小さなワンルームマンション【メゾン アラプリエ】2024年3月28日引渡
21m2ほどのワンルームが6戸の小さなワンルームマンションです。
賃貸であっても住む人にとっては家です。なので私は、住宅を設計するのと同じような考え方で設計をします。
もちろん依頼者が目の前にいる住宅の設計とは違いますから、想定でしかないのですが、どのように家具を置いてどのような暮らし方をするのか?どのように家の中で動くのか?を頭の中で描きます。
住宅より法的な規制が強い共同住宅ですし、限りある予算の中で使う材料・内装も一般的なものになってしまいますが、唯一、床に(50cm角のタイル状の)杉板を使う事を施主も了解してくれました。
住宅の設計でも「床は大切」と言っていますが、今回、賃貸でもそれが実践できてよかったです。入居時の説明で住む人は「無垢材」と知ってはいても、それが今まで知っているフローリングやビニールシートとどう違うのか?を実感する事はないかもしれません。でも・・絶対に感じるものが違うのです。それは、これまでの施主のみなさんが言っています。床だけ杉板に張り替えた施主はこんなふうに言っています。
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同様に、照明やタオル掛けなど日常的に触れる物も、一般的な賃貸にあるようなものではなく、「住宅」としていろいろ探して選びました。決して高価なものではありません。それも住む人にとっては特に意識される物ではないかもしれない。でもそれらのものが醸し出す雰囲気によって、単に賃貸に住んでいるという感覚ではなく「私の家」という気持ちになってくれたらいいなと思います。
そんなパーツをここに記録として残します。
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▼床 50cm角杉パネル: ユカハリ・タイルすぎクリア (西粟倉盛の学校)
今回は新築工事なので大工さんに敷いてもらいました。ご覧のように部屋がデコボコしてますからタイルのカットが必要でしたし。
この製品は基本的にはDIYで部屋に敷く事を考えられたものなので、既存賃貸で部屋が四角なら質を高めるために大家さんがDIYで使うのもいいと思います。
もちろん住人の方が一部屋だけでもこれを使うのは、いいと思いますよ。
▼照明 ダクトレールを設置。住む人が自由に器具を選び自分の好みの部屋にしてもらう。
とはいえ何も無しとはいかないので単純なペンダントライトを用意した。ソケット部分にシェードを取り付ける事も可能。
やっぱりガラスのランプは美しい。このランプはLED。(やっぱり白熱灯の美しさにはかなわない)
▼キッチン前壁の手元灯 セラミックソケット ストレート 陶器製の壁付け器具(E26)
写真はソケットの径(E26→E17)を変換する「口金変換アダプター」を付けE17ボール球(20W)。実際は40W相当のLED電球にしてしまったが、これぐらいの小さな電球で十分だった。
そもそも部屋が小さいので天井につけたダウンライトでもかなり明るく、手元は補助的な明るさあればよい。明るさが必要というより、日常的にこんな小さいな照明をつけておくと部屋が穏やかになる。
▼外灯 マリンライト インダストリアルな雰囲気の照明。
上半分はアルミ板でできたカバー、その下にガラスカバー。
お隣も賃貸で、ここで光があまり広がらないないよう、下向きの照明器具を選んだ。
*値段が値段なだけでに細部の粗さはあるけれど、壊れはしないと思います。
▼トイレドアのドアノブ 美和ドアノブM型(ST)
カタログには浴室錠とありますが、トイレでも使います。「やすっぽい」と感じる人もいるかもしれないけれど、これの良さは、径の小ささ(48mm)。手の小さな日本人にはほんとに握りやすい。
ステンレスなのもよいです。本物の素材感がありますから。
▼タオル掛け 本当は、真鍮製にしたかったが気持ち抑えて金色のもの。
▼ペーパーホルダー スチール製
プラスチックのカラカラ感がなくて、毎日、鉄という素材に触れるのがいいと思うのです。
▼非常用照明取付用ブラケット スチールにて制作
これは住む人に関係ないかもしれませんが・・。
階段室の壁につける非常照明で、小ぶりの器具がないんです。これみよがしの大きな器具しかなくて探すのも嫌になり、天井付け用の器具を使うしかない!という結論に至りました。
そのためにそれを付けるための台を作る必要がありますが。
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以上、備忘録として記事にしました。
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■メゾン・アラプリエ 建築概要
建築地:東京都中野区中野1-60-12
敷地面積:93m2(28坪)
構造規模:鉄骨造3階建て
延べ面積:134m2(40坪)
用途:共同住宅(ワンルームマンション、6戸)
設計監理:志田茂建築設計事務所
施工:二宮建設(株)