ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◇ 「 ひこうき雲 」 松任谷由実   ……そしてベートヴェン3月26日命日 

松任谷由実 - 「ひこうき雲 」 (Yumi Arai The Concert with old Friends)

                 

 大昔から大好きな曲。

 レコードジャケットが、とても印象的で、ピアノピースやバイエル教本の表紙を連想してしまったものだ。

 「ひこうき雲」のレコードジャケット。 

 バイエルの教本。  
 私が小学生の時に使ったバイエルがまだあって、表紙をめくると、当時の月謝領収の印鑑が押してある。
 昭和35年ぐらいで週に2度のレッスンで、月額500円。

 ピアノピースの折るところが破れてくるので 
 セロテープで補修してある。
 懐かしい。

 私がピアノを習っていた先生のお嬢さんが姉の同級生で、20年ぐらい前のこと、故郷の町であったクラス会に参加した姉が、「佐藤先生が、あんたのこと、元気かって、今はなにをしているんだろうって、言ってたんだって」と言った。

 私は、ちょっと意外だった。
 「ふーん、私の事なんか、覚えてたんだ」
 「佐藤先生、かなり、あんたが印象的だったらしいよ」

 私は、当時としては珍しい登校拒否っぽい子どもだった上に、小児リウマチと重いアトピーで殆どその苦痛でぼーっとしていたんだけれども、挙げ句にたまに喋ると性格の悪さというか協調性のなさがでて、屁理屈っぽくてメンコクない子どもだと言われており、大人から否定されることが常で、興味なんぞ持たれるはずがないと思っていた。

 そうだ……四年生ぐらいの時だった。
 私が、ピアノの日になんの理由もなく行かずに、家がある路地で一人縄跳びをしていると、佐藤先生が現れて、手を引かれて、佐藤先生のおうちまで連れて行かれたことがある。
 あの時の、佐藤先生が路地の先に佇んでいる姿、佐藤先生に手を引かれたときの、手の冷たさを、未だに憶えている。

 佐藤先生のおうちは、玄関の戸を開けると、床板はなく、土のまんまだった。
 冬でも、土に触れていたいからだと先生は言った。

 先生のおうちには、ちえさん、るみさん(姉の同級生)、ゆうじ君、わかおちゃんという4人の子どもがいた。
 大学生の時、札幌の大通り公園でばったり、ゆうじ君に会ったことがある。
 なにを話し方、なにも憶えていない。

 ああ、佐藤先生のお子さんのお名前を、何十年かぶり、ほぼ半世紀ぶりに思い出した…。

 吹雪の日など、先生のおうちへ着くと、奥さんが石炭ストーブのところに手招いてくれて、干し柿とかみかんを私にくれた。
 窓は積雪に覆われ、ストーブを囲む薄暗い闇に、ちえさんとかるみさんとか、ゆうじ君、わかおちゃんが、干し柿やみかんを食べて、なんか、ぽっと明るく暖かく、座っていた。

 私は、ちっともピアノは上手にならなかったけれど、佐藤先生から学んだことがある。
 それは、とにかく基礎が大事、ということ。
 物事を何か為したいと思うときは、基礎的訓練を徹底的にやることが大事だと識った。


 暫くして、姉から、佐藤先生が亡くなったことを聞いた。


 佐藤先生のことを、時々、思い出す。
 佐藤先生は、不思議な人だった。
 でも、私を拒否していないことだけは、私も識っていたんだと思う。
 
 
 ZEN-ONのピアノピース。 
 ユーミンのイメージは、このピアノピースに近いね。


 そして、今日は、私の大好きなベートヴェンの命日。
 ベートーベン ピアノ・ソナタ 第14番 ≪月光≫ 嬰ハ短調 Op 27-2 
 ホロヴィッツ Beethoven Piano Sonata No.14
 
             
 

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