PHP『心に響く・名経営者の言葉』
第1章 ビジネスチャンスのつかみ方・No.009
「全員反対したものだけが、一考に価する。
経営者はこうしたマイノリティの
論理を駆使しなければならない」
諸井貫一・秩父セメント社長、埼玉銀行会長を歴任(1996~1968)
諸井貫一は東京都の生まれである。諸井家は、日本の近代的郵便制度の
創始者・前島密(ひそか)から郵便取扱所の許可を受けた地元の名士で、
貫一の父・恒平は秩父セメント(現在の太平洋セメント)の創始者だった。
東京帝国大学大学院経済学研究科を卒業した諸井は、同大学の工学部
と経済学部で、工業経済論の講師を務めた。
だが、諸井と親戚関係にあった財界の大御所、渋沢栄一に家業を継ぐよう
に説得され、大正14(1925)年に秩父セメントに入社。
その一方で、大学の講義も昭和15(1940))年まで持ち続けた。
太平洋戦争終結後の昭和23年、請井は秩父セメントの社長に就任。
同社を優良企業に育てあげるとともに、経済同友会、日経連、経団連といっ
た経済団体の創設にも大きく関与するなど、日本経済の復興に大きな貢献を
果たした。
経歴だけを羅列すると、まるで「石橋を叩いて渡る」人物のようだが、諸井は
冒頭にあげた言葉のようなマイノリティの重要性、全員一致の危険性を強く主
張している。
人には「同調」という心理がある。「この人たちの意見は本当に正しいのだろ
うか」と思っていても、周囲が「正しい」「正しいに決まっている」と□々にいうと、
正しく思えてしまうという心理である。
討議をしていると意見が危険なほうへ傾くことがあるが、これも「同調」による
もの。みんなが賛成した意見は正しいと思いがちだ、が、諸井はそれが間違っ
ていることをしっかり見抜いていたということだ。
彼は次のような言葉も残している。 「マジョリティ(大勢)が現在を作り、マイノ
リティ(少数)が未来を創る」爆発的にヒットした商品・・・・・・
たとえばソニーのウォークマンなどは、少数派の意見によって作られたものが多いという
ことを心に留めておきたいものである。
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