ミケマル的 本の虫な日々

小説の解釈って?

 オリンピックを観ながら、市立図書館で借りた『村上春樹論 「海辺のカフカ」を精読する』小森陽一著 を読みました。保坂和志の『小説の自由』を読んでいる途中なので、同じような感じなのかなと思ったのですが・・・

 小森氏は、村上春樹の「海辺のカフカ」を細かく分析し、村上氏のこの小説に込めたと考える思想的、政治的な意図を批判しているのですが、小説を書いたり、読んだりするのは、そのような事なの?? たしかに、「海辺のカフカ」を読んだ時に、さまざまな疑問が浮かんできたので、その疑問を解釈したいと思いました。しかし、村上氏がどういう意図で書いたのかというよりは、自分がどう解釈するかということだと思います。小説を読むということは、そういうことではないでしょうか。

 小森氏はこの小説から多くの人が癒しを感じるのは間違いであると言っています。私は村上春樹の小説は、面白いと思うから読むのであって、思想や哲学をそこに求めてはいないし、「海辺のカフカ」が世の中のことを解決してくれる何かが書いてあるものだとは全く思わないので、もちろん癒しも感じなかったため、なにを批判しているのか良くわかりませんでした。しかし、こんなに真剣に批判される小説というのも、なかなか無いよなーと変に感心してしまいました。

 ということで、感想を書いておいてなんだけど、あまりお薦めの本ではありません。「なら書くな」と言われそうですが、あまりに違和感があったので書いてしまいました。もしも、興味を持ってしまった人がいたら、すくなくとも「海辺のカフカ」を読んだ後で、読んでみてくださいね。

 まだ途中ですが、保坂和志の『小説の自由』の中に、読んだ本について何かを書く(書評であっても、このようなブログであっても)ということは、純粋に本を読むということとは変化してしまう、と書いてありました。私の読書も変化してしまったのでしょうか?

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

コメント一覧

みけまる
たしかに
 コメントありがとうございます。
たしかに、『海辺のカフカ』は???な小説でした。でも、これまでの村上さんの小説は、ほとんどが?な小説なので、さらにバージョンアップしたなという感じがしました。
 唯一、解りやすい『ノルウェーの森』は、好きになれませんでした。私が個人的に好きなのは『羊をめぐる冒険』で、次が『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』です。
 『海辺のカフカ』は好きでも嫌いでもないけど、わけが解らないのに、最後まで結構面白く読めるところが、村上氏の小説のすごいところかもしれません。
 ぜひ読んで、感想を聞かせてください。
なち
受け取り方。
こんにちは。こちらには初めてコメントさせていただきます^^
作者のどういった意図が込められているかということと、読み手である自分がどう受け取るということ。このどちらが大切なのかはほんとうに難しいですね。
確かに作者の隠喩などを読み取ることで理解は深まることも大いにあるはずですが、違う視点から現れる自分の思いや考えも大事だと思います。
ちなみに私は「海辺のカフカ」は未読ですが、うちの母は読みました。
そしてその感想はといえば、「わけがわからない」でした。実のところ、多くの人がそんなような雰囲気勝負の理解の仕方、読みとり方なのかも?です…笑
大森さんの解釈も、勝手なことを言わせてもらうならば結局は色々な解釈の一つということになるんでしょうね。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「本」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事