※CF-R3の近代化改修は順次継続しています。
アップグレードをお考えの方は、近代化改修シリーズを全て読まれた上で挑戦してください。
■レッツノート近代化改修1(純正HDD→大容量HDD換装)はコチラ 2007年3月
■レッツノート近代化改修2(CF-R3 HDD→SSD換装)はこの記事 2008年12月
■レッツノート近代化改修3(CF-R3 SSDプチフリ対策)はコチラ 2009年12月
■レッツノート近代化改修4 “最終型” (CF-R3 SSD→SSD換装)はコチラ 2011年6月
Let's note CF-R3。
軽量でコンパクト、長時間のバッテリー駆動、ファンレスによる静音設計、無線LAN内蔵など、いたっきいのニーズにはピッタリはまるサブノートです。長期・遠方への取材も考慮するとこれらの条件は必須ですので、手放せないパソコンです。
…が、さすがに登場から4年が経過すると不満も出てこようというもの。
そのひとつが、SDカードスロットがSDHCに対応していないこと。
そしてもうひとつが、処理速度が最新機種に大きく見劣りすることです。
そこで今回は、HDDをこれからが旬のSSDに換装し、アクセスタイムの大幅な向上に挑戦してみました。うまくいけば、軽量化、高速化、バッテリー持ち時間向上、耐衝撃性向上、完全無音の実現など、いいことずくめです。
ちなみにSSD(Solid State Disk)とは、簡単に乱暴に一言でわかりやすく表現すると、円盤が回転するHDDをメモリチップに代えたもののことです。最近は、1GBが300円以下になっているSDカードの価格にビックリしている方も多いと思いますが、こうしたメモリ価格の低下により、ハードディスクをSSDに置き換えようという試みも容易にできるようになってきました。
今回使ったのは、トランセンドの2.5インチIDE、64GBのSSDです。
SATA接続が主流のいま、IDE接続のSSDの存在はとても貴重です。
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Transcend 2.5インチ IDE SSD TS64GSSD25-M
今回は次のようにします。
・リカバリ領域(通常は不可視になっている)はコピーしない
・Cドライブを25GB、残りをDドライブ(データ格納用)に指定する
ではさっそく、換装しましょう。
★PCの分解・改造は自己責任です。
★失敗しても自力でリカバリーできない方は、参考にしないでください!
★CF-R3の個体差、SSDのロットにより、うまくいかない場合があるとのことです。
1.HDDのクローンをSSDに作成
現在のHDDの内容を、まるごとSSDにコピーします。
使用した Acronis Disk Director suite は、転送先ディスクの容量さえ指定してやれば、あとは自動でパーティションを作成してクローンを作ってくれます。
(HDDのリカバリ領域までコピーするには、リカバリ領域を一度「可視」に変更してから、SSDの領域の一番最後に格納し、その後、SSDの残りの容量にHDDの内容をクローニング。最後に、SSDにできたリカバリ領域を「不可視」にしてやればいい…と思います。)
クローニング中… 自動なので放置してるだけ
書き込み中
当たり前だけど、ノンスピンドルだからまったくの無音
クローニングが終了したら、電源を切ります。
2.筐体をバラす
※レッツノートの分解方法は、新型機導入即時改装 (CF-R8 HDD→SSD換装)をご参照下さい。
こちらはCF-R8のものですが、基本的な構造は似ています。
右下にある2.5インチHDDをSSDに換える
3.41番ピンをカット
さて、ここで通過儀礼?として、41番ピン折りという難関があります。
前回も書きましたが、CF-R3はHDDを3.3vで駆動させています。ところが、通常のHDDやSSDは5v動作。そこで3.3vのラインをカットして、5vのラインのみを残してやるのです。(…ということでいいのかな?)
