ミケマル的 本の虫な日々

『メモリー・キーパーの娘』 10月の読書 その3


『メモリー・キーパーの娘』 キム・エドワーズ 宮崎真紀訳

 積読本の中の一冊だったけど、読み始めたらやめられないノンストップ本でした。
2008年に出版された本なので、そのころに買ったのだと思うけれど、なぜか積んどいたんですね。




 メモリー・キーパーって何だろう?、SFっぽい感じなのか?と誤解していたのだった。
実は全く違う、ある秘密を巡る夫婦、家族の物語でした。

 1964年の雪の日に出産したノラ。
雪のために到着しなかった産婦人科医師の代わりに子供を取り上げた整形外科医師の夫。
それまで気が付かなかったけれど、実は双子だった。
(今ではエコーなどですぐにわかることだけれど、当時はそういうことも多かったのかもしれません)

 その生まれた子供に問題があったためにとった夫の行動が、大きな秘密となって深い影を落とし、それからの夫婦や家族がその秘密のために歯車が狂ってくる。
今とは違う少し昔の医療事情や社会事情の中で進行するお話ですが、今でも同じように困難を感じる人もいるだろうなと思い至りました。

 その原因が何だったとしても、自分が相手に良かれと思ってした事が裏目に出てしまうということはよくあるし、それが近しい相手であればあるほど難しいことだなと思います。
夫婦であっても子供であっても、その人を一人の人間として信頼し尊敬していれば、勝手に良かれと思って人生を左右することをする事はできないはずだと思う。
それでも、人は判断を誤ることもある。
判断を誤ったら、すぐに修正しなくちゃと切実に思いました。

 当時のアメリカ社会では実際にこのような事例があったということから書かれた物語ではあるけれど、登場人物のそれぞれの心情がひしひしと感じられる優れた小説だと思います。
そして、登場人物がリアルに描かれているので、その行く先がどうなっるのか?が知りたくて、まさにノンストップに読み進めずにはいられませんでした。読後感もしみじみとしたものでした。
後に映画化もされたようです。

 こんなに面白い小説を読まずに10年以上も積んどいたってどうなのよ❗️と自分で呆れてしまったほどでしたが、もしかしたら今読んだから良かったのかもしれませんね。
積読本もやっぱり大切だな〜〜なんて思ったのでした🤗


 


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