iPhone 4を徹底検証! 実物はやっぱり凄かった!!
nikkei TRENDYnet6月24日(木) 10時43分配信 / 経済 - 産業
本日からは日本で発売が始まるアップルの新型多機能携帯電話「iPhone 4」。一足先に試用できたので、その使用感をリポートしたい。
ラグジュアリー感の漂う新デザイン
約1年ぶりの新型となるiPhone 4は、外見も中身のソフトウエアも一新したまったく新しいiPhoneだ。従来機種の「iPhone 3GS」より3mm薄くなったボディーは、角が立ったスクエアな形状に変化した。iPhone 3GSは、底面に丸みをもたせることで本体を薄く見せていたのに対し、iPhone 4では内部のパーツをパズルのように効率よくレイアウトしたり、パーツを小型化したりすることでボディー自体を薄くしたのだ。厚さ9.3mmは、スマートフォンの中では最薄だ。
前面と背面には、「アルミノケイ酸ガラス」という化学処理を施して強化したガラスを使っている。通常のプラスチックより30倍の強度、20倍の剛性を持っており、ヘリコプターなどのフロントガラスにも使われている。傷が付きにくく、耐久性も非常に高い。背面にも使うことで、ボディーの一体感が増し、どこから見てもきれいで高級感がある。新しく用意した純正カバーの「バンパー」は、側面だけに装着するものだ。きれいになった背面も隠さずに見せてほしいというアップルからのメッセージだろう。
スクエアで角が鋭く見えるが、手に持つと尖った感じはない。エッジ部分を大根の面取りのように細かく処理しているためだ。ボリュームの丸いボタンのエッジも同じように処理されている。この処理により、光が当たるとキラキラ光り、ラグジュアリー感もある。女性にはiPhone 3GSより断然iPhone 4の方が魅力的に映るのではないだろうか。
重さは137g。iPhone 3GSより2gだけ重くなっている。本体が薄く、コンパクトになっているため数字以上に重く感じる。それでもソニー・エリクソンの「Xperia」より軽い。
ボタンのレイアウトは基本的にiPhone 3GSと同じだ。初代iPhoneから培った経験から、加えるものも削るものもないと判断したのだろう。シンプルで誰でも簡単に操作できるのは、タッチパネルだけでなく、必要最低限かつ必要十分なボタンも影響しているのではないだろうか。
レイアウトが変わったのはSIMカードスロット。マイクロSIMとなり、右側面に挿入口が移動している。使いながら気がついたのは、底面のスピーカーとマイクの位置が入れ替わっていること。飲食店で食べ物を撮影する際に、スピーカーを手で押さえてシャッター音を静かにしていた人は、逆になるので気を付けよう。
印刷物のような超美麗な液晶
iPhone 3GSやiPod touchユーザーが一番驚くのが高精細なディスプレイだ。サイズはiPhone 3GSと同じ3.5インチで、縦横のピクセル数がそれぞれ2倍に増え、解像度は4倍に高まった。960×640ピクセル、解像度326ppiだ。サイズは同じなので、かなり高精細になっている。パッと見は印刷物のように見える。もしくは、店頭に展示されているモック品のようだ。視野角も広く、どの角度から見ても色反転しない。iPadにも使用している「IPSテクノロジー」を使っていることが大きい。友人と2人で画面を見る際に便利そうだ。スマートフォンは、パソコンのように目とディスプレイの距離や角度が一定ではない。寝ながら見たりすることもある。視野角が広がった恩恵ははかりしれない。
コントラスト比もiPhone 3GSの4倍の800:1まで高まっている。写真の黒はより黒く見える。コントラスト比が上がったことで、太陽光の下で見ても画面が見やすくなった。
同社では新液晶を「Retina(網膜)ディスプレイ」と呼んでいる。一つひとつのピクセルを肉眼では確認できないほど細かいためだ。Webページを見て、ギザギザに見えることはほとんどない。2バイト文字の日本などでは、文字の表示がすっきりして、かなり読みやすくなっている。
画面はiPhone 3GSと見比べるとその差は歴然だ。アイコンの四隅や、時計のアプリの数字や針をよく見ると、細かさが分かる。店頭で実物を見るかアップルのWebページを見てもらいたい。
数字以上のパワーアップ! 5メガピクセルの新カメラ
内蔵カメラは、5メガピクセルに画素数が上がった。iPhone 3GSが3メガピクセルなので、それほど大きく変わったようには見えないが、新たに光量の多いLEDフラッシュが付いたほか、インカメラも付いたことで、使い勝手が大幅に高まっている。