※これまで取り付けていたHDD(東芝MK1031GAS)は、41番ピンを根元から折り曲げ、ソケットに挿さらないようにしていました。
Transcend SSDのIDEコネクタ
しかし、このSSDはピンがケースから飛び出していないため、他のピンを痛めないように41番だけを折るのは難しそうです。ほかに、パソコンの基板上のジャンパをカットする方法もあるのですが、こっちは失敗するともっと取り返しがつかないことになりかねません。
そこで、考えたのがコレ。
41番ピンとPCをつなぐフィルム基盤をカッターで切除
カットする部分はパターンが比較的大きく、デザインナイフであっさりと切れました。しかし、もしこれでうまくいかなかったら純正HDDには戻せませんので注意が必要ですので、無難にピンをカットするほうがいいかもしれません。また、このフィルム基盤はネットオークションなどで見かけることもありますので、予備を確保しておくのも手ですね。
※SSDはHDDと違い中にデリケートな円盤が入っているわけではありませんので、ケースを解体してピンを折る(もしくは曲げる)ことも可能です。
4.HDD→SSD換装
いよいよ換装です。
ノーマル(40GB)から交換してあった東芝MK1031GAS(100GB 4200rpm)をはずします。このHDDはデータ持ち運び用として今後も活躍してくれることでしょう。
左:SSD +5V 0.4A(80g) 右:HDD +5V 0.7A(99g)
並べてみると、大きさは同じですがSSDのほうが若干軽く、ラベルに表記してある消費電力にも違いがあります。換装後のバッテリーの持ちが楽しみです。
左:SSD 厚さ7.4mm 右:HDD 厚さ9.5mm
厚さにも約2mmの違いがありました。このまま取り付けてもいいのかもしれませんが、薄くなった分筐体内にスキマができますので、詰め物をすることにします。
ナイロン地でメッシュのシートを折って使う
シートを敷くことで放熱性が下がるかもしれませんが、SSDはほとんど発熱がない(と思う)ので問題ないでしょう。軽さと耐衝撃性を考えてこのシートにしましたが、SSDは衝撃には強いので本来は考慮する必要がありません。厚紙でもプラ板でもなんでもいいと思います。
シートは下に敷いている。うまく動作しますように…
5.筐体を組み立て
…る前に、CPU周りの熱伝導グリスが固着していましたので、新たに塗り直しておくことにします。アルコールを含んだティッシュで拭き取り、新たなグリスを塗っておきます。
固まっていた古いグリスを落としたところ
筐体を開けるたびに、グリスの塗り替えやホコリの吹き飛ばしくらいはやっています。気持ちの問題でしょうけど。
そんなわけで、完成です!
6.起動
電源入れるだけですがw
…おおお!速い! これはスゴイです!
で、実際に測ってみたのがこれです。
■測定結果(実測)
100GB HDD(MK1031GAS)→64GB SDD(TS64GSSD25-M)
【速度】
・起動~「ようこそ」画面まで:48秒→16秒!
・起動~デスクトップ表示まで:87秒→44秒!
・起動~砂時計アイコンが消えるまで:146秒→62秒!
・デフラグ(Diskeeper使用):90分22秒→45分49秒! ※データ量15.5GB(1年間デフラグせず)
■ベンチマーク(CrystalDiskMark2.2)
↓Transcend 2.5インチ IDE SSD TS64GSSD25-M
2009.12.4計測(換装から約1年後)
↓TOSHIBA 2.5インチ IDE HDD MK4025GASL(CF-R3純正)
※USB2.0でデスクトップ機につないで計測
■バッテリー持続時間
・LCD最大輝度、ボリューム100%、MPEG2をフル画面でエンドレス再生:141分→206分!
・LCD輝度50%、放置:240分→325分!
※比較は、クローンを作成した直後にHDDで実施、SSD換装後に同じ事を実施して計測しました。
結果、読み込み時間はほぼ2分の1に、
バッテリー持ち時間は約3割向上しました。
これほどコストパフォーマンスの高いパーツ交換はないでしょう。メインメモリを増設したとき以来…それ以上の成果でした。
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つい最近、USB3.0の規格が決まったというニュースが流れたとき、多くの人が「そんな高速の規格ができても、ドライブが追いつかないだろ」とのコメントを寄せていましたが、USB3.0製品が出る頃には当然SSDも普及しますので、転送速度も含めて外付けドライブでも大幅なスピードアップが実現しそうです。
2009年には、SSDなんて当たり前になるんだろうなあ…
【参考】
こちらのサイト(乾鮑厨師の美味求心さま)も参考にさせていただきました。
【追記】
※2009/02/23追記
SSDの構造上、デフラグの効果には疑問があるとのこと。特にWindows標準のデフラグは使うべきではないとの報告も見られます。
また、SSDは「空き領域のデフラグ」が効果的らしいという記述も見かけます。しかし、CF-R3を含めて4台のPCでSSDを使っていますが、特に問題もないようですので気にするほどではないと(個人的には)思っています。
※2009/10/01追記
プチフリがひどくなってきました。安くて実験にはちょうどいいこのSSDですが、これはは正直イラッときます。
現象としては、HDDアクセスランプが点灯しっぱなしで1秒~10秒くらいフリーズするというもの。まれに、1分くらい動かなくなることもあります。もはや「プチ」とは呼べません。
