2011年3月25日。
世界で唯一、非量産機として世界最大の輸送機、アントノフAn-225「ムリーヤ」が日本に飛来しました。
で、まず「ムリーヤ」ってなんぞ?って話から。
An-225「ムリーヤ」は本来、こういう使い方(wikipediaより)をするためのもので、An-124「ルスラーン」をベースに拡大設計されました。
考え方は、ボーイングB-747-100を改造したこれ(wikipediaより)と同じです。
旧ソ連邦時代に2機が製造されることになり、まず1989年に1機目が完成。実際にソ連版スペースシャトル「ブラン」の輸送も一度だけ行っています。その後ソ連崩壊と前後して「ブラン」計画も破棄され、存在意義のなくなった「ムリーヤ」の1号機、製造途中だった2号機ともにウクライナの工場に放置され、An-124などの部品取りに使われてしまいます。
転機が訪れたのは、1999年。
このときアントノフ航空では、An-124などの大型輸送機を使った貨物輸送ビジネスがうまくいっており、より大きなペイロードを持つAn-225の戦力化で、より柔軟な運用ができるものと考えました。そこで操縦システムや機器類に大幅なアップデートが施され、1号機は2000年にめでたく再就役、運用実績も良好だったことから2006年には2号機も完成させる計画を立てましたが、こちらは残念ながら2009年に放棄されてしまいました。
そんなわけでアントノフAn-225は「世界でたった1機」の超巨大輸送機として世界の空で活躍することになりました。
日本への初飛来は、2010年2月9日。
ハイチで発生した地震被害に対し、人道支援物資や重機など約100tの物資を地球の反対側まで運ぶという目的に最適だとして、防衛省がチャーターしたときです。100tという積み荷の重量だけを考えれば、米軍の戦略輸送機C-5や、An-124でも輸送可能ですが、たいていの搭載物は重量よりもその大きさが問題になります。ハイチ支援の際にAn-225を使用したのも、その機体規模の大きさ故だったのかもしれません。
◆◇◆◇◆◇
今回は、フランス大使館の広報によりその飛来を確認しました。
「大量の支援物資は大型輸送機アントノフAn-225に搭載され、火曜日にフランスのシャトールー空港を出発予定です。」
garbagenews.com さんのコチラの記事より、出発の様子を見ることが出来ます。
おっしゃ!キタ!
出発時間が判明しているなら、到着時間もわかるというもの。
日本に到着するのは3月25日早朝と見込み、またtwitterでの情報により成田への飛来がほぼ確定、急ぎ成田空港に向かいました。
3月25日0555時。
成田空港南側のクルマが停められる地点に到着。マニアな皆さんがあちこちで待ち構えています。どうやら、読みは正しかったようです。
ただ一点、「今回は飛行機を撮ることもないだろう…」と思い、姫路の自宅から市川の事務所に望遠レンズを持ってきていなかったことが悔やまれます。(でもカメラと標準ズームは持ってたw) 特に70-200ミリf2.8 IS がないことが本当に悔しい。想像以上に機体が大きくて標準レンズでも撮れますように…。
0614時。
朝の空港業務が始まり、数機のボーイングB747が立て続けに着陸した直後でした。
ラジオ(航空無線の受信機)は持っていませんでしたが、今までに見たことのないランディングライトの並び方から、「これだ!」と直感。
成田空港の南の空に、とうとうその怪鳥が姿を現しました。
即座にtwitterに投稿!「ムリヤ来た」
でも意外と小さく見える。
こりゃ広角での撮影はムリーヤ…
コクピットのサイズ、車輪の数、6基ものエンジン…機体規模がお分かりだろうか
でも、目の前に来ると大きかった…
長駆フランスからやってきた機体は、静かに成田のA滑走路に滑り込んでいった
霜柱の太い冷えた朝、数十人がこの瞬間を撮るために集まっていた
怪鳥は、聞き慣れない、やや甲高いエンジン音を響かせながら、それでも静かに空港に降りていきました。
twitter「撮った」
◆◇◆◇◆◇
今回、An-225が飛来したのは、もちろん東北地方太平洋沖地震に対する支援物資・人材の輸送のためです。
以下、フランス大使館のサイトより転載
フランスから日本に追加支援 http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article4620
■技術支援は、アレヴァ(仏原子力大手)、フランス電力公社(EDF)、フランス原子力庁(CEA)で構成されるINTRA(原子力事故ロボット工学的介入経済利益団体)により提供されます。輸送物資は以下のとおりです。
放射線防護および放射線量計測装備30トン
大気モニタリング用トレーラー1台および環境放射線測定用トラック3台
排水ポンプ10台、可動空気圧縮機5台、自家発電機5台
■人道支援はフランス外務・ヨーロッパ問題省の危機対策センターより提供され、輸送物資は以下のとおりです。
毛布 7,000枚
ミネラルウォーター 10万本
酸素マスク 100万個
缶詰の果物 5トン
乾燥スープ 5万食
