ひとが感じている温度は、気温(室温)と同じように感じているわけではありません。
ひとが実際に肌で感じている温度感覚を数値で表したものが体感温度といいますが、体感温度は気温(室温)に加え、湿度・風速・放射熱に影響を受けます。
今回は、その中でも湿度による体感温度の違いについて、です。
例えば気温が高い夏場でも、湿度が低ければ体感としてはそこまで暑くない、といったことがあります。反対に湿度が高いと体感温度を高く感じます。
風速(気流感)もあればなおのこと涼しく感じます。
ひとの体感温度は湿度や風速・放射熱など様々な要因により左右されるということなのです。
上記のグラフはミスナール公式による体感温度を風速を0として計算した場合の結果です。
ミスナール公式による体感温度とは、室温・湿度・風速の3つの要素から体感温度を計算する方法です。
折れ線グラフをみますと一番上の35℃の場合を参照ください。
気温(室温)が35℃だった場合、湿度80%の場合、体感温度は33.2℃ですが、湿度が60%ですと31.2℃と2度ほど体感温度は変ってきます。
28℃をみてみますと、湿度80%のときは27.5℃、湿度60%のときは26℃となります。
海外旅行の際に気温は高いのに日本よりも涼しく感じる、という経験をされた方もおられると思います。
それは「湿度」が日本よりも低いので涼しく感じた、ということなんです。
気象庁のデータによりますと東京の2022年8月の平均気温は27.5℃、相対湿度は79%でした。
例えば、お家のリビングや寝室の壁を調湿効果の高い素材でつくる(リフォームする)ことにより、湿度を調整することができるとしますと体感温度は低くなります。
今は電気代も高騰しております。エアコンをつけなくても済む日が増える可能性もあります。
東京の2022年1月の平均気温は4.9℃、相対湿度は52%でした。室内で暖房器具をつけますと室温は15℃くらいになると思いますがその分、相対湿度が下がります。もしも室温15℃で相対湿度が30%としますと体感温度は15.7℃となります。
ここで室温は15℃のまま、室内の湿度を60%程度まで加湿しますと体感温度は16.4℃となります。
室温は同じでも湿度をコントロールすることによりまして体感温度はこのように変化します。
以前、「我が家の寒さ対策」としまして輻射熱と室温の関係をお伝えしました。
その際に大切となることは「窓」とお伝えしました。
電気代やガス代、灯油代など高騰の折、暑さ・寒さ対策のために、窓の断熱対策に加え、室内の壁を調湿効果の高い素材に替えることも一案です。
いまは窓対策などに補助金もでております。補助金を活用して窓対策に加え室内の調湿効果を高め、温熱環境の改善を図ることも一案と思います。
ひと・すまい・くらし一級建築士事務所