とある、タイの市場。
入居するテナントがほぼ洋服問屋という8階建ての雑居ビルを、この日もまだ見ぬネオ日本語Tシャツを求め、しらみ潰しに見てまわっていた。
アジアの問屋街は、日本のそれとは雰囲気が違い、とにかくゆるい。
人の出入りも多くないので、店員さんはたいていスマホをイジっているか、昼寝をしているか、ご飯を食べている。
店に入ってもそのまま。かなり放置してくれる。
がっついて営業かけてくるお店はむしろ少数で、なんだかゆるさが心地よい。
そんな問屋ビルの地下の一角に、カラフルなリュックが棚にポツンと置かれていた。
赤、黄、紫のビビットな配色。
私の好きなももクロカラーで、おもわず目に飛び込んできた。
でも、よくよく書かれてる漢字を見ると、なぜか
「呪」
なのだ。
いやいや、「祝」ならまだ分かるけど!
こんなに明るいカラーリングのリュックなのに、まさか呪われているとはね。