「赤とんぼは神様の使いだから悪さしちゃ駄目だよ」と、子供の頃に母に言われた。田んぼの上を無数に飛んでいたとんぼに向かって言ったのだから、多分、アキアカネのことだったのだろう。
農薬の大量散布などで、ホタルと同様に一時的に数を減らしたことがあったが、最近では子供の頃のように、隣同士で翅が触れ合わんばかりにたくさん飛んでいる。
この時点で飛んでいるアキアカネが、山の方に移動して、稲穂が頭を垂れる頃にまた戻って来るのかどうか、私には分からないが、田んぼの上でその翅が煌めく時期になった。
稲に害をなす虫を食べてくれて、実りをもたらすかのように、秋の田んぼに大挙してやって来る赤とんぼは正に神様の使いだったのであろうと思うのである。