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身体の景色 (karada no keshiki)

〜記録として〜 身体の景色カタリvol.1 当日挨拶文

【ご挨拶】

本日は身体の景色カタリvol.1へ
ご来場頂きまして誠にありがとうございます

芥川と太宰 両氏は時代を越え今尚幅の広い読者に愛され続けております
驚くべきことに文体未だ瑞々しく 主題が色褪せることもありません
両氏が掬い上げる 人間であればこそ宿さざるを得ない苦悩や業
またそれらを包み込む優しさ
(と言ってしまうと語弊があるかも知れませんが他に適切な言葉が思いつかず…)は
彼らが常に人間の 或いは己の弱さに寄り添い
筆を走らせていたからこそのように思えます

寺田寅彦は物理学者であり文学者
氏が漱石の勧めで初めて発表した随筆が「団栗(どんぐり)」となります
平明な美しい文体が 鮮やかな情景を そして夫婦の心の綾を立ちあげてゆきます

作品には時代を越えた苦しみや哀しみが描かれていると同時に
やわらかな希望が隠し添えられております
その添えられたやわらかさを希望と捉えるか否かは
読み手の心の在り方によると言えます

希望は祈りと同義
そして演劇の起源は祈り

パンデミック以降 顕在化した憎悪の混沌
その 僕らを闇に引き摺り込もうとする得体の知れぬバケモノと化したそれが
渦を巻き 今まさに世界を覆い尽くさんとしています
祈る(希望を失わぬ)重要さを噛み締める次第にございます

身体の景色は日本が育んできた自然観
またその自然観より生じた身体性 及び空間感覚を捉え直して参りました
それは呼吸と静寂が交わりゆく中に自然との融合を見る精神性であり かつ肉体です
僕らの仕事が微力ながらも上記バケモノを抑える一端を担うことができればと
日々稽古を重ねて参りました

各ステージ3本立て 上演時間は90分ほど
お楽しみ頂けましたらこれにまさる幸いはございません

今日こうしてお越し頂けましたこと またこのご縁に心からの感謝を
本当に 本当にありがとうございます



2021.12/24
身体の景色 主宰 オカノイタル
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