2011年3月12日・・・この家で上棟式が行われました。
上棟式・・本当ならご家族にとってはとてもめでたく楽しい日のはずだったのに。。
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前日 3月11日 東日本大震災が起こりました。
翌日の上棟式をどうする?という話が出たのですが、とにかく行うという事で実行。
東京も町中混乱する中、職人さん達は集まってくれました。
家づくりにおいて、とってもめでたい行事なはずなのに・・
みなさんの心の中には不安がいっぱいだったと思います。
お清めと施主の挨拶、乾杯、、、、本来なら、そこで施主が設けてくださる歓談の席が行われるはずだったのですが、参加された職人さん達に手土産を渡し、その日は終わりました。
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大きな余震が続いていました。なんだか、その感覚が体に浸みこんで、風が吹くだけでも家がゆれてるように感じていました。
構造計算されている家ですが「本当にこれでよかったのか?大丈夫なのか?」ずっと自分に問いかけていました。
「施主ご家族のために最善の事なのか?」・・考え続けていました。
もちろん答えなんか出ません。
いつまで続く大きな余震・・ そして、原発事故による放射能の問題・・
ぐるぐるぐるぐる頭の中を回り続けていました。
でも・・・
現場では職人さん達が一生懸命作業を続けてくれました。
福島には建築資材のいろいろなメーカーの工場があり、それが地震の影響で稼働しなくなり、資材の流通が滞り建築業界はどこも大変でした。
この現場でもしくはっくしながら調達し、なんとか中断する事もなく工事を進める事ができました。
小さな家ですが、職人のみなさんの思いのこもった家です。
本当にありがたいと思いました。7月のはじめに、無事完成し、お引渡しができました。
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地震と津波で多くの人が家を失ってしまいました。
原発事故で、故郷さえ失ってしまった人がたくさんいました。
今もそれが続いています。
家って、、、どんな形であれ、家族にとっての拠り所です。
家があるというのは、幸せな事です。
311から8年、改めてその事を思います。
一日でも早く、失ったものが戻り、心からの笑顔になる事を願っています。