ミケマル的 本の虫な日々

『グーグーだって猫である 』 大島弓子

 山口は昨日初雪が降りました。まだ、11月中旬だというのに、真冬の寒さです

昨日は山口スカラ座のレディースデイだったので、『グーグーだって猫である』を観てきました。内容は原作とちょっと違うところもあったし(原作のままだと、映画にはならないかも)、ちょっと印象がねというところもあったけど、内容よりも、映画の中に大島弓子の漫画がたくさん導入されていて、それがたまらなかったです。それから、吉祥寺が懐かしかった(大学から近かったから、よく遊びに行きました)。井の頭公園のゾウの花子さんはもう死んでしまったし、公園入り口の半分外の屋台のような焼き鳥屋さんもなくなってしまったらしいですが、大学時代にタイムスリップしてしまいました。

 導入されていた個々の漫画も、「アーあれだ」とか「ソーあれあれ」などと思いながら観たけど、出版記念会をしていた場面で出ていた『大島弓子選集』を見て、持ってる持ってる、ちょっと贅沢だと思ったけど買っといて良かった(今では絶版で、出版社がつぶれたらしく、中古でもほとんど買えないらしいので)などと思ってしまいました。家に帰ってから眺めて(全部並べると、背表紙が一枚の絵になっているのです)、にやにやしていましたよ(だいぶ怪しいやつですね)

 漫画のアシスタント役の上野樹里が、初めて『四月怪談』を読んで、泣くところがあって、そうなんだよね、そうなんだよねと激しく同意してしまいました。初めて読んだ時はもちろん、ストーリーを知っていても、再読すると必ず涙が出てしまう話がすごく多いのですよ、大島さんの漫画は。そして、その涙が悲しい涙ではなく、なんだか分からないけど泣けてしまう涙なのです。

 大島さんの初期の話は、恋愛や青春の痛みというような、少女マンガ的なものが多いのですが、だんだんと人間の心理というか、人生というか、漫画の域ではなく、上質な小説というようなものになっています。今はやりの癒しというものを越えていると思いますよ。橋本治は、「大島弓子をわかるということは少女であるということ」?というような事を書いているそうですが、たぶん本を読まない少女には分からないのではと思います。どちらかというと、本を読む大人の女性又は大人の男性に分かるような世界なのではと思えるのですが。(ここでいう本を読む読まないというのは、個人的趣味を指しています)

 本当に出会ってよかったと思う本はそれほど無いけれども、私には大島さんの漫画は、本当に出合ってよかった本の中のベスト3に絶対に入るものです。とうわけで、最近映画がらみで、大島弓子の漫画が店頭に見られるようになっているので、手にとって読んでみてくれる人が増えたら嬉しいと思います

 それにしても、山口は本当に温暖化してる?というような寒さです。

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コメント一覧

ミケマル
文庫で再版されてました
 大矢ちきの漫画を検索したら、文庫で再版されていました。今度読んでみよう

 大島弓子は数年前に、卵巣癌の手術をしてから、本格的なものは書いていなくて、闘病とその前後の猫との日常生活を書いているだけです。それが、今回映画になった『グーグーだって猫である』です。

 たぶん、体力的、精神的に、元のような消耗するような仕事はできないのでしょう。しかし、元気になったらまた書いて欲しいなと思います。

 『もやしもん』の新刊がでましたね。
tomomaru
大矢ちきしってます!
RYUSIN58様
大矢ちき知ってます
結構ファンでほとんど全作品読んでると思うけど
あの書き込みっぷりと特異な世界って印象的でした。
結構早く業界から消えましたよね
なつかしー

大島弓子は一作品に一フレーズは心に
ぐっとっくるフレーズがあっていいよね

全体が散文詩になっていたり
結末が予測できない
つくりになっているところ
あの繊細な描線が好きです

最近は綿の国星からはじまった
猫シリーズしか描かないのかな?

みけまる
コメントありがとう
 このブログは知り合いしか読んでいないので、コメントがあるととてもうれしいです。私も、いわゆるベストセラーはあまり読まないのですが、たまに読むと結構よかったりしますよね。今度立ち読みしてみます(笑)
 大島弓子は画風は少女マンガだけど、内容は結構哲学的です。ぜひ読んでみてほしいです。大矢ちきは思い出せないけど、どんな内容ですか?
 久方ぶりの退院生の会参加ですね。楽しみにしています。
Ryushin58
初コメントです
 10代の頃、よく妹の少女漫画を「盗み読み」していました。その中でも「大矢ちき」の独特な作風は今も心に残っています。なぜかこの人は忽然と漫画界から消えてしまいました。「大矢ちき」ご存知ですか?私のまわりは誰も知らないのです。
 話は変わります(笑)。
小学生の息子が『ホームレス中学生』を持っていました。ヒマだったので、何気なく手に取り読んでしまいました。普段こういう類のベストセラーにはまったく興味がないのですが、読んでみると、マジで面白かったので報告します。ただし蔵書にするほどのものではありません(笑)。
 文体が読みやすく20分もあれば読めます。「読みやすい文」を書くためには相当の技量を必要としますが、それだけでも著者はタダモノではないと感じました(もちろん編集者の手がかなり入っているのでしょう)。
 本書はそのホームレス生活の様子が話題になっていますが、実は全編にBGMのように流れているのは母親へのレクイエムでした。そのセンチメンタリズムと構成はややチープで、わたくしのような「ひねくれもの」には逆効果なのですが、しかし思わず涙腺が緩んでしまったことを告白します。母親やまわりの人達への「感謝」をキーワードにしている著者の生き方は、読む前のイメージとはまったく違った清涼感を与えてくれました。いやこれはなかなかの名作です。
 忘年会、参加します。楽しみ。
ミケマル
コメントありがとう
 コメントありがとう。『いちご物語』はちょっと哀しいお話でしたね。
私は葡萄が好きです。
 
K.H.
私は、ずーっと昔に読んだ「いちご物語」が大好きです。くだものの中でも、いちごが一番好きです。
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