市川稔の米(マイ)情報

コメ流通の現実

スーパーでもデパートでもそうですが。
会社が大きくなると経営陣は販売の現場には立たなくなる。

11月18日に書いたスーパーの社長は店を回ることを仕事の第一にしています。
こういう社長は珍しい。
それでも販売の第一線には立たないでしょうね。

上場したり、店数が増えた、小売店や外食、中食にしても同じ。

いつか、仕事は会議室で会議をすることと、会社以外の人と合うこと、業界活動や財界活動などが主になることはよくあります。

小生も30歳代で100億以上の会社を経営しているときはそうでした。(反省)

会う人が変わってしまうのです。

対法人、対役所で大きな受注をメインの仕事にしているような会社はそれでも良いかも知れません。

流行商品(実はクルマは大きな流行商品であります)や一般消費者を顧客にする会社の社長や役員は現場を忘れたらなにも分からなくなります。

ゴマすりの取り巻きと、ヨイショ、どっこいしょの人間しか寄って来ません。
いわゆる裸の王様になる。

コメ流通も霞が関や大手町の事務所や会議室に居たのでは実態はなにも分からない。

今回、市場に店を出してそのことがよく分かります。

一般の市民、都民、国民がどんな生活をしているのか。
どんな食生活をしているのか。

コメを選ぶ基準はどんなことになっているのか。

おむすび屋の直営店を昨年初めて出した時もそうでした。
自分が店頭に立つからお客様のことが分かる。

実に勉強になります。

こういう人もいました。

年間に30kg入玄米を30袋も買っているという。

えぇ~、商売しているのですか?

いや、自家用ですよ。

そ、そんなに食べるのですか?
子供のところとか、皆で分けるのでそうなるの。

ふ~ん、すごいですね~。

精米はどうするのですか?

コイン精米所に行って自分達でしている。
30kg600円払って。

そうですか~、ここの卸売りセンターの駐車場に今月末にも設置しますよ。

でも、ここでお買い上げ戴ければ店内のコイン精米機で精米するので無料です。

いやはや、産地からの玄米がこれほど多いことに改めて驚く。

もっとも、コイン精米所がこれだけ繁盛していることを知っている小生としてはあたりまえと言えばあたりまえなのですが、実際にそういうことを直に聞くとやはり驚くのであります。

別のお客様は、会社経営している奥様ですが、社員のご飯の賄いで月間180kgくらい玄米買っている。
新潟と富山のコシヒカリしか買ったことがない。

ここはいろいろな産地生産者の玄米があるので驚いた。

送料が高いのでかなり高い金額で買っていると言う。

近くにこんな店があれば実に便利だと言う。

千葉出身の子がいてその子の家からも買ったがもう在庫無いと言われて。
(これは格安だった)

そう、いろんな流通があるのです。

また、あるお客様はこんなことを言ってくれました。

もう何十年も庄内の農家からコメ送ってもらっていたが、高齢なのでコメ作り辞めたと連絡あり買えなくなったとか。

実に様々な人生模様があるのです。

小生が何度も言っているように、農協のコメというのは国内生産量の4割弱に過ぎないのです。

ところが、コメ生産販売はあたかも農協ルートがほとんどであるような錯覚を役所も政治家もしているのではないかと思うのであります。

コメが売れないのは農協ルートのものなのです。

売れないコメと売れるコメ。

実態をご存知ない役人が作る政策はそこが根本的に分かっていない。

コメ価格下落でどうなるか?
小生の予測では「本場」の「産地」が最大の打撃になると見ている。
生産量多く農協のシェアが高い地域という意味です。

農業者個別所得補償するにも、販売農家すべてというのだから主業農家で売り先を持たない農家が一番打撃が大きい。

補償など必要ない趣味農家に小さなお金ばらまいても意味ないと思うが。

まぁ、そんなこと言っても仕方ないので、商人は一緒懸命仕事に励むことにしよう。

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