特に再起動した直後は顕著にでてくるので、なるべくレジュームを多用しています。フリーソフトの Defraggler で「空き領域のデフラグ」をしたところ、多少改善されたような気がします。
Defragglerのダウンロード→ http://www.defraggler.com/download
※2009/12/04追記
CF-R8GをSSDに換装、「空き領域のデフラグ」もやっておりますので、ご興味があればご覧下さい。
こちらのSSD(Intel)はプチフリも全くなく、非常に快適です。ただし、SATA規格ですので、IDE規格のCF-R3には使えません。
(新型機導入即時改装 (CF-R8 HDD→SSD換装)にまとめてあります。
※2009/12/14追記
SSDプチフリの原因ですが、コントロールチップによるもののようですね。見よう見まねでプチフリ対策をやってみたところ、効果が上がりました。また、SSDに負担をかけない各種の設定を試みました。
レッツノート近代化改修3(CF-R3 SSDプチフリ対策)にまとめてあります。
※2011年6月10日追記
TranscendのSSDは根本的にプチフリを無くすことはできません。そこでプチフリの全くない新たなSSDに換装しました。IDEの規格自体が古いモノですので、今後このようなSSDはあまり出てこないでしょうし、いつ販売が終了するかわかりませんので、できればコチラのSSDを早めに購入された方がいいと思います。
レッツノート近代化改修4“最終型”(CF-R3 SSD→SSD換装)にまとめてあります。
※CF-R3の近代化改修は順次継続しています。
アップグレードをお考えの方は、近代化改修シリーズを全て読まれた上で挑戦してください。
■レッツノート近代化改修1(純正HDD→大容量HDD換装)はコチラ 2007年3月
■レッツノート近代化改修2(CF-R3 HDD→SSD換装)はこの記事 2008年12月
■レッツノート近代化改修3(CF-R3 SSDプチフリ対策)はコチラ 2009年12月
■レッツノート近代化改修4 “最終型” (CF-R3 SSD→SSD換装)はコチラ 2011年6月
SSDも最近急激に安くなってきましたね。
でも、大容量化してもデータのコピーなどに時間がかかるのは不便だと感じました。なら、大容量ドライブは外付けでいいかな?と。
そこで気になっていたSSDにしてみました。
いまはまだ知らない人が多いSSDですけど、1年後に販売されているノートPCの半分以上がSSDになっていてもおかしくないですね。
もっと安くなれば、デスクトップ機の起動ドライブもSSDにしたいです。
…にしても、コメント早いなあw
SSD、とっても気になる存在です。
価格もだいぶこなれて来た感じですし来年には当然の様にノートPCへ載っかるんでしょうね。
まずはデスクトップの起動ドライブとして早さを体感してみたいかなぁ~
あ、物欲が騒ぎだした…w
もっとも、早さは数日で当たり前になってしまいます。遅くなるとイライラが募るばかりですが、早くなるのはすぐ慣れる…だから欲には際限がないのかもしれません。
SSDネタをあえて書いたのは、たとえば来年あたりにSSDが普及したとき「な、あのときに言った通りになっただろ」というのを残しておきたかったのかもしれません。自己顕示欲ですね。
いたっきいは、ケータイを94年から、デジカメを97年から、MP3プレーヤーを98年から、ハイブリッド車を2001年から使っています。それぞれ将来的には爆発的に普及するとは思っていましたが、SSDもその予感がしています。カーナビも、すでにメモリナビですよw
ぜひデスクトップに使ってみてください。人柱の存在は重要です!
こないだ、新田原の航空基地祭に行ったよ…って知り合いのマイミクさんの日記を読んでて…
「そういや、いたっきぃさん何やってんだろ???」
って思ったりしてたんだけど…(*^-^*)ムフフ
SSD、来そうですよね!
オイラ、昨年デュアルコアのDEODEO製PCを買ったら、今はクアッドコア?
いつまで経っても最新に縁がないようです…orz
でも、その前に岐阜とか築城とかw
ウチのデスクトップ、仕事用はデュアルコア、ビデオ編集用はクワッドコアです。同じクロックでも、フライトシミュレータを動かすとやはり滑らかさが違いますね。値段も違いますが…
私の場合、完全に最新というわけではないです。4年前のPCにSSDですから。よく言えば、大切に使う、悪く言えば、魔改造による延命措置です。
SSDにデフラグはあまりよくないようですのでご注意を!
それでは失礼します
ご指摘ありがとうございます。
そうなんですよ、よくよく考えてみれば回転ディスクでもないSSDにデフラグ自体が無意味なんですよね…
それどころか、SSD特有の書き込み制限?では結局損をするということに!
いたっきいもこのエントリを書いた後数日して気づきました。今ではフラグソフトそのものをアンインストールしています。
SSDの仕組みは理屈では分かってるつもりでしたが、これまでの常識に捉われていました。
ご指摘、ありがとうございました!
フィルムが2000円くらいとのことですが、
どこで買えるのか情報をお持ちでしょうか。Panaの窓口だと部品番号が分からないと買えないので…。
コメントありがとうございます。
本体とHDDをつなぐフィルム基盤ですが、品番のメモがどこかに行ってしまいました…(^_^;
新品にこだわらないのであれば、最も手っ取り早く入手できるのはネットオークションだと思います。ちなみにこの部品は、CF-R3、CF-R4、CF-R5で共通のようです。