これは、あくまでも仮説ですよ
…ある日の夜、私が皆と離れて野で1人横になって寝ていると、野宿の人々の群れからユダがこっそりと抜け出して、背をかがめてやって来ました
…私は彼に背を向けていて気がついていたのですが、寝たふりをしていました
…すると彼は、ためらったのち背後にひざまずいて私の様子をうかがい、寝ていると思ったのか、そうっと手を衣の肩に伸ばして来ました
…それで私は、
「何か用か」
と聞きました
ユダは仰天してしりもちをつき、顔を(たぶん)真っ赤にして、
「あ、あの、…………、寒くないかと思いまして……、何か、か、かける物をお持ちしましょうか?」
ととっさにごまかしました
私は「よい」と言うと起き上がって彼の方に向き直って座りました
それで、ユダも恐縮して座り直しました
それから私は彼に、例え話をしました
…旅人とロバの話でした
ある時旅人が沢山の荷物をロバに積んで歩いていた所、嵐が来たので大木の根本に避難した
ロバは木に紐でつないでおいた
ところが、あまりの大風に大木が倒れかかってきた
この時、旅人はどうしただろうか?
自分が逃げるか、ロバを離すしか、時間がない
どうだね?
するとユダは身を乗り出して、「自分が逃げます」と答えた
私は「そうだろうね。だが、私ならロバを離す」
ユダは、
「どうしてですか。自分が死んだら、元も子もない」
私は、
「自分が逃げてもよいが、ロバを逃がせば、その荷物は誰かが見つけて使ってくれる。ロバも、誰かが飼って使ってくれる。何かの人の役に立つのだ」
と言った
私は、自分の未来を言ったつもりだったが、ユダにはわからなかったことだろう
彼は不思議そうに話を聞いていたが、つかの間私といられて、幸せそうだった
…それから、私は彼を寝床に帰した
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