明日、東京だからと思い、ハンドバックの中を確認していたら、折り鶴がでてきた。
長崎の追悼平和祈念館で、
折った折り鶴だった。
私の斜め前に、白人の若い男性が、折り鶴の机に座り、悪戦苦闘していた。
私の方を見て、「ここ、教えてもらえますか?」と訊いてくる。
隣に座って、「こう折るんだよ、ここはこう」とか、言いながら、「なまえ、なんていうのですか?」と訊くので「○だよ」と応えると「コリアン?」と訊く。
私の苗字じゃなくて名前の方は、韓国人の苗字に聞こえるらしいのです。
「ネ(違う)ヤーパンセ(日本人)、君は?」と訊くと「ヨンです。ヨン・ファン・トンブリック」と言った。
それで、「Ben jij Nederlands ?(君はオランダ人?)」と言うと「Ja!(ええ)」と言う。
彼、目を輝かせて「Spreek je nederlands?」(あなた、オランダ語を話すの?」と言う。
私は「een beetje.」(ほんの、ちょっとだよ)と、応える。
デルフトで生まれ育って、デルフト工科大学で理論物理を勉強しているのだという。
束の間、ボソボソと話しながら、折り鶴、完成。
折った折り鶴を、交換したんだった。
ホテルに戻って、バックの中を探したけれど、見つからなくて。
それが、こんな深夜、でてきた……。
旅。
旅は、いつも、思いもしない出会いがある。