PHP『心に響く・名経営者の言葉』
第1章 ビジネスチャンスのつかみ方・No.022
「明確な目標を定めたあとは、執念だ。
ひらめきも執念から生まれる」
安藤百福(ももふく)・(即席ラーメンの発明者)
日清食品の創業者(1910~2007)
明治四三(1910)年に台湾で生まれた安藤百福は、幼いときに両親を亡くし、
繊維問屋を経営する祖父母に育てられた。
22歳で、大阪に「東洋莫大小(メリヤス)」を設立した安藤は、事業規模を広げると
同時に立命館大学に入学。経済の基本を学ぶ。
安藤が製麺業に進出しようと決断したのは、戦後のことであった。
敗戦後の食糧難を乗り切るため、当時、厚生省ではパン食を奨励していた。
パンの原料は、アメリカから援助された小麦粉だった。
「小麦粉があれば、麺ができるじやないか。’なぜ、東洋の食文化である麺をも
っと奨励しないのか」安藤は厚生省(当時)に問うたが、返ってきた答えは驚くべ
きものだった。
「製麺業者には零細業者が多く、安定した供給に問題がある。
そういうなら、安藤さん、あなたがやったらどうですか?」
安藤の目標はこの瞬間に決まった。しかし、彼にはその目標に向かうことがで
きない事情があった。
当時、彼はある信用組合の理事長を引き受けていたのだが、その信用組合が
倒産し、莫大な借金を抱えていたからである。安藤は、順調だった事業を清算し、
借金を完済。最終的に彼の手元に残ったのは自宅だけだった。
だが、目標を忘れたわけではなかった。自宅の庭に小さな小屋を建てて研究所
と称し、そこで「いつでもどこでも食べられるインスタント麺」の開発を始めたので
ある。しかし、彼は大きな壁にぶち当たってしまう。麺を腐らせないように乾燥させ
る方法がどうしても見つからない。「もうダメかもしれない」と諦めかけたとき、妻が
揚げ物をするのを見て、麺を油で揚げる方法を思いついたという。
冒頭の言葉どおり、まさに執念を持ち続けたからこそ、ひらめいたアイデアとい
えるだろう。
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