例によって、文章は順次、加筆していきます。
10:45 米空軍、第35戦闘航空団F-16CJによるデモフライトがはじまった。
35FWの任務は、ワイルド・ウィーゼル(野イタチ)。
獲物を鋭い鼻先で嗅ぎ分け、息を殺して近づいて、鋭い牙で一瞬のうちにハントする野イタチのごとく、敵の防空システムを破壊する任務を持つ。
本来、地対空ミサイルは一方的に航空機を攻撃していたものだが、WW機の登場でその様相が一変した。
WW機は敵の防空施設から発信されるレーダー波を探知(ということは、敵の地対空ミサイルに自分を晒すということ)し、その電波発信源に対してAGM-88 HARM(High-speed Anti-Radiation Missile)などの対レーダーミサイルを撃ち込む。HARMより射程の長い地対空ミサイルにWW機が狙われた場合、敵の地対空ミサイルが先に発射される可能性が高いため、危険度はかなり高い。敵から発射された地対空ミサイルがWW機に到達する以前に敵の防空陣地を破壊するには、対レーダーミサイルの射程を長くし、また高速化をはかる必要がある。
そのためHARMは、最大射程約40海里(約70km)、最大速度はマッハ3(約3700km/h)とされ、また発射後は自律誘導。つまり発射母機の誘導を必要としないため、母機はすぐに回避行動が取れる。HARMは敵のレーダー波を追尾するが、HARM自身は高速で小さく電波を一切発しないために探知される可能性も低い。もし仮に敵に気づかれてレーダーをシャットダウンされても、目標位置をメモリに記録しており、最後に探知したレーダー発信位置に向けて高速で飛翔する。
湾岸戦争ではイラクの防空網を約24時間で壊滅させ、またその後もレーダー波の発信を行わせない抑止効果を生んだ。たしかに、レーダーの電源を入れるといきなりミサイルが飛んでくる状況では、抵抗のしようもない。
さて、そんなチキンレースのような任務を持つ35FWだが、海兵隊岩国基地フレンドシップデーをはじめ、航空自衛隊の各基地でも精力的にデモフライトを行っており、見かけることは比較的多い。
ここ三沢は、そんな彼らのホームベース。
パイロットも地形を完熟している分、慣れた飛び方をしているのがわかる。
F-16は、ブレンデッド・ウィング・ボディ(翼と胴体の境目を滑らかにつないで空力特性を上げる)のコンセプトで整形された機体で、それまでの航空機のイメージを変えた。
シンプルな女性的なラインが美しい。
ファントムがビールジョッキなら、ファルコンはワイングラスだろうか。
湿度が上がり、大量のベイパーが発生する
F110エンジンが、軽量小型の機体をグイグイ推す。
F-2に比べるとしなりの少ない主翼も、これだけGがかかるとさすがにしなっている。
青空に映えるスリムな機体
ロービジ(低視認)塗装のため、国籍マークや垂直尾翼のレターなども薄い。曇り空をバックにすると、機体はほとんど見えなくなる。
バーティカル・キューバン・エイト
これだけのGをかけられるのは、機体の構造、エンジンの出力などに加え、座席が30度傾斜していてパイロットが寝そべったような姿勢で操縦していることも大きな要因。実際にコクピットに座ってみると、肩の高さと両膝の高さがほぼ同じことに気づく。つまり高いGがかかっても血液が頭から下がりにくく、意識を保っていられるということ。
ナイフエッジ・パス
最後は会場左後方より超低空高速進入、そのまま大きく右旋回して管制塔をかすめ、会場右後方に消えていった。ブルーインパルスのファンブレイクを、さらに低く近く速くしたような機動。
単純な動きだが、これには度肝を抜かれた。
11:25 F-16のフライト終了後、すぐにVFA-102のF/A-18Fによるデモフライトがはじまる。
まずはフル・アフターバーナーでの離陸・・・うをっ!( ̄□ ̄;)!!
離陸直後、いきなりロール!
離陸後の、まだ速度もまったく乗っていない状態でゆっくり機体が回り始める。
えぇ~!(◎_◎;) と我が目を疑うくらい速度が低い。
しかし2基のF414エンジンのパワーは凄まじい。ロール中でも速度が上がっていく。
テイクオフ・ロールはブルーインパルスの6番機をはじめ、何度かみたことがあるが、これほどの迫力はない。
ちなみにこのロールのあと、機首を引き起こしそのまま垂直に駆け上っていった。。。
F-15よりデカいF/A-18Fは、小型のF-16に比べると緩慢な動きに見える・・・はずなのだが、ハイスピードパスは本当に速い!
超低速(100km/hくらい?)から遷音速(1100km/h)域まで、どの速度でも機動性が高いことをアピールする。
一瞬だけ、機体に陽があたる時間があった
背面飛行で会場を通過したあと、なんとそのままアウトサイド・ループ(逆宙返り)の要領で機体を引き起こし上昇していった。いったいどのくらいのマイナスGがかかっているのだろう・・・
ショック・コーンは、音速寸前の速度で飛行する際、機体の一部が大気に対して部分的に音速を突破することで発生する衝撃波の渦。
つまり本当に音速(1224km/h)寸前で飛んでいる証拠だ。
また、ショック・コーンが発生しているということは、つまり衝撃波が機体を叩いているということで、実は機体には相当の負担がかかっている。
そういえば以前、トムキャットがこのような飛び方をしていてそのまま空中分解する映像を見たことがある。観客の前でこれを見せられるくらい、スーパーホーネットの機体は頑丈だということだろうか?
