膵臓の手術は他の消化器外科手術と比べると合併症が多い手術といわざるを得ません。
これは、膵臓という臓器の性質によるのです。
膵臓が産生する膵液という消化液はタンパク質・脂肪・糖類を分解する酵素を含んでいて、活性化すると自分の体の組織にも障害性をもってしまいます。
この膵液が吻合に対して悪さをすると吻合した部分が外れて漏れてきてしまうということがあります。
これを「膵液漏(膵液瘻)」と言いますが、膵臓の手術の術後経過は膵液漏が発生するかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
しかし、仮に膵液漏がおこってもこれは一般的な術後経過の範囲内であり、膵液漏の程度にもよりますが1〜2週間入院期間の延長で済むことが多いです。
最終的な術後の状態は膵液漏がおこらなかった人と変わりません(もちろん起きないに越したことはないのですが)。
その他、合併症があった場合はその処置のたびに入院期間が延長します。
ただし、それらの合併症はほとんどが想定される合併症であり、その対処法もわかっていますので適切に対応いたします。
膵臓の手術は様々な手術の工夫・進歩によって年々合併症が減ってきておりますが、ある程度の頻度でおこっていることは事実です。
その意味でも合併症に対して豊富な経験を持つ、症例数を経験している施設で手術を受けられることをお勧めします。
膵臓はみぞおちの奥の背中側にある薄い細長い臓器です。
膵臓の働きは主にタンパク質を消化するための酵素を腸に分泌することと(外分泌機能)、インシュリンやグルカゴンといった代謝に重要なホルモンをだすこと(内分泌機能)です。
膵臓に腫瘍ができると接している臓器を圧迫して、食事がとれなくなる場合があります。
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