メインカメラには、スマートフォンでは採用機種がまだ少ない裏面照射型CMOSをいち早く使った。最近のコンパクトデジカメに採用機種が増えている CMOSだ。高感度に強い、ノイズが少ない、ダイナミックレンジが広いなどのメリットがある。
実際に撮影すると、とにかく暗所での撮影能力が高まっているのが実感できた。LEDフラッシュは光量がかなり強く、まっ暗なところでも撮れる。フラッシュほど遠くには光が届かないが、手元のものや隣に並んでいる人の顔などははっきり撮影できる。裏面照射型CMOSの効果で、夜景もきれいに撮影できるようになった。夜空のグラデーションがしっかりしており、ビルの光も細かな所まで再現されている。同じ裏面照射型CMOSを使ったコンパクトデジカメの写真には劣るが、スマートフォンであることを考えるとかなり高画質と言える。
インカメラとメインカメラは、カメラ画面右上のアイコンをタッチすると切り替わる。LEDフラッシュは、オート、オン、オフの3つから選択できる。ムービーと静止画は右下のアイコンで切り替える。
そのほかにも従来はアプリを使わないとできなかったデジタル5倍ズームが可能になった。
iPhone 4専用アプリ「iMovie for iPhone」
iPhone 4のカメラは、動画撮影機能も強化している。720p(1280×720ドット)、30フレーム/秒(fps)のハイビジョン動画が撮影できる。LEDフラッシュも使えるので、暗い場所でも撮影可能だ。ピント合わせは、写真と同じように、ピントを合わせたいところにタップすれば良い。撮影した動画は、 iPhone 3GSと同じようにフィルムロール風のインターフェイスでカット編集できる。メールに添付したり、大手動画共有サイト「YouTube」へのアップロードも可能だ。インカメラでも動画は撮影できるが、画質はVGAに下がる。
動画機能で注目なのが、iPhone 4専用のアプリケーション「iMovie for iPhone」(4.99ドル)だ。Mac用のアプリケーションをiPhone 4向けに改良したもので、iPhone 4のマルチタッチ向けにユーザインターフェイスをカスタマイズしている。動画の編集というと、面倒で時間ばかりかかると思う人もいるかもしれない。しかし、使い方はいたって簡単。使いたい動画とモダン、明るい、旅行、愉快、ニュースの5つのテーマから好きなものを選べば、自動でオシャレな動画ができあがる。操作に対するレスポンスも軽快だ。ハイビジョン動画の編集は、パソコンであっても高速なCPUや大容量のメモリーがないと時間がかかってしまう。 iPhone 3GS向けには提供しないことを考えると、iMovieにはiPhone 4に新しく搭載したiPadと同じ「アップルA4チップ」が必要不可欠なのかもしれない。
動画や写真を入れ込んだり、BGMを変えたりも可能だ。iMovieを起動しながらでも動画が撮れるので、撮影しながら即編集という使い方もできる。動画の尺の長さを調整する場合は、ピンチで下のカメラロール(時間の軸)をズームインして細部を見ながら、黄色いバーを動かしてカットなどができる。GPS により位置情報もつけられる。BGMは動画内で人がしゃべるシーンで、自動でBGMのボリュームが下がるなど細やかな配慮も。
動画は敬遠されがちだが、これだけ簡単にちょっとオシャレな動画が作れるなら試してみる価値は十分あるだろう。
使いやすさをさらに突き詰めた「iOS 4」
iPhone 4は、基本ソフトも一新している。iPhone 3GSやiPod touch向けに6月22日公開した「iOS 4」だ。新機能は100以上ある。
一番注目されているのはマルチタスクへの対応だ。iPhone 3GSでは、iPod機能など一部バックグラウンドで動作するアプリケーションはあったが、サードパーティもバックグラウンドで動作することを念頭に置いたアプリが開発できるようになった。ホームボタンを2回押すと、画面の下に起動中のアプリが表示され、アプリを切り替えられる。メールを作成しつつ、 Safariで情報を調べて文字をコピー、メールに戻り張り付ける、というような作業ができるようになった。
ただし、すべてのアプリがマルチタスクに対応しているわけではない。ゲームなどは一度、違うアプリに切り替えるとホームの画面に戻るものもあった。気になるのは、複数のアプリを同時に起動すると動作が重くなってしまうのではいうことだ。同時に起動できるアプリの数に制限はないようだが、何個起動しても重くなったとは感じなかった。iOSのマルチタスクは、アップルがマルチタスク用のAPIを用意し、アプリはそのAPIを利用するという形をとることで、電力消費やパフォーマンスの低下を最小限に抑えている。
