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ミケマル的 本の虫な日々

『喜べ、幸いなる魂よ』


『喜べ、幸いなる魂よ』 佐藤亜紀


 ゴールデンウィーク後半、お天気が悪く、旅の疲れもあって静かに過ごしていた間にこの本を読みました。
小説の楽しみの一つは、全く知らない何時か何処かの人や物語を知ること。
それが、実在であっても架空であっても。
この本は私の知らない18世紀のベルギー・フランドル地方に生きた天才の女性(ヤケネ)とそんな彼女を愛し続けた人(ヤン)のお話。
なので、知らない世界と知らない人の独特な人生を興味深く楽しむことができました。

 18世紀のヨーロッパというと、頭が良すぎたり才能がありすぎたりすると異常と思われがちだったり、さらにそれが女性だと迫害されたりする印象があるのだけれど、この小説の舞台であるフランドル地方は独特な気風があったようです。
ちょうど現代に至る科学的な考え方が起こってきた時代、そしてフランス革命などの社会変革が起こった時代。
そんな時代に科学的な興味だけでなく社会的な興味もある天才であるヤケネの孤高ではあるが孤独ではない生き方が私には気持ちよかった。
時代的に女性として色々な制約がある中でもたゆまず続ける彼女の強さ。
それを可能にしたフランドル地方と彼女の周囲の人々。
そして、普通の人であるヤンの人生も色々と辛いけれど愛おしく感じるのでした。
本の中に出てくるぺギン会というのも興味深かったです。

 著者の佐藤亜紀さんの本は初めて読んだかと思いますが、とても面白かった。
他の本も読んでみたくなりました。



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