⾷品に添加されたトレハロースが クロストリジウムの流⾏の原因だった?

2018年01月25日 10時00分00秒 | Weblog
標記内容の論文がNatureの1月18日号に掲載されました(Collins et al, Dietary trehalose enhances virulence of epidemic clostridium difficile, Nature 553, 291–294 (2018))。トレハロースが難治性腸炎の原因菌であるクロストリジウム・ディフィシルの流⾏の原因になっているという研究結果です。歴史的に人があまり摂取していなかった食材が新たな感染症を引き起こす可能性というのは十分考えられることであり、他の機能性食材でも世に出す際にはしっかり検討しないといけない可能性があるなど、重要な視点と思いました。

国内でも⻄川伸⼀氏のウエブ記事によって大きな話題になったそうで、トレハロースの生産メーカーである林原がプレスリリースで反論する事態になりました。
一部雑誌に掲載されたトレハロースに関する論文について(1月12日)
雑誌Natureに掲載されたトレハロースに関する論文について(1月24日)

両者の主張をよく検証して、正しい見方を持つ必要があります。



バイオエコノミーとは

2018年01月17日 10時00分00秒 | Weblog
日経バイオテクONLINE(1/17)に、高橋厚妃記者が、バイオエコノミーについて「⽣物を利⽤して化学原料や医薬品、⾷品、輸送燃料などを産⽣する技術などバイオテクノロジーがもたらす経済活動のことで、欧州では、各国の政府がバイオエコノミー戦略を選定し、国を挙げて注⼒している状況」と解説しています。

この説明は日本国内でよく用いられているフレーズであり、バイオエコノミーの一つの側面を示しています。しかしながら欧州で用いられている、生物資源にもとづく経済活動といったより重要な本質に触れられておらず、かつ、読者をミスリードする懸念があります。

引続きこの点については詳しく論じていきます。

林原家 同族経営への警鐘

2018年01月08日 12時00分00秒 | Weblog
林原家 同族経営への警鐘(林原健 著、日経BP社、2014年)より。

「すべてにおいて蓋を開けてみなければ何も分からなかった。ただそうした経営でも、不動産に裏付けられた資金力があり、またおよそ10年ごとに大きなヒット商品が生まれたことで、管理体制を改めなくても会社は回った。」

日本一の水飴メーカーから始まり、酵素法ぶどう糖、高純度マルトース、プルラン、インターフェロンα、安定化ビタミンC(AA-2G)、トレハロースを次々と商品化するも、2011年に倒産(会社更生法適用)した「林原」の社長の回想録。

土地本位制の考え方はそごうとつながる。日本のある一時代でのみ使え、そしてその時は持て囃された手法だったのだろう。それにしても、粉飾決算まがいのことをなぜしていたのか。莫大な研究開発にを捻出するためだったのか。社長が絶対的な存在だったので、言われるままに資金を出さざるを得なかったのか。そのための手当てが必要だったので、銀行から多額の借入金を得るためだったのか。こういった倒産に至った本質については、本書では全く触れられていない。

それを知るためには、専務だった実弟の靖氏の回想録、いわば「暴露本」も合わせて読まなければならないようだ。こちらはそれに対する「対抗本」の位置付けなのか。

学者と博士

2018年01月05日 09時00分00秒 | Weblog
NHKによると、「大人になったらなりたいもの」のアンケート調査で、男の子は「学者・博士」が「野球選手」や「サッカー選手」を抑えて15年ぶりに1位になったとのことです。出典は第一生命保険の夏休みこどもミニ作文コンクールアンケート

学者と博士は異なる概念の用語です。これらが並列されているのは良くない表現ですが、一般社会ではこのようなとらえ方に違和感はないようですね。博士はそもそも職業ですらないのですが、「大人になったらなりたいもの」という聞き方から出た答えとして、そのまま「学者」「博士」を取り纏めてしまった結果なのでしょう。

ところでその要因は、NHKが解説するようなノーベル賞の影響などではなく、天才物理学者桐生戦兎のおかげだと思いました。とはいえ「学者・博士」は昨年は2位、それ以前も取り纏め方にもよるようですが、常に上位にランキングされています。実は本当に子供たち(全国の幼児・児童、保育園・幼稚園児および小学校1~6年生)が「なりたいもの」なのでしょう。そしてそれよりも、「野球選手」>「サッカー選手」となったことの方が興味深い。そろそろサッカーも斜陽?

資格貧乏物語

2018年01月02日 00時00分00秒 | Weblog
資格貧乏物語という書籍が昨年前半に出版されました。

ごくごく一部の資格を除いて、士業で稼ぐことなどそもそもあり得ず、稼ぐならば、カリスマ受験講師、セミナー屋、そして開業支援コンサルタントといった、受験生や資格取得者を対象としたビジネスでないと成り立たない、といった視点が、「資格コンサルタント」を名乗る著者から小説形式で示されています。

さらに昨年後半には技術コンサルタントとして独立開業して年間1000万円稼ぐ方法という、某資格所得者に対しては刺激的なタイトルの書籍も出版されました。

こちらには顧客獲得を目指してセミナー講師を企画し、コンサルに持って行くといった具体的な手法が述べられているようです(まだ読んでいない)。

どちらの書籍からも新しい発想が得られました、というか、これまで漠然と考えていたことの整理がつきました。本年はこれらを基盤としたシステム構築を進めていく所存です。


ブログタイトルの再変更

2018年01月01日 00時00分00秒 | Weblog
あけましておめでとうございます。

しばらく放置しておりました本ブログ「生物工学兼業研究者の進む道」を、本日よりタイトルを「生物工学部門技術士の進む道」に変更して心機一転再開します。

2011年4月21日に「企業研究者」から「兼業研究者」に職種?が変更となったのち、2015年4月21日には転職、職種も研究者というよりも「技術士」が主たるものとなりました。

これからは技術士(生物工学部門)としての考えを記述していきますので、お楽しみに!