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放射線の実態把握 バナナから煉瓦まで―恐れるに足りず by WSJ日本語版より転載

2014-04-15 09:31:45 | (英氏)原発・エネルギー問題

放射線の実態把握 バナナから煉瓦まで―恐れるに足りず

 

 

[image] Bloomberg News

福島第1原発事故後、放射線量の測定を受ける男性(2011年)

 皆さんは、かつて私がそうであったように、放射線は極めて希有なもので極めて危険であり、核ミサイルや原子力発電所に限定されていると信じているだろうか?

 皆さんの台所を見てみよう。バナナは、それに含まれるポタジウム(カリウム)から放射線が出ているし、ブラジル・ナッツは他のいかなる食料品よりも1000倍も多いラジウムを含んでいる。そして皆さんの使うドライハーブやスパイスは、バクテリアや細菌の繁殖や微生物腐敗を防止するため放射線が照射されている。電子レンジオーブンにはトリウム、煙探知器にはアメリシウムが存在している。

 住居の中のあらゆるところにあるもの、例えばキャットリッター(猫の排泄物用の箱の底に敷く粘土)、たばこ、アドベ(天然建材)、みかげ石、煉瓦(れんが)などはすべて放射線を皆さんの体に盛んに照射している。常に、そしていつまでも、放射線は空から皆さんに降り注いでいる。

 放射輝度(ラジアンス)は極めて普遍的であるため、地質学者たちは14種類の自然原子炉(つまり自然放射線)の証拠を特定した。それはワシントンの連邦議会議事堂やニューヨークのグランドセントラル駅の壁から出ている。皆さんの飼っている猫は放射性だし、犬も放射性、友人たちも家族もすべて放射性だ。したがって皆さん自身もそうだ。現時点で、皆さんの体は放射性はく離を放出しており、皆さんやその他の人たちが一緒になるたびに、互いに放射線を照射し合っている。

 

 ところで、皆さんは米国の大陸にお住まいだろうか? 1997年、全米がん協会(NCI)は、ネバダ核実験場での冷戦時代の核実験の結果、大気を浮遊した放射性ヨウ素に米国のほぼ全域が汚染され、小児甲状腺がんの発症が1万-7万5000件に上っていたと報告した。米国疾病予防管理センター(CDC)は、毎年がんで死亡する米国人約60万人のうち、これら核実験が理由で死亡しているのは1万1000人に達すると推定している。人々は何十年間にもわたってソ連による米国の核攻撃を懸念してきた? どっこい、ワシントンはネバダ州から米国人たちに放射線を照射し、モスクワはカザフスタンから核実験で自国民に放射線を照射していたのだ。

 しかし、これら全ての中に若干の朗報も存在している。

 放射線の供給源は、肥満の原子だ。余りに太り過ぎているため、われわれの物質世界をつなぎ止めている引力の法則に逆らい、それ自体から小さな粒子を放出している。それは2種類の粒子とX線と同じガンマ線の放出だ。ガンマ線を過剰に浴びれば悪性の日焼けのような状態になり、皮膚が損傷を受けたり、がんのリスクを高めたりする。しかし、これらの粒子は余りに大き過ぎて、われわれの皮膚に浸透できない。つまりそれらは打撃を及ぼすには飲み込んだり、吸い込んだりする必要があるということだ。

 ただし朗報は、「オーバードーズ(過剰摂取、過剰被ばく)」という言葉の中にある。日常的に、放射線中毒やそれが引き起こすがんによって日常的に大挙して死ぬことはない。なぜなら、全ての毒と同様に、特定の原子が死をもたらすわけではないからだ。問題は摂取量(被ばく量)であり、放射線からダメージを受けるためには、私たちが考える以上にずっと多くの摂取量が必要なのだ。

 

 この私たちが知っていると思っている混乱の全ては、2件の何十年にもわたる調査に由来する。国連はチェルノブイリの事故を25年かけて調査し、事故そのもので57人(救助隊員28人を含む)が死亡したと判断した。また、近隣に住んでいた子供18人がその数年後、汚染された牛乳を飲んだことによる甲状腺がんのために死亡したと判断した(甲状腺がんは十分治療可能ながんであり、有効な公衆衛生サービスがあれば、死亡が回避できた可能性があったが、ウクライナとベラルーシの公衆衛生サービスはソ連のそれとともに崩壊していた)。端的に言うと、人類史上最も恐ろしい原子力災害―欧州全体に広島型原爆の400倍の大きさの雲をもたらした―で死亡したのは75人だった。

 

 一部にはこの数が控えめで少なすぎると見る向きもあるが、彼らの見解をデータで裏付けることはできない。物理学者のバーナード・コーエン氏はこう予測していた。「世界中の人々の総被ばく量は、50年もたてば、600億ミリレムに達する。これは1万6000人の死をもたらすのに十分な量だ」と。ちなみに、米国では石炭火力発電所の汚染により、毎年1万6000人前後が死亡している。

 

 国連のチェルノブイリの報告書以外で、人類の被ばくに関する最も詳細なデータは、米国と日本が共同で行った被爆者(広島と長崎の原爆投下で生き残った20万人)の調査だ。調査は60年以上にわたって今も続けられているが、開始直後は被爆者に腫瘍や白血病が多く発症し、その子孫に遺伝的な影響が生じると予測されていた。しかし、調査員のエバン・デュプル氏は、「がんのリスクはかなり小さく、市民が予想するよりずっと小さかった」と結論付けた。

 

 放射線学者のジョン・モウルダー氏は、5万人の生存者グループの結果を分析した。そのうち約5000人はがんを発症していた。同氏は「日本の他の人口についてわれわれの知っていることに基づくと、がん発症は約4500人と予想されていただろう。従って、われわれは50年間で4500件と予想していたところ、5000件のがん発生件数があった」と指摘した。残る500件の追加的なケースはすべて放射線によると想定すると、全体の1%という比率になる。そして遺伝による突然変異は全く増加していなかった。ここで想起すべきことは、これらは原発崩壊の犠牲者ではなく、核攻撃の犠牲者だったということだ。

 

 2011年の福島原発の事故については、コンセンサスとなっている推定値は、原発現場で働いていた従業員について、がんの発生が1%増加し、原発の近隣住民について増加は検知不可能なほど小さいというものだ。1945年以降にわれわれがさいなまれた圧倒的な核の恐怖や悪夢と、増加したリスクとの差異をちょっと考えて欲しい。0%から1%までだ。そして、それが、放射能について皆さんがあらゆることを知ったというには十分でないとすれば、次のことを考えたらいい。すなわち、日本での破局のあとですら、原発労働者にとって労働関連の死や負傷の公算は、不動産業者や証券会社従業員のそれを下回っているということだ。

 

 ここに皆さんと放射能に関する真実がある。原発の炉心溶融ないし空港のスキャナーについて懸念する理由は全くない。そして日常的なあらゆる項目につて心配するな、ということだ。科学的な測定によれば、平均的な米国人は毎年、620ミリレムの放射線を浴びている。この数値は、心配するには10万ミリレムになる必要がある。

 こうしたことを懸念するのではなく、皆さんの自宅の地下室のラドンを検知したらいい。そして「放射能」を発見した女性のアドバイスに従ったらいい。彼女はマリー・キュリー夫人で、こう言った。「今やもっと理解するときだ。恐れることを少なくするために」と。

 

 (クレイグ・ネルソン氏は「The Age of Radiance: The Epic Rise and Dramatic Fall of the Atomic Era=放射輝度の時代:原子力時代の栄枯盛衰」の筆者)

 

 

 
 

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