以下たんぽぽ舎のメルマガより転載させていただきます。
こちらを先にどうぞ~
東京電力福島第一原発の憂慮すべき現実 (上)
http://blog.goo.ne.jp/hosigaokamimoza/e/8e5ec66de8b50f799126b8a3dd66609d
┏┓
┗■2.東京電力福島第一原発の憂慮すべき現実 (下)
| 規制委員人事案に見る福島への悪影響 凍土壁の問題点
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
昨日発信の【TMM:No2208】(上)よりつづく
凍土壁の問題点
では凍土壁に展望があるのか。
1500メートルもの長大な「壁」を地下に作ること自体、大きなリスクを伴う。既に福島第一の敷地では、1~4号機の原子炉建屋とタービン建屋が「壁」となって存在しており、地下水は建屋周囲で高くなっている。そこから内部に流入しているから、外側に壁を建てれば今度は壁の外周で地下水位が上昇し、深部には高圧がかかり表面では地下水がわき出す。
これは事実上の液状化状態だ。地震が起きれば凍土壁は浮き上がり(水より軽い氷)壁の下から決壊する可能性がある。それも数百メートルが一度に起きるとしたら、想像を絶する。
その段階では建屋が不等沈下などで損傷していたら大量の地下水が流れ込む可能性もある。
もう一つ怖いのは、原子炉建屋のすぐ山側の斜面だ。これは凍土壁に限らないが、凍土壁により10メートル盤で地下水が止められている状態では、陸側の地下水位が上昇する。原発の脇では湧水のくみ上げが行われるが、上流の地下も水が多くなり、崖地や傾斜地では円形滑りが起きやすくなる。もし原発のすぐ後方の崖地が崩落する事態になれば大惨事につながる。特に4号機側の後ろの崖の真下には使用済燃料の共用プールがある。これが崩落した土砂に埋まる事態になれば新たな危機が発生する。
凍土壁の問題に戻れば、共用後の問題点として、建屋からの汚染水流出が懸念される。東電は壁で囲んだ後ならば問題が無いという考えかも知れないが、それはとてつもなく甘い見通しだ。
建屋内に多数のポンプと水位計を設置し、壁の内外にも水位計をつけた観測井戸や注入井戸などを作り、地下水位と建屋水位を同期させて全体を下げていくという方針だが、失敗すれば汚染水の大量流出を引き起こす危険性もありうる。
さらに大きな課題は、建設途中での建屋周辺の地価干渉物と凍土壁の関係だ。
凍土壁は1m間隔で地下30mよりも深くパイプを打ち込み、冷媒で冷やすため、配管やトレンチなどの構造物と干渉する。
約6mもの幅のあるトレンチでは、コンクリートの配管を4~5本貫通させて施行する。この時にトレンチそのものを破壊したり内部の配管類、ここにも汚染水があると思われますが、これを破壊するなどすれば、施工中に大量の汚染水漏出にもなりかねない。そのようなことが起きない工法はまだ開発途上で、完成しているわけではない。
最後に、凍土壁が出来ても果たしてそれが有効かどうかが分からない。理屈の上ではうまくいくのだろうが、壁を設置してみたら予想も付かない位置からの地下水回り込みなどで、結局止水できないという事態もありえる。
300億円以上費やして「効果がありません」では、何をしているのか分からないことになる。
被曝の問題も深刻だ。凍土壁の建設では、建屋の周りでの土木工事が必要だが、ここはとても線量の高いエリアが沢山残っている。とりわけ過酷なのは、1、2号機の間にある排気筒のエリアだ。排気筒自体が最大25シーベルトもの放射線を出しているため、この側での作業はとてつもなく危険だ。これも全く解決していない。東電によれば「設置したらすぐに逃げる」を繰り返すというのだが、そんな突撃隊のような作業環境は、いまさらあり得ないだろう。
まず問題を取り除いてから作業すべきだ。
建屋周辺のガレキは、例えば破壊された車両は最後の一台を残すのみとなったというが、これまでは逆洗弁ピット内に落っこちたままだったりと、とてつもない状況だった。
現状の厳しさと裏腹に、報道もほとんどされなくなったフクイチの現場は、静かに危機を深めている。
こちらを先にどうぞ~
