沖縄・台湾友の会

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中国金融界に異変 銀行や企業の幹部たちが相次いで辞任  パスポートを取り上げ、海外渡航を禁止

2024-10-01 22:00:08 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)9月30日(月曜日)
     通巻第8435号
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中国金融界に異変 銀行や企業の幹部たちが相次いで辞任
 パスポートを取り上げ、海外渡航を禁止
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このところ中国金融界に異変が起きている。北京中央が国内金融業界への取り締まりを強化して状況下、銀行や企業の幹部たちが相次いで辞任しており、その数は1000名を越える。
いずれも「個人的な理由」で辞任したとか。

8月末。劉錦(中国銀行副会長)が突然辞任した。これが異常事態の発端となった。『辞任ブーム』は銀行、保険会社、証券会社、国有企業の会長、総裁、副総裁、上級幹部が含まれている。

9月18日までに、中央規律検査委員会は67人の高官を調査し、懲戒、党籍剥奪のリストを作成した。財務官僚高官らは中国共産党体制の内情に詳しく、彼らの辞任は経済に対する信頼低下と政治リスクの高まりを示している。

というのも個人的理由などでは辞任できず、中国共産党の承認が必要なのである。つまり辞任を申し出ても党が許可していない状態が過去ニケ月ほど続いている。かれらは金融システムの欠陥、本当の不良債権の数字、そして改竄された会計報告書、出鱈目な監査報告書に精通しており、中国共産党は彼らがこの秘密を持ち逃げする可能性が高い。

証券会社の中には行員にパスポートの提出を要求し、露骨に海外渡航を制限している。機密書類が海外に持ち出されるのを防御する目的がある。
中国共産党は金融部門における「反腐敗」の取り組みを強化している。これまでのところ、金融犯罪で最も重い刑罰を受けた一人は、中国招商銀行元頭取の田慧宇で、2月に賄賂とインサイダー取引の罪で執行猶予付きの死刑判決を受けた。田は中国共産党からも追放され、すべての個人財産を没収された。

 7月には海通証券の元副総経理が中国から逃亡した。
一か月後、彼は逮捕され、中国に強制送還された。中国経済の中心的な柱である金融システムは、長年にわたり、天文学的な国内債務、不動産バブル、シャドーバンキング、返済危機に悩まされてきた。


「グーグルの黄昏」(その2)  グーグル、アップル、Xなど米テック大手が直面する独禁法

2024-09-29 10:17:40 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)9月29日(日曜日)弐
     通巻第8434号
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 「グーグルの黄昏」(その2)
 グーグル、アップル、Xなど米テック大手が直面する独禁法
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 <本稿は小誌8404号(9月11日)の続編です>

 24年9月27日、トランプ前大統領はグーグルのインターネット検索サービス表示の偏向ぶりについて、「明らかな選挙干渉」として司法省に訴追を求めた。グーグルはトランプの「悪い話ばかりを表示するシステムを活用し、他方でハリス副大統領に関しては良い話だけを公開している」とした。
グーグルばかりか、フェイスブックもひどい偏向である。
 しかしバイデン政権下の司法省はトランプの要求を聞き置く程度だ。トランプは「大統領に返り咲けば、グーグルの訴追を最大限のレベルで要求する」と息まいた。

 情報戦争は広義には「認知戦争」である。
 共和党が多数派の下院では九月に四本のアンチ中国の新法を可決したが、五本目があった。それは「中国のメール影響力に対抗する基金合法化法」と呼ばれるもので351 vs  
36票で可決され、上院に送られた。
 この法は中国の認知戦争における悪影響、とくにネット空間で闘われている偽情報、攪乱陽動という情報戦に対応するために設立する基金を合法とする内容、下院は今後五年間で16億ドルの予算を要求している。

 情報戦争の現場では別の法定戦も展開されている。
 グーグルはアイルランドで630億ユーロ(約8兆1840億円)もの利益を上げていたが税金を逃れていた。
アイルランドでは最高税率が12・5%であり、そのうえ外国企業の投資には課税しないという取り組みで海外から投資を呼び込んできた。この税制は2020年に廃止された。

 4000人の従業員を抱えるグーグル海外事業拠点では457億ユーロ(約5兆9300億円)の収益を得ていたにもかかわらず2億6300万ユーロ(約341億円)しか税金を支払っていなかった。

米国にも似通ったシステムがある。バイデンの地盤デラウェア州には「デラウェア・ループホール」(抜け穴)と呼ばれる税制があって、無形の資産(商標、ライセンス契約など)の収入には税金が課せられない仕組みだ。このため多くの米企業はデラウェア州に企業登記をおこなって節税対策に活用してきた。


 ▼EUもグーグルに巨額の罰金

EU司法裁判所は9月18日、グーグルに科した約14億9千万ユーロ(約2300億円)の制裁金を無効とする判断を示した。
オンラインの広告市場で競合する他社の参入を阻害した行為は独占禁止法違反として2019年に罰金が科されていた。EU司法裁判所の判決では、EU側が参入阻害について十分に立証できていないと理由をのべた。