フォルダ機能も便利な新機能の一つだ。最大12個までのアプリをまとめておける。まず好きなアイコンを長押しする。アイコンが揺れだしたら、まとめたいアイコンに重ねるように動かせば、フォルダができあがる。フォルダ名も自動で付けられるが、ユーザーが好みの名前に変えることも可能だ。カメラアプリやゲームなどをまとめておけば、いちいち画面を移動する手間が省ける。
そのほかにも複数のメールアカウントをひとまとめにしておけるようになったり、スレッド表示したりできるようになった。文字入力では、アスキーアートの顔文字が用意された。文字と読み仮名を登録できる辞書機能も追加された。
このほかにも多くの便利機能が追加されている。詳しくはこちらの記事を参照してもらいたい。
思わず長話してしまいそうな「FaceTime」
2010年6月7日(米国)に米国で開かれたWWDCの基調講演で、「One more thing…」で紹介されたのがiPhone 4同士で使えるテレビ電話「FaceTime」だ。Wi-Fi接続環境下のみで使える機能で、インカメラに写った相手の顔を見ながら通話できる。
FaceTimeを使うには、かける場合は、コンタクトリストでテレビ電話したい人を選んで中央の「FaceTime」を押すか、呼び出し画面から「FaceTime」のボタンを押す。3G回線で電話しながら、Wi-Fi環境に入ったらFaceTimeに切り替えるといった使い方ができる。3G回線からWi-Fiに切りかわるのに少しだけ時間がかかる。FaceTimeになると、相手の声がスピーカーから聞こえてくるので耳の近くにiPhone 4があると、音が大きくて驚くので気を付けよう。FaceTimeを受ける場合は、画面に表示される「許可」を押せば良い。特別な設定は一切いらないので、購入後すぐに利用できる。
インカメラとメインカメラはカメラアプリと同じようにシームレスに切りかわる。縦、横も同じだ。Wi-Fiの速度により、画質は変化する。通信速度が遅ければ少し画質を落として滑らかに動作するようになっているようだ。どのくらいの通信速度が必要かは公表されていないが、イー・モバイルの「ポケット Wi-Fi」でも使えるので、出先でWi-Fi環境がなくてもFaceTimeが使える。スティーブ・ジョブズCEOはWWDCの基調講演で、「2010 年中はWi-Fi環境だけで使える」と語ったことを考えると、来年には3G回線を使ってもFaceTimeが使えるようになる可能性はある。また、Mac のiChatなどとも連携できれば、さらに利便性は増すだろう。
FaceTime中は、本体上部のセカンドマイクを使って音を拾う。本体下部のマイクは、手で持ったときにふさぐ可能性があるためだ。音質はクリアで聴き取りやすかった。動画と音声のずれもそれほどない。相手が早く動くと映像が乱れるシーンもあったが、許容できるレベルだ。
FaceTime中もマルチタスクが利用できるので、Safariやメールを見つつテレビ会議も可能。音声だけを切断することもできる。
FaceTimeは思わず長電話したくなる新機能だ。無線LAN環境でしか使えないが、家でゆっくり使うにはちょうど良いのかもしれない。海外で利用できるかはテストできなかったが、使えればSkype代わりに使えて便利だ。
ヒットの要素が満載のiPhone 4
iPhone 4の実物を手にすれば、その完成度の高さに驚くはずだ。一新したデザインと進化したOSを搭載したiPhone 4は、まったく新しいiPhoneに生まれ変わったと言える。
従来機種は、解像度の面で4月に発売されたXperiaに劣っていたが、iPhone 4ではスペック的に上回った。そのため、カメラで撮影した写真などを以前よりかなりきれいに表示できるようになった。ハイビジョン動画の撮影や iPhone上での編集機能、テレビ電話などの新機能も盛り込んだ。上りの通信速度も改善したほか、iOS 4とアップルA4チップにより全体の動作も機敏になっている。Twitterでつぶやきと一緒に写真をアップロードするなど、多くのiPhoneユーザが利用するであろう一連の作業がより短時間でできる。目には見えないが、大きな改善点だ。Flashの表示には対応していないなど、小さな不満はあるが、 iPhone 3GSでも対応していなかったので、大きな弱点になることはないだろう。
今までiPhoneの購入に踏み切れなかった人もiPhone 4に触れれば、その完成度の高さに気持ちを後押しされるはずだ。米国に次ぐ数のiPhoneユーザを抱える日本で、iPhone 4がどのように受け入れられるか注目だ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100624-00000006-trendy-ind