毎年毎年この時期になると話題に上がる村上春樹ですが、この本を買ってみました。
『午後の最後の芝生』
村上春樹著 絵は安西水丸
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この短編は1982年9月の雑誌『宝島』に発表後、『中国行きのスロウ・ボート』に収録されたもの。
絵は1987年に雑誌に『午後の最後の芝生』の挿絵として掲載されたのが初出だそうです。
村上春樹と多くの仕事をした安西さんの没後10年なので、遺されたたこの短編の挿絵を入れた本が出版されたものだそう。
19歳の大学生の一夏の出来事を書いているもの。
長編もいいけど、村上さんは短編も好きです。
このお話は1980年代の感じがひしひしと感じられるし、村上さんらしい要素も詰まってるし、はっきりしない点がたくさんあるのも彼らしい。
それでいて、なんとも言えない没入感と浮遊感が感じられて引き込まれて読みました。ここから先はそれぞれで感じて考えてくださいっていう感じがある読後感。
そして、なんと言っても数ページごとに挟まれる安西さんの絵がすごく良い!
安西さんの絵はもともと好きだったけど、この本の中の芝生の絵にいちいちしみじみしてしまうのでした。
シンプルなのに、深く感じるのはなんなんだろうな〜
短編一つで作った作品と安西さんへの愛が詰まったような本でした。
そういえば、うちに『中国行きのスロウ・ボート』あるかなと思ったら、なかった・・
読んだのかどうかも思い出せない昔の本ですが、もう一度本全体を読み直したいなと思います。
ちなみに「中国行きのスロウ・ボート」はジャズの歌の題名です。
ジャズが好きな村上さんらしい本だな〜