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ほとんどのお家に使われている合板ってどのようなもの??



合板とはどのようなものでしょう??
日本合板工業組合連合会(日合連)さんのホームページに詳しく掲載されています。ホームページによれば、

「木材は、古代から人間の生活と密着して利用されてきました。人々の生活におだやかな住環境を与え、特に日本のような高温・多湿の環境では欠かせない材料でした。そのような木材の優れた特性をすべて備え、さらに、木材の持ついくつかの欠点を製造技術で補正して、木材より強い・幅が広い・伸び縮みの少ない優れた材料に作り上げたのが『合板(ごうはん)』です。

合板(プライウッド「Plywood」)は、木材を薄く剥いた板、すなわち単板(ベニヤ「Veneer」)を乾燥させ、それを奇数枚を繊維方向が直交するように重ねて接着剤で貼り合わせた木質材料です。今や木造住宅を始め広範な分野で利用されています。」
とあります。

この画像も日合連さんのホームページからお借りしました。とてもわかりやすいですね。

上でご紹介させていただきました日合連さんの合板とは、の説明文の通り、
・木材の優れた特性をすべて備え、
・木材の持ついくつかの欠点を製造技術で補正して、
・木材より強い・幅が広い・伸び縮みの少ない優れた材料
と言えます。

またその構造は、大根のかつら剥きのように木材を薄く剥ぎ、それらを直交させるように接着剤で張り合わせたものです。

現在のほとんどのお家、戸建てだけでなく、マンションにも合板は普通に使われています。
マンションの場合は床材の下地として使われている場合が多いです。

さて、この建材、確かに優れておりまして、さぶろく版といいまして3寸×6寸(910㎜×1820㎜)や、さんぱち(910㎜×2400㎜)の大きな板のため、作業効率もよく、また強度も強いことから地震に対して耐力面材として使用されます。また木材特有の伸び縮み、反りやねじれが起きにくい建材です。


私も合板を使えればもう少しコストも抑えられるし、自由にデザインできるのだけれど、、、と考えることもあります。

私が合板を使用しない理由は以下の3点に集約されます。
もしも以下の3点がクリアされる合板ができましたら、合板はとても便利な建材ですし、ぜひ利用したい建材のひとつです。


■ひとつめは『使用されている人工的な化学物質』です。板を直交させて接着剤でくっつけているために、どうしても人工的な接着剤が必要となります。

ただし、この接着剤(人工的な化学物質)は日々ひとのカラダに影響の少ないものへと技術革新が進んでいると聞きます。
合板特有のにおいも以前と比べ少なくなったと思います。

しかし化学物質過敏症の方からしますとやはり反応してしまうことが多く利用できません。
化学物質過敏症の方が反応されるということは健康な我々にもなにかしらの影響があるのかもしれません。

ここにもやはり私は予防原則の考えから使用することは控えざるを得ない状況です。

■もう一つの理由といたしましては『水分による劣化』です。

あまり知られておりませんが合板にもさまざまな種類があります。

湿潤状態でも使用できる特類と呼ばれる合板もあれば、コンクリートの型枠に利用される合板、たまに湿潤状態になる程度であれば使用可能な合板などの種類があります。

また使用用途により、通常の合板、構造用の合板、化粧板の貼ってある仕上げにも使える合板などもあります。

日本は高温多湿な気候風土です。結露も起こりやすい環境です。冬場の結露だけでなく、夏場の壁内の内部結露も課題のひとつです。

合板の湿度による曝露試験結果を見せていただいた経験があります。

お家は5年、10年だけでなく、50年、60年のスパンで考えなければならない構造物と思います。

ですので、こちらにつきましても50年、60年で考えた際に使用することをためらう要因です。


■最後に地震に対する考え方です。

いまも鮮明に覚えているコマーシャルがあります。阪神淡路大震災直後でしたが、合板を使用している会社様が地震に対して倒壊していなかったことをアピールする内容でした。
私も当時は合板を床、壁、屋根に張り合わせた、いわゆるツーバイフォー住宅は地震に強いんだなぁ、と思ったものです。

しかし合板は柱と梁にビスで留める仕様になっております。もちろんビスのピッチなども細かく決まりごとがあります。
つまり地震の揺れをビスのせん断力(ビスを断ち切ろうとする力に対する耐力)で耐える仕組みです。

東日本大震災級の揺れに〇〇回耐えうる実験などを実施している会社様もありますので、ビスのせん断力による耐力というものは信頼に足るものなのかもしれません。

しかし繰り返しとなってしまいますが、お家は50年、60年の長いスパンで考えた場合、ビスの劣化、合板の接着力の変化、また繰り返される地震力などが気になるところです。
また2つめと重複しますが、内部結露によるビスの劣化なども気になるところです。


しかし繰り返しとなりますが、合板は合板でよいところがたくさんあります。
要は視点の違いです。

みなさまの視点により見え方も変わってきます。上で書いた内容はあくまで化学物質過敏症の方の家づくり、電磁波過敏症の方の家づくりのお手伝いをしてきた私からみた視点でのお話しです。

『人工的な化学物質』や『内部結露』、『ビスのせん断に頼らない地震対策』に興味がございましたらお問い合わせください。
微力ながらお力になれると思います。

ひと・すまい・くらし一級建築士事務

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ひと・すまい・くらし研究所

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