東京都あきる野市の調布市職員、大福(おおぶく)康代さん(54)と弟の広和さん(51)が失跡した事件で、警視庁五日市署捜査本部は7日、姉弟の口座から現金を引き出した窃盗容疑で逮捕していた土木業、伊丸岡(いまるおか)頼明容疑者(64)=福生市本町=の供述に基づき、長野県飯綱町赤塩の畑から姉弟とみられる男女の遺体を発見した。捜査本部は身元の確認を急ぐ一方、伊丸岡容疑者と、同じ窃盗容疑で逮捕している元あきる野市職員、沖倉和雄容疑者(60)=あきる野市秋留=の2人を死体遺棄容疑で再逮捕する方針。
遺体が見つかったのは、上信越自動車道豊田飯山ICから南西に約5キロ離れた畑。沖倉容疑者の義弟が所有しており、かつてリンゴ畑があった。伊丸岡容疑者が「姉弟の遺体を埋めた」と供述をしたことから、7日朝から現地に同行させ捜索をしていた。遺体は、畑の土の中に埋められていたという。
周辺は小学校や民家が立ち並ぶ田園地帯。畑につながる道は人通りがなく、夜は真っ暗になるという。
大福さん姉弟は先月10日から行方が分からなくなり、警視庁は当初、事件と事故の両面で捜査を進めていた。その後、沖倉、伊丸岡容疑者が姉弟の口座から現金計五百数十万円を引き出していたことが判明し、同21日に窃盗容疑で逮捕。失跡の経緯も知っているとみて追及していた。
これまでの窃盗容疑の調べに対し、伊丸岡容疑者は容疑を認めていたが、沖倉容疑者は「身に覚えがない」と否認を続けていた。伊丸岡容疑者は最近になって遺体を埋めたことを認めたという。
姉弟は資産家として知られ、98年にはJR五日市線武蔵増戸駅前の土地を約3億3000万円で、05年にも別の土地を約1億円で、いずれもあきる野市に売却していた。
沖倉容疑者は元あきる野市職員として、市民の資産状況を知りうる立場にあった。捜査本部は姉弟の資産情報を得て預金を狙った可能性があるとみて調べている。