設計の仕事をしておりますと、さまざまな工務店さんとお話しする機会があります。
と申しますのも、設計事務所はあくまで、お客様のご要望を建築基準法に鑑みながらカタチにする仕事。実際に家を建てるのは工務店さんになります。
ですので、お客さまのお住まいの地域の工務店さんを探すことになります。
いまはインターネットで探すこともできますので、〇〇県 工務店 などで検索するとたくさんの工務店さんを見つけることができます。
私のようにちょっと特殊な、素材にこだわった設計をしている場合は、工務店さんを探す際にも
「自然素材」ですとか「健康住宅」
などのキーワードも追加して探します。
しかし、実際に「健康住宅」、「自然住宅」をうたっている工務店さんでも
・下地には合板を使っている
・家具などは市販のもの
・接着剤はF☆☆☆☆程度のもの
という工務店さんがほとんどです。
私のお客様は化学物質に敏感な方も多いため、見た目ではわからない下地に合板を使っている、F☆☆☆☆の接着剤を使用している、集成材を使用しているというだけでもNGな方もいらっしゃいます。
いまはほとんどの工務店さんのホームページの写真では、自然無垢のフローリングや無垢の柱や梁が使われていていますので、下地に合板が使われているか、塗壁などにケミカルなものが含まれていないか、などは見分けがつかないことが多いです。
ですので、私は工務店さんへのヒアリングを重視すると同時に、お客様の感覚を大切にしてほしいと伝えています。
いまは定量的に数字でPRする会社がとても多くなってきました。
〇〇%のお客様に満足頂いています!〇〇の含有量は〇〇です!というような感じですね。
しかし私はお客様の感覚を大切にしてほしいとお話ししています。
以前、このようなお客様がいらっしゃいました。
とある工務店の完成見学会にそのお客様とご一緒しました。
その工務店さんは自然素材をうたっており、合板は使わない、接着剤も米糊やニカワ、塗壁にもケミカルなものは含んでいないという工務店さんでした。
お客様も最初はとても気に入られて、一緒に見学会を楽しんでいたのですが、しばらくするとちょっと違和感を感じられたそうなんです。
そこで、私が工務店さんに合板は一切使っていないんですよね?と確認したところ、実は2階のほんの一部ですが合板が使われていることが判明しました。
工務店さんはどうしてもそこは構造上、合板を使わざるを得なかったと仰っていましたが、一部だけでも使っているのならば、最初から話をしておいてほしかったと伝えると同時に、人間の感覚ってすごいものだな、と改めて感じた体験でした。
このように自然素材を標榜している工務店さん(その工務店さんは自然素材で家を建てることで有名な工務店さんでした)でさえも、一部だけ合板を使っているケースもあります。
私の設計では合板は基本使いませんが、私は合板を一切使ってはいけないと言っているわけではありません。使わざるを得ない状況があるならば、お客様にきちんと説明して了承を得ることが大切と考えています。
そして、そのことは見学会などでもきちんと説明することが大切と思っています。
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