」
「だから別れたの?」
「住む世界が違うからよ。だから隠し事ばかりで」
「…」
「だからそれが私たちの関係を蝕んでいった。私たちはお互いを傷つけあったの」
「…」
「住む世界が違う人たちは一緒にいられないのよ」
「どうしてそう思うの?」
「傷つけ合うことを避けられないのに…一緒にいられると思う?」
「でも、彼は後悔していなかったわ」
「…」
「あなたを想い続け、近づく死と向き合いながらも――後悔してないと言ってた…」
キム・ヘジンはセファを見た。
「正体を知られたのにあなたの記憶を消さなかった。幸せな思い出を消したくなかったそうよ」
「…」
「自分との思い出を糧にしてほしいとも…」
キム・ヘジンはセファを話を聞いているうち、次第に居たたまらなくなった。こみ上げる涙を隠して立ち上がった。
「私、もう行きます」
そう告げて歩き出す。歩を進めるごとに彼女の表情はクシャクシャに崩れていく。ついに歩けなくなって蹲る。小箱を胸に抱きしめながら彼女は泣き続けた。
セファも突然胸を押さえる。締め付けるような痛みにセファの表情も歪んだ。
ジュンジェはナム部長との待ち合わせの場所に車でやってきた。
ひどく静かな場所だった。
用件を告げないメールといい、やっぱりどこか変だ。ジュンジェは自分を尾行した車の男を思い出す。あれは警察官に扮していた男と同一人物なのか?
ジュンジェは携帯を取り出す。電話を発信する。近くにいるなら呼び続けるベルなり音楽なりが鳴るはずだった。
ナム部長の携帯が近くで鳴り続けている。ベルの鳴り続ける方向にジュンジェは注意深く近づいていく。
しかし、たどり着いてみるとそこには誰もいない。ジュンジェは大きく息を吐く。その時、自分の携帯が鳴りだす。
ジュンジェはぎょっとなる。
見るとセファからの電話だった。
「ああ、俺だ」
「今、どこ?
「どうした? 元気がないな。具合でも悪いのか?」
「うん、そうみたい」
セファの話に耳を傾けるジュンジェの後ろを人の影が浮かんだ。
「漢江沿いで何をしてたんだ? すぐ行くから待ってろ」
携帯を切って振り向くとすぐ前に人が立っている。帽子の男だった。
「やっぱりお前か」
「…」
「俺を尾行し、警察官のフリをしてた男だな?」
男は薄笑いを浮かべている。
「なぜ、おじさんの携帯を持ってる?」
「質問の多い奴だな」
「暇じゃないんだ。人を待たせてるから早く帰りたい。さっさと答えろ」
「お前は帰れない」
男はヌンチャクを手にしていた。いきなり襲い掛かって来る。
攻撃をかわしたジュンジェは用意してきたスプレーを男の顔に吹き付けた。目をやられてひるんだ男をすかさず金属の柵に押さえつける。男の顔をライターで照らす。相手の顔を観察してジュンジェは驚く。
夢の中に出てきた領主の男とそっくりだったからだ。
ジュンジェは男から離れた。冷静さを失った所に男のパンチが飛んできた。パンチを顔面にくらったジュンジェは劣勢に立たされた。床に這い蹲り、刃物を手にした男にやられそうになった時、近くでいっせいにクラクションが鳴り響いた。
警察が来たのか?
男の手は止まった。その隙を突いてジュンジェは男を投げ飛ばす。
起き上がった男は急いで逃げ去った。
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