『ハマスホイとデンマーク絵画』に行きました。
静寂な絵を好む人にとってはとてもいい絵画展だと思います。期間早め、混んでない時に行かれる事を勧めます。
派手な絵はなく、ひとつひとつじっくり味わう絵ばかりですので。
**
会場はかなり暗めの照明で、静寂感を演出されています。
ハマスホイの室内画を目当てで行きましたが、日本初めての”デンマーク絵画展”でもある(ほんとに?)そうで、展示された作品のひとつひとつ、満足できるものでした。
今回のテーマに沿ったものが集められているのだからあたり前ですが、どの作品も、真面目に、身のまわりの特別でないもの中にある美しさを描いた作品です(と思います)。
特に、会場に入って一番最初に目にはいる
クレステン・クブゲ作『フレズレクスボー城の棟----湖と町、森を望む風景』
は、すごく好みでした。私が写真を撮るとしたらたぶん、このような構図で撮るかもしれません。
この人は、風景画、人物画が多かったようです。建築物の絵も多いように思いますが、その描き方やアングル(切り取り方)も私は結構好きです。
*「クレステン・クブゲ」で検索してもほとんど何もでません。「クリスチャン・ケプケ」では検索されます。
ハマスホイも敬愛した人らしく・・「なるほど、わかわる」という感じがします。
**
19世紀のデンマーク絵画・・・、「 好きだな 」と思いました。
そういう”身の回りの美しさに目を向ける”という国民性?や、当時のデンマーク美術会の流れがあって、ハマスホイの絵につながっていったんでしょうか。。
さて ハマスホイ ・・・ ヴィルヘルム・ハマスホイ ですが
上の写真のように、人物画、室内画、風景画 を多く描いた人でそうです。
人物画については、モデルの内面の深いところまで知り表現しようとした人だったようで、となると必然的に家族、もっといえば奥さんがモデルの絵が多いです。
ただし、背を向けた。
人物画であっても決して”動”を描いてはいません。まるで静物画のひとつの要素であるかのようです。
ハマスホイの人物画は、それを見ても”心温まる”感じはありません。
その人物から感じる感情も、なんとなく重いような、寂しげなものを感じるものもありました。(個人の感想です)
”北欧のフェルメール”とも言われる(?)ようですが・・・フェルメールの”人物”には動きがあるし、その人の感情には”血のかよう温かさ”みたいなものを感じます。
そして、フェルメールの描く『光』は、人を照らすものだと思います。
ですが、ハマスホイの光は違います。
== ここから、個人的妄想です ==
ハマスホイについて書かれたブログを幾つか読んでみました。
その中のひとつに「この人には情熱があるのだろうか?」と書かれていたものがありました。描く人への視線の冷静さがあるからでしょうか。
私は、彼の情熱を感じました。室内画を見ていて、・・・
彼はきっと、描いていた時に、ものすごい高揚感を持っていたんだじゃないかと思います。
描いていた時もそうかもしれないんですが・・ その『瞬間』を見付けた時 「うわぁ=これめちゃくちゃいいじゃん!!」 というような。。
(スミマセン、、今ふうに表現してみるとこんな感じか。。)
で・・・
もし彼が現代に居たとしたら、絶対に インスタグラマー です。間違えない!
居ますよね。自宅を撮りUPし続けている人。
家具や什器や照明、絵や植物、を動かし、同じアングルの写真を何度も撮っています。
そして彼は絶対に 、窓とドアと陰影のフェチ です。
わかります。私もそんなところがあるから(笑)
という作品に至っては、部屋と部屋から続く廊下を描いているんですが、部屋のドアはもちろん、わざわざ廊下の奥の部屋のドアまで開けています。
きっと、ドアの開き具合を一生懸命微調整していたんでしょうね。
そんなの、情熱なくちゃできないじゃないですか!
ドア愛・・ 構成愛・・
なんだかそんな事が浮かんできて、その絵を見ていて笑いそうになってしまいました。
もし、ハマスホイが現代に生きていたとしていたら、彼は、写真家だったと思います。
彼の室内画は、静寂 と評されます。
静寂に対する異常な愛を持っていたのでしょう。
でも、彼の静寂には、何か彼自身のとても熱いものを感じてしまいました。
今回は、ハマスホイの作品は40点ほどだそうですが、私は彼の室内画をもっと見てみたかった。そして、その絵の手前で、とっても熱く、夢中になっている彼が居たであろう事を、確かめてみたかったです。
== 個人的妄想はここまで ==
彼の絵は、決して寂しい絵でも、暗い絵でもないと、私は思います。
光の陰影により浮き立つ『質感』や『形』や『色』がとても美しいと思います。
もちろん、見る人の受取り方は様々。
あなたのハマスホイ像を描いてください。
見た目の動きも色による刺激もありませんが、静寂とグレー系の色を好む人にはお勧めできる展覧会だと思います。