故岡崎久彦氏 「エレガントなサムライだった…」
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千葉「正論」懇話会で熱弁をふるった岡崎久彦・元駐タイ大使=平成20年9月26日(佐藤修撮影)
エレガントなサムライ-それが岡崎さんだった。社交の場ではほほえみを浮かべながら、歩み寄ってくる相手の話にじっくりと耳を傾け、穏やかな口調で的確なコメントを返す。「大使の社交とはかくあるべし」と思わせる振る舞いだった。
安倍晋三さんが自民党総裁に返り咲いた直後のことだ。評論家の金美齢さんのお宅でお祝いのパーティーが開かれたとき、歩み寄ってきた安倍さんを笑顔で迎え、ゆったりと談笑する姿が強く印象に残っている。岡崎さんには、周りの者が教えを請いたくなるようなオーラが確かにあった。
民主党が政権の座にあったとき、同党若手国会議員の要請でキッシンジャーの『外交』全31章を読み解く勉強会の講師を務めた。20世紀の米国外交を知る上で欠かせぬ文献の監訳者である岡崎さんが直々に講義するとあって、自民党からも多数の若手が参加した。
月1回のペースで開かれた勉強会は8カ月続き、講義録はただちに『二十一世紀をいかに生き抜くか』というタイトルでPHP研究所から出版された。同書は外交戦略を考える者にとって必読の書である。
岡崎さんというと知性の人という印象が強いが、日本を危うくするものに対しては、いかなる批判も恐れることなく、言論で戦いを挑む気迫を持っていた。
そのよい例が遊就館の反米展示を批判した平成18年8月24日の産経新聞「正論」欄の文章である。
《戦時経済により、アメリカが不況の影響から最終的に脱却したことは客観的な事実であろうが、それを意図的にやったなどという史観に対しては、私はまさに(米保守派論客のジョージ・)ウイル氏が使ったと同じような表現-歴史判断として未熟、一方的な、安っぽく、知性のモラルを欠いた、等々の表現-しか使いようがない》と、米国が不況脱却のために資源の乏しい日本を経済制裁によって戦争に追い込み、これにより米経済は回復したという史観を批判した。
その上で、《私は遊就館が、問題の個所を撤去するよう求める…この安っぽい歴史観は靖国の尊厳を傷つけるものである。私は真剣である。この展示を続けるならば、私は靖国をかばえなくなるとまであえて言う》と強い覚悟を示した。
この文章が保守陣営、特に反米保守といわれる人々に与えた衝撃は計り知れなかった。(桑原聡)
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千葉「正論」懇話会で熱弁をふるった岡崎久彦・元駐タイ大使=平成20年9月26日(佐藤修撮影)
エレガントなサムライ-それが岡崎さんだった。社交の場ではほほえみを浮かべながら、歩み寄ってくる相手の話にじっくりと耳を傾け、穏やかな口調で的確なコメントを返す。「大使の社交とはかくあるべし」と思わせる振る舞いだった。
安倍晋三さんが自民党総裁に返り咲いた直後のことだ。評論家の金美齢さんのお宅でお祝いのパーティーが開かれたとき、歩み寄ってきた安倍さんを笑顔で迎え、ゆったりと談笑する姿が強く印象に残っている。岡崎さんには、周りの者が教えを請いたくなるようなオーラが確かにあった。
民主党が政権の座にあったとき、同党若手国会議員の要請でキッシンジャーの『外交』全31章を読み解く勉強会の講師を務めた。20世紀の米国外交を知る上で欠かせぬ文献の監訳者である岡崎さんが直々に講義するとあって、自民党からも多数の若手が参加した。
月1回のペースで開かれた勉強会は8カ月続き、講義録はただちに『二十一世紀をいかに生き抜くか』というタイトルでPHP研究所から出版された。同書は外交戦略を考える者にとって必読の書である。
岡崎さんというと知性の人という印象が強いが、日本を危うくするものに対しては、いかなる批判も恐れることなく、言論で戦いを挑む気迫を持っていた。
そのよい例が遊就館の反米展示を批判した平成18年8月24日の産経新聞「正論」欄の文章である。
《戦時経済により、アメリカが不況の影響から最終的に脱却したことは客観的な事実であろうが、それを意図的にやったなどという史観に対しては、私はまさに(米保守派論客のジョージ・)ウイル氏が使ったと同じような表現-歴史判断として未熟、一方的な、安っぽく、知性のモラルを欠いた、等々の表現-しか使いようがない》と、米国が不況脱却のために資源の乏しい日本を経済制裁によって戦争に追い込み、これにより米経済は回復したという史観を批判した。
その上で、《私は遊就館が、問題の個所を撤去するよう求める…この安っぽい歴史観は靖国の尊厳を傷つけるものである。私は真剣である。この展示を続けるならば、私は靖国をかばえなくなるとまであえて言う》と強い覚悟を示した。
この文章が保守陣営、特に反米保守といわれる人々に与えた衝撃は計り知れなかった。(桑原聡)
これで、HSの重要度が、
ますます増えたこと間違いないです。
岡崎さんに代わる人はそういませんね。
確かに「エレガントなサムライ」という言葉が似合う方でした。(岡崎さん、こう呼ばれてきっと喜んでいるに違いありません。)
タダの日本人ではなかったです。
「遊就館の反米展示を批判」のこと、初めて知りましたが、日本人の知性と品格の“あるべき様”を体現された方だったのですね。(どんな理不尽な目にあっても、決して悪口を言わず、相手の方が恥ずかしくなるのが、サムライ精神なんですね。)
“最後のご奉公”が「(安保法制懇)のメンバーとして集団的自衛権を認める報告書をまとめること」だったのもさすが!ですが、“キツイ仕事”だったのではないでしょうか?
安倍首相は、集団的自衛権を得る為に“最高のブレーン”を失ったことになります。(そうなると、岡崎氏も認めていた、大川総裁の「慧眼」に頼らざるを得なくなる…と思ったりもしますが。)
ああ~世界に誇る「日本の宝」が又一つ逝ってしまった!(彼の冥福は約束されていますが、日本はこれからがタイヘンなのに…エライこっちゃ!)