東京電力福島第一原発の憂慮すべき現実 (上)
http://blog.goo.ne.jp/hosigaokamimoza/e/8e5ec66de8b50f799126b8a3dd66609d
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┗■2.東京電力福島第一原発の憂慮すべき現実 (下)
| 規制委員人事案に見る福島への悪影響 凍土壁の問題点
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
昨日発信の【TMM:No2208】(上)よりつづく
凍土壁の問題点
では凍土壁に展望があるのか。
1500メートルもの長大な「壁」を地下に作ること自体、大きなリスクを伴う。既に福島第一の敷地では、1~4号機の原子炉建屋とタービン建屋が「壁」となって存在しており、地下水は建屋周囲で高くなっている。そこから内部に流入しているから、外側に壁を建てれば今度は壁の外周で地下水位が上昇し、深部には高圧がかかり表面では地下水がわき出す。
これは事実上の液状化状態だ。地震が起きれば凍土壁は浮き上がり(水より軽い氷)壁の下から決壊する可能性がある。それも数百メートルが一度に起きるとしたら、想像を絶する。
その段階では建屋が不等沈下などで損傷していたら大量の地下水が流れ込む可能性もある。
もう一つ怖いのは、原子炉建屋のすぐ山側の斜面だ。これは凍土壁に限らないが、凍土壁により10メートル盤で地下水が止められている状態では、陸側の地下水位が上昇する。原発の脇では湧水のくみ上げが行われるが、上流の地下も水が多くなり、崖地や傾斜地では円形滑りが起きやすくなる。もし原発のすぐ後方の崖地が崩落する事態になれば大惨事につながる。特に4号機側の後ろの崖の真下には使用済燃料の共用プールがある。これが崩落した土砂に埋まる事態になれば新たな危機が発生する。
凍土壁の問題に戻れば、共用後の問題点として、建屋からの汚染水流出が懸念される。東電は壁で囲んだ後ならば問題が無いという考えかも知れないが、それはとてつもなく甘い見通しだ。
建屋内に多数のポンプと水位計を設置し、壁の内外にも水位計をつけた観測井戸や注入井戸などを作り、地下水位と建屋水位を同期させて全体を下げていくという方針だが、失敗すれば汚染水の大量流出を引き起こす危険性もありうる。
さらに大きな課題は、建設途中での建屋周辺の地価干渉物と凍土壁の関係だ。
凍土壁は1m間隔で地下30mよりも深くパイプを打ち込み、冷媒で冷やすため、配管やトレンチなどの構造物と干渉する。
約6mもの幅のあるトレンチでは、コンクリートの配管を4~5本貫通させて施行する。この時にトレンチそのものを破壊したり内部の配管類、ここにも汚染水があると思われますが、これを破壊するなどすれば、施工中に大量の汚染水漏出にもなりかねない。そのようなことが起きない工法はまだ開発途上で、完成しているわけではない。
最後に、凍土壁が出来ても果たしてそれが有効かどうかが分からない。理屈の上ではうまくいくのだろうが、壁を設置してみたら予想も付かない位置からの地下水回り込みなどで、結局止水できないという事態もありえる。
300億円以上費やして「効果がありません」では、何をしているのか分からないことになる。
被曝の問題も深刻だ。凍土壁の建設では、建屋の周りでの土木工事が必要だが、ここはとても線量の高いエリアが沢山残っている。とりわけ過酷なのは、1、2号機の間にある排気筒のエリアだ。排気筒自体が最大25シーベルトもの放射線を出しているため、この側での作業はとてつもなく危険だ。これも全く解決していない。東電によれば「設置したらすぐに逃げる」を繰り返すというのだが、そんな突撃隊のような作業環境は、いまさらあり得ないだろう。
まず問題を取り除いてから作業すべきだ。
建屋周辺のガレキは、例えば破壊された車両は最後の一台を残すのみとなったというが、これまでは逆洗弁ピット内に落っこちたままだったりと、とてつもない状況だった。
現状の厳しさと裏腹に、報道もほとんどされなくなったフクイチの現場は、静かに危機を深めている。