蟹ブックス(高円寺)で買った2冊目
『優雅な生活が最高の復讐である』 カルヴィン・トムキンズ著
青山 南 訳
久しぶりにスタバ読書しました。
今日も今日とてめちゃくちゃ空いている山口の朝のスタバで。
今日はアーモンドミルクラテにしたら、美味しかった。
2冊持って行ったけど、『優雅な生活〜』を読了しました。
この題名の「優雅な生活が最高の復讐である」は英語では
Living Well Is The Best Revenge
古いスペインの諺だそう。
トムキンズがこの本の題名にしたことにより、このフレーズは有名になっていろんなところで引用、変化させて使われている。
私も題名だけは知ってたけど、本の内容は初めて読みました。
1888年生まれのジュラルド・マーフィーとその妻であるセーラの生活をトムキンズがこの二人から話を聞いて書いたルポルタージュ。
最初は1962年に雑誌ニューヨーカーに載せたものを1971年に本として刊行された物。
1915年に結婚して第一次世界大戦の後に2021年アメリカを離れてパリに渡った。
ジュラルドは絵を描くようになり、当時は全く人の行かなかった海岸リヴィエラを発見?して住むようになります。
フランスでの生活で、ピカソやヘミングウェイ、フィッツジェラルドなどの多くの友人知人をもてなし、文字通り優雅な生活を送るわけです。
二人はそれぞれの親の事業がアメリカで成功しているために裕福であり、特権階級だったけれど、それだけでない人生を楽しむ方法を知る人たちだったようです。
二人の魅力はジョン・ドス・パソスの「マーフィー夫妻といっしょのときはだれもが最高の自分になれた」という言葉に凝縮されると。
ただ贅沢な生活して友達と遊んでいたというだけでなく、ポリシーのあるスタイルで生活してたくさんの人をもてなしていたようです。
この二人はフィッツジェラルドの小説『夜はやさし』のモデルとされたことで有名だそうな。
この小説の中でのエピソードはフランスでのマーフィー夫妻の生活からとったものが多いそう。
しかし、初めのところは二人がモデルだけれど、話が進むにつれてそのモデルがフィッツジュラルドとその妻ゼルダに変わってしまっていて、そこは小説としても疑問視される点として指摘されているようです。
マーフィー夫妻は素晴らしくうまくいっているカップルだけど、性格も興味も違っていているようなのが面白いし、もしかしたらそれだからこそうまく行っていたのかも。
フランスで優雅に生活していたお二人だけど、3人の子供のうち息子2人が若くして亡くなり、大恐慌でアメリカに帰りジュラルドの実家の会社を立て直すという大変なことをすることに。
それでも、アメリカでも友人と交流しつつ金銭的にというよりは生活スタイルを築いてLiving Wellな生活したそうな。
順調な時だけでなく人生の困難にあっても、優雅な生活を送るというスタイルを貫けたのは、精神性を明るく安定させて保つってことなのかなと思ったのでした。
Living Wellを優雅な生活と訳したのはすごいなと思うけれど、人生の良い時も悪い時も自分の満足した生活をおくるように努力することが人生に対する1番の対処法なのかなと。
ある意味、映画「Perfect Days」も優雅とは言えないが、精神的に充足した生活という意味では同じようなものなのかも?とちょっと思いました。
ジュラルド・マーフィーの数少ない絵が最後に解説付きで載っているのですが、これが素晴らしくて驚きました。
すごい才能があったのに、本人は数年描いた後に筆を置いてしまったそう。
でも、絵を描いていた時代が一番幸せだったと後に語ったそうです。
この絵を見ただけでも、この本読んで良かったと思ったくらいでした。