

『武士道シックスティーン』&『武士道セブンティーン』
誉田哲也著
たぶんだいぶ前に評判?だった本だと思うのですが、今年映画化もされたと思う。シックスティーンの方が文庫になっていたので、5月に買って読んでみたら、すごく面白かった

セブンティーン、エイティーンと続くのだけれど、文庫化するまで待とうかなと思っていましたが、やっぱりセブンティーンを買ってしまいました。これもまた、面白かったですよ

一言で言えば、磯山香織と西荻(甲本)早苗の剣道をめぐる友情と戦いなのですが、ちょっと普通の青春物ではない。磯山さんはそうとう行っちゃってる剣道一直線の剣道おたく。宮本武蔵を生涯の師と仰ぎ、愛読書はもちろん


西荻さんは普通の16才だけど、なぜだかどんどん剣道が強くなる。この二人がぶつかりながら、だんだんお互いを認め合っていき、そのことによってそれぞれの剣道を磨き、成長していくのね

特に磯山さんは、こんな女の子居ないだろと思うけど(結構笑っちゃいます)、でもすごく面白い

一年が一冊で語られています。セブンテーンの方では、さらに武士道とは何ぞやなどという崇高な話にまで発展してきて、なかなか面白い展開になっています。これは、エイティーンも読まねばなるまい

男子だけど、全日本の剣道選手権などの試合をテレビでやっていたのをみていると、あまりに剣サバキが早くて、どっちが勝ったのかよくわからないくらいで、本当に剣道ってすごいものだなと思う。もちろん、女子の高校の剣道とはスピードも業もまったくレベルが違うんだろうけど、剣道というのは、スポーツとは大分違う何かがあるということは、おぼろげながらわかるな。それが、武士道なんだろうか

この本いわく(香織の父いわく)
「武者の生業は戦うこと、武士の生業は、戦いを収めることだ

磯山香織さんもわかったような、わからないようなという感じだったけど、私も良くわかりません


ちょっと前にこういう設定だったら、「女だてらに」とか、「女の子なのに」というようなニュアンスの発言をだれかが言うという場面があっただろうに、この本の中にはそういう発想がまったくみられないところが、物語自体の若いすがすがしさと同様に、とっても好感を持ったところかもしれません。
この作者は、ホラーサスペンス物で有名な人だったらしいです。そのジャンルはあまり読まないので、知りませんでしたが、始めて書いた人が一人も死なない小説らしい。それにしては、めちゃくちゃ読後感のいいしあがりになっちゃってます。もしかしたら、反動ですがすがしい話を書きたくなったんでしょうか
