山口県立美術館で開催中の「佐藤健寿 奇界/世界展」に行きました。
世界中を巡って、奇妙な物を撮っている写真家だそうです。120カ国以上を訪ねているそうな。
山口の紹介ページに詳しくありました。
写真や展示からは文化人類学的な視点を感じたけれど、そういう研究とは違うところからひたすら奇妙と感じたものを被写体として捉えた写真。
その中には自然もあり、人あり、風習あり、建物や景観あり、本当に多種多様な写真の中から、こんなにグローバルと言われているけれど、世界は多様性に満ちているなと感じました。
廃墟の写真、奇妙なテーマパークの写真、死者を送ったり葬ったりする習俗などには迫力のあるものが多かった。
しかし、私は様々な場所の人々の写真が心に残りました。
ロシア北部で紀元前から暮らすネネツの人々は極寒の地でトナカイを遊牧して暮らしている。衣服もテントのような住居もトナカイの毛皮で作られ、週に一度トナカイ1頭を絞めてビタミンなどの不足をその生の血と肉で補う生活をしている人達。
また、パプア・ニューギニアの聖霊の家で精霊として装っている少年。
民族衣装を着た少女。
そんな人々から発せられる存在感に圧倒されました。
あまりに情報量が多くて、ちょっと疲れたけれど、世界ってやっぱり広くて多様だし、私が理解できない色々なことがあるけれど、これらの多様性がこれからもあり続けて欲しいと。
佐藤さんの被写体を自分の見方で写すのではなく、そのままを写そうとしている姿勢のようなものが感じられ、それがストレートに響くように思えた。
また、写真と一緒に展示されていた国立民族博物館の民俗資料が効果的で、県立美術館の展示の工夫と説得力を感じました。
なんといっても、山口の展覧会は空いているのが嬉しい!
美術館としては困るとは思うけれど、平日に行くと本当にゆっくりと見ることができます。
次のクールはなんとジブリ展だそうです。
こちらは流石に混雑が予想されるようで、予約制になっていました。