昔むかし或るところというよりも世界中にコロナが出現しました
食虫植物のようなその容姿は
見た目の美しさとはうらはらに
とても残忍で
コロナの目的は人類の淘汰でした
「人間が多すぎる
少し減らしてやろう」
誰が何の為に作ったのか
それともこの世のどこかから湧いて出たのか知りませんが
コロナの目的はそれでした
最初、淘汰する相手は老人とか既往症を持つ病人とかでした
世の中で必要のないものだけを消そう
ですから若くてイキのいい人間には牙を向きませんでした
コロナは風邪に似た症状を起こさせながら
さいごに肺炎で息のねを止めてゆきました
そうして世界中の人間の数を少しずつ減らしてゆきました
しかし、人間の数は50億とも60億とも言われます
コロナも大変ですが人間も踏ん張ります
殺しても殺してもなかなか人間は減ってくれそうも有りません
そこでコロナは考えました
「殺す対象を広げよう」
コロナは若い人にも子供にも牙を向き始めました
「考えのない若者はいらん」
「子供ならこれから育てる苦労がいらんだろう」
人間は気が付きました
「死ぬのは老人ばかりじゃないぞ」
それでも人間の数がなかなか減らないので
コロナは又考えました
「ちょい休んで対策を練ろう」
どうせ人間はコロナの倒し方がわからないんだと
コロナは思っていました
「時間は十分にある」
人間はコロナの勢いが衰えたと大喜びしました
「これでコロナはくたばった、今のうちにワクチンを作ろう」
しかし、コロナと人間の戦いはこれからも続くのです
いつまでも減らない人間の数と
ワクチンがまだできない人間と
もしかしたらコロナはこの次はウルトラコロナに姿を変えてくるかもしれません
果てしなき戦いがこれからも続いていくのです