アルコール消毒液 10万ボトル
医薬品・医療関連品 5トン
以上に列挙した大量の支援物資は大型輸送機アントノフAn-225に搭載され、火曜日にフランスのシャトールー空港を出発予定です。貨物の総重量は150トン、総量は1,100㎥に及びます。
日本到着後の支援物資の分配は、現地に派遣されているフランス市民安全部隊の2隊が行います。ユーロコプター社はヘリコプター2機を提供し、この分配作業を支援します。
なんとも…、とんでもない量です。
「いや、飛んでるけど?」とかツッコミはなしでw
この150t、1,100㎥もの物資は、成田空港の南カーゴエリアにて搬出されました。
長大な主翼、6基のエンジン、双垂直尾翼。周りの航空機と明らかに違うスタイル
手前B777、左B747。An-225は遠くでも存在感がある
このときの模様について。フランス大使館のサイトより転載
フランスから支援物資が到着 http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article4640
150トンの技術・人道支援物資を積んだフランスの大型輸送機が3月25日、成田国際空港に到着しました。
フランスは在日フランス大使館およびフランス市民安全部隊分遣隊の支援を受けて、この支援物資を地震で最も深刻な被害を受けた宮城県仙台市に自ら輸送します。分遣隊は現地で2週間近く活動しています。ユーロコプターはヘリコプター2機を派遣し、支援物資の輸送を支援する予定です。
フィリップ・フォール駐日フランス大使は3月26日、被災者との連帯を示すとともに、支援物資の到着を自らの目で確かめるために仙台市を訪れました。フォール大使は、フランスの外交機関を現地で代表する在仙台フランス名誉領事およびアリアンス・フランセーズ仙台院長と会いました。両氏は仙台市で今般の震災当初から、現地在留フランス人の保護および援助で大きな役割を果たしています。
フランスの支援物資は宮城県および仙台地方の避難所を管理する支援団体の手に委ねられます。
仙台におけるこの重要な支援活動に加えて、フランス市民安全部隊分遣隊の隊員約20人が現在茨城県で、3月24日(木)に別便で到着したヨーロッパ連合の人道支援物資の荷降ろし作業に協力しています。
さて。
フランス政府は今回の災害に対し、大量の支援物資のほか、人員の面でも多大な支援を行っており、本当にありがたいというほか言葉がありません。
また、フランスは世界でもっとも原子力発電を推進している国であり、その発電量は、全体の約80%を占めています。自国の政策への影響を最小限にするため、また国民の原子力発電への不安を和らげるためにも、フランス政府は“FUKUSHIMA”を早急に沈静化させる必要があります。An-225の飛来は、フランスの原子力政策の命運を握っていると言っても過言ではないのです。
今回持ち込まれた機材が、福島第一原子力発電所の事態終息にむけて活躍することを、切に、切に、願っています。
【関連記事】garbagenews.com さん
仏からの支援物資や原発事故対策機材を満載した世界最大の輸送機An-225、成田空港に到着・荷物搬出開始
で、次の予定もあるのでとっとと帰ってきたら、
twitterへの投稿がまとめられてたw
http://www.jgnn.net/ls/2011/03/an-225-1.html
@Fuwarin さん Special Thanks!
【Amazon】 無骨なようで流麗なデザインが卓上で愉しめる逸品
Herpa 1/500 AN-225 アントノフ設計局 2009年新塗装 | |
ヘルパ | |
輝いてゐます・・・確かに
まぁ、しかし、大きいですね。
もし、お時間がおありなら・・・IDFが50人の要員と70t近くの物資を2機の輸送機で送り込んでくれたとの報道ですが、輸送機の機種に言及した記事を見つけられません。ベングリオン空港からどんな経路で飛んできたものなのでしょうか・・・
http://tokyo.mfa.gov.il/mfm/web/main/missionhome.asp?MissionID=43&
http://dyegigroup.blogspot.com/2014/12/0500893351_13.html
http://www.ga4u.net/2014/12/blog-post_17.html
http://teicc.in/
私は私はそれが非常に便利で知識豊富だと思うので、これは有益で興味深い記事で見つけました。
もし、お時間がおありなら・・・IDFが50人の要員と70t近くの物資を2機の輸送機で送り込んでくれたとの報道ですが、輸送機の機種に言及した記事を見つけられません。ベングリオン空港からどんな経路で飛んできたものなのでしょうか
http://www.kenhchungcuhanoi.com/2017/04/tay-ho-river-view.html
http://www.kenhchungcuhanoi.com/2017/02/eurowindow-riverpark.html