ショックコーンは、湿度が高ければ機体の後ろ半分が三角錐の蒸気に包まれるほど大きく発生するが、今日はこれだけだった。
少し残念。。。
フライ・バイ・ワイヤによる制御システムと高出力のエンジンにより、F/A-18E/Fは不思議な動きをする。
たとえばコブラ(もどき)。
左:コブラもどき 右:通常の引き起こし。ベイパーの出かた、水平尾翼の角度が異なる
この技は、水平飛行しながらいきなり機体を垂直に立てるもので、一瞬にして機首が上を向く荒業。
これまではSu-27をはじめとする一連のフランカーシリーズの独壇場だったが、これに近い動きをスーパーホーネットもできる。。。とは聞いていたが、見たのははじめて。
人間の操作では絶対にできない動きで、これもコンピュータが操舵している機体ならでは。
ほかにも、背面飛行からいきなり機首を下げたり、片翼のみを失速させたスナップロールをしたりと、大型の機体には似合わない派手な機動をくり返していた。
背面飛行から急激に機首を下げる。大量のベイパーが発生
F-16は速くクイックだが、基本的には従来の戦闘機の延長線上の動きであるのに対し、F/A-18Fは動きそのものがおかしい。どちらかというと、アエロバティックスでみかけるアクロ専用機の動きに近い。
その不思議な機動のスーパーホーネットは、最後に艦載機ならではのショート・ランディング(短距離着陸)を行いショーを締めくくった。
11:55 つづいてエアロック・エアロバティックチームのPitts S-2Bによるショーが始まる。
さっきまでのジェットエンジンの轟音に比べ、ライカミングの水平対向エンジンの音はとても軽やか。
かといって非力かといえばそうでもなく、Pittsはパワー・ウェイト・レシオ(推力重量比)では戦闘機にも引けをとらない。
エアロックは晴天率、荒天時のフライト率がとても高いチームだが、このフライトの時も見事に晴れ上がっていた。
・・・それにしてもサニーさん、うまくなったな。
機軸をずらしたままロールするタンブリング
ロック岩崎氏亡き後、一時はチームの存続も危ぶまれたが、その前年から訓練を開始していたサニー横山氏の不断の努力と、チームスタッフの執念、周りから支えるファンの思いは揺るぎない強固なものであり、それらが実って今年無事に復活を果たした。
右主翼だけを意図的に失速させるスナップロール
サニー横山氏はまだアクロバットパイロットとしてのフライト時間は短いが、その上達ぶりは目を見張るものがある。
2004年の岩国フレンドシップデーの時に、大観衆に緊張して顔面蒼白となっていた人と同一人物だとは思えないくらいだ。
いたっきいには想像もつかないほどのストレス、プレッシャーと戦ってきたのだろう。脱帽。
エアロックのショーも大成功のうちに終わり、ここで昼休み。(航空祭は、正午から約1時間の昼休みがある)
おなかが空いたので、屋台で買ってきたトムヤムクンを食べる。
おー辛い。
食後に軽く甘いものを・・・と、チョコレートを取りd溶けてやがる!
これだけ暑いから当たり前なんだけど、かなり悔しい。
悔しかったので粘体のチョコレートを飲み干してやった。
続く・・・
それ以前のものは大丈夫だといいのですが。。。
心からお見舞い申し上げます。
実は、、、三沢航空祭のあと、パソコンのハードディスクが壊れてしまって、これらの画像は復旧できたデータから取ったものなんです。
全体の3割くらいしか拾えませんでした。もっといい写真が撮れていたかも知れないと思うと、悲しくなります。
■どんちゃんさん
>ずっとレンズ越しでしか見てないんじゃね?
大丈夫。半分くらいは肉眼で見てるよ。
でも、慣れてくると飛行機から殺気?を感じるようになるもんで、( ̄□ ̄;)ハッ!と感じるといつのまにかカメラを構えてる。。。
だからここぞ!というタイミングではファインダー越しで見ることが多いかも。
>とりあえずの目標は、来年GWの岩国…
それまでにも航空祭はあるよΨ(`∀´)Ψウケケケ
現地でお会いしましょう
■カチョーさん
新レンズ(=キヤノン砲)のおかげで威力倍増です。
30Dの後継カメラは1000万画素オーバーは間違いないので、出たら買っちゃうかも。。。
■ichirouさん
>これこれこれ!失速寸前のアクロが見てて一番怖い。(楽しい)
確かに!見てて不安になりますよね。
スパホは艦載機なので、遅い速度でも飛べるような設計なんですが、それにしてもパイロットも怖いでしょうね。
ちなみにグライダーの場合、最も効率よく飛べる速度は失速速度+15km/hくらいなんですが、いたっきいは怖いので若干プラスして飛ぶことが多いですよ。本能的に怖いです。
8ポイントロール、失速寸前のフライト、コブラなどは、「もてぎ」で見ることができるでしょう。楽しみですね!
ありがとうございます。
>速度もまったく乗っていない状態でゆっくり機体が回り始める。
これこれこれ!失速寸前のアクロが見てて一番怖い。(楽しい)
ロールも早い4ポイントよりも遅い8ポイントとか
F414エンジンのパワーって凄いんですね~♪
今回もCANON砲炸裂でつね!!
んでも、いたっきぃさん、ずっとレンズ越しでしか見てないんじゃね?
ちゃんと見てるかぁ?
しっかし、格好イイな…
おいらも、何かこういうの見に行こう!
とりあえずの目標は、来年GWの岩国…
現地でお会いしましょう(笑)
思わず一言でした。。。