これまで、公共工事の一部を除き、一括請負契約が主でしたが、発注者を取り巻く経済環境が激変し、コスト意識が高まる中で専門工事業者の技術力の上昇もあり、分離発注やCM方式などへのニーズも発生してきました。
こうした多様な建設生産・管理システムの形成は、努力し、伸びようとする私どものようなマジメな専門工事業者にとっては、活躍の場を増やし、大きなビジネスチャンスの到来ともいえます。・・・プラス発想ですネ♪
一方、国や地方自治体等は、私共、中小企業者への官公需の受注機会を増大するために、『官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律』に基づいて、中小企業者向けの官公需契約目標や目標達成のための措置を内容とする『中小企業者に関する国等の契約の方針』を毎年度閣議決定したものを、公表してくれています。
ここに分離・分割発注に係る適切成功事例として「発注機関が分離・分割発注を的確に運用し、より活用していくための効率的な分離・分割発注事例集:中小企業庁事業環境部取引課レポート」より「分離分割発注方式の効果」の具体的実例の各項目をピックアップしてみました。
発注ご担当者様におかれましては是非下記事例をご参考いただき、地元業者の育成、中小専門工事業者の受注機会の拡大にご協力賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
国立大学法人信州大学宿舎建設工事
(1)職別専門工事業者と直接契約することで、施工にあたって直接技術者と交渉することができ、それぞれの請負契約者の持つ数々のノウハウが発揮され、施工の信頼性と品質が確保された。また、適切な規模に分離することで中小企業者の受注の機会の増大が図られた。
(2)適正な規模の分離発注することで、各職別毎で適正な競争が発揮されるとともに、全ての工種を一括発注した場合と比べて下請等にかかる諸経費を低く抑えることが可能となった。
中瀬川南地区ほ場整備工事
(1)適切な規模に分割したことにより、漁業組合との協議により設定された漁期外で工事の施工を行うことができ、また、施工品質の均一性を保つことができた。
(2)工事の完了後、地盤沈下等が生じる場合があるが、地元業者が受注したことによって、メンテナンス等に速やかな対応が可能となった。
千曲川流域下水道管路施設工事
(1)コスト構成等発注プロセスの透明化
4工程に分離発注したことにより、一括発注では分かりにくいコスト構成や業者選定等発注プロセスが透明化された。また、CMにより品質管理や工程管理をスムーズに行うことができた。
(2)地元業者への受注機会の増加
大型の工事を分離したことにより、県内のゼネコン及び専門工事業者が、下請けではなく県と直接契約をすることができ、受注機会を増やすことができた。
横浜植物防疫所高精度検定温室建設工事
(1)適正な規模の分離発注による指名競争入札を行った場合は、各工種毎で適正なる競争が発揮され、全ての工種を一括発注した場合の一般的な落札率と比べて低く抑えることが可能となると推測される。
(2)分離発注を行った結果、品質面において、それぞれの請負契約者の持つ数々のノウハウが発揮され、一括発注した場合と比べても遜色がなく、結果的に、中小企業者の受注の機会の増大等、国が定める閣議決定の方針に沿うことができた。
秋田県二ツ井町総合体育館建設工事
(1)価格
官公庁基準の単価による一括発注の場合の見積りが約17.8 億円であるのに対して、(中略)一括発注に比べれば約25%のコストを縮減することができたこととなる。
(2)発注プロセスとコストの透明化
22 工種に分離発注し、指名競争入札によって専門工事業者と町が直接契約したため、ゼネコンへの一括発注では分かりにくい発注プロセス及び各工種のコストが透明化された。
(3)専門工事業者の意欲と技術力の向上
ゼネコンの下請けではなく、町との直接契約を通じて契約をすることが、今回工事を受注した専門工事業者にとっての自立心や意欲の向上につながり、技術経験の蓄積が高まった。
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