欧州委員会は、グーグルが新聞や旅行情報のサイト運営事業者に広告配信を提供するに際して独占的な条件を提示したことは問題であり、競合他社の検索広告の参入を阻害したと判断し、グーグル側が反論、提訴していた。

グーグルをめぐる裁判は多くの国で提訴されており、本家アメリカでも首都ワシントンの連邦地裁はグーグルが競合他社を競争から排除し、オンライン検索と関連広告の独占状態を維持する目的で、違法行為をしたとする判決を言い渡している(24年8月)
グーグルは検索市場のおよそ90%を支配しているため独占禁止法違反だとして方々で訴訟されている。連邦裁判所がくだした判決は、グーグルの親会社アルファベットにとって大打撃となると予想されている。

司法省はすでにグーグルに対し是正措置を検討中である。
ブルームバーグ(8月13日)によれば、改善策として、(1)グーグルが開発した基本ソフトウエア(OS)「アンドロイド」や、ウェブブラウザ「クローム」など、グーグルの主要事業を切り離す。(2)テキスト広告を販売するために使用しているプラットフォーム「アドワーズ」を売却する。(3)グーグルが保有する膨大な検索データを競合他社に提供するよう強制する。

2024年3月21日、米司法省はアップルを「スマートフォン市場を独占し、競争相手を抑圧した」として独占禁止法違反で提訴した。
司法省は、アップルがアイフォンのアプリストアの支配権を悪用し、顧客と開発業者を「囲い込んだ」と解釈し、他社のアプリを妨害し、ライバル製品の魅力を低下させるために違法な手段をとったと非難した。
アップルは「一連の変幻自在のルール」を利用したり、自社のハードウエアとソフトウエアへのアクセスを制限したりして自社の利益を増やす一方で、顧客のコストを増大させ、技術革新を阻害した」と提訴理由をのべた。

 EUの欧州司法裁判所は9月10日にアイルランドにおける税優遇問題で、アップルに2兆円の追徴課税を決定した。この巨額はアップルの年間利益の一割に相当するが、すでにアイルランド政府に「仮払い」として2兆3000億円を支払い済みである。
 グーグルもアップルも税制と独禁法でつぎつぎと提訴がつづいてきた。


 ▼マイクロソフトもアマゾンも独禁法の標的

 2000年にマイクロソフトが独禁法違反で訴えられたケースでは、会社分割は回避されたが独占状態是正のためパソコンメーカーが、マイクロソフトと競合するソフトウエア開発企業とも柔軟に契約し、マイクロソフトのOS上で提供できるようにする措置が導入された。マイクロソフトに対するこの措置により、グーグルのような新興企業の成功がもたらされたのだ。
 アマゾンやメタなどもあちこちで裁判が展開されているが、大手テック企業全体に再編などをうながし、さらに若い企業の誕生をうながす措置でもある。

 一方、波にのって大躍進のエヌビディアは24年8月に決算発表があって、売り上げが4兆2900億円、純利益が2兆3700億円とした。常識的に株価は高騰するはずなのに9月3日にエヌビディア株価は9・5%の急落だった。SECが独禁法調査命令書を出したとブルームバーグが報じたからだ。
 半導体の雄「インテル」は赤字転落、1万5000人の解雇を発表したが株価は26%の暴落となった。

 ところでXのイーロン・マスクだが、ブラジル政府の極左政権と対立が続いている。
 ブラジルの最高裁判所判事がX(旧ツイッター)を停止すると警告したことが発端となった。マスクはモラリス最高裁判事を「判事のコスプレを着た邪悪な独裁者」と呼んで攻撃を強めた。

ブラジル最高裁は「マスク氏が24時間以内にブラジルで同社の新しい法定代理人を任命し、未払いの罰金を支払わなければXを停止する」と脅した。
マスクは、主に言論の自由と偽情報をめぐって論争を繰り広げてきた。Xは8月17日、判事の「検閲命令」に基づきブラジルでの事業を閉鎖し、スタッフを解雇するとした。
Xにたいしてブラジルは330万ドルの罰金、追加で190万ドルの罰金を課している。


安売り通販で世界市場を席巻したTEMUは赤字では?      親会社のPDDトップは中国共産党に繋がっている

2024-09-28 23:08:54 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)9月29日(日曜日)
     通巻第8433号
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 安売り通販で世界市場を席巻したTEMUは赤字では?  
   親会社のPDDトップは中国共産党に繋がっている
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 米国下院情報委員会は「中国の通販TEMUと、その親会社(迸多多=ピンドゥオドゥオ=以下PDDと略す)のビジネスモデルと会社トップの人脈に怪しい点が多く、「国家安全保障と個人情報に関する懸念の高まり」を懸念する書簡を発表した。

下院情報委員会所属の共和党議員全員が署名した書簡は、クリストファー・レイFBI長官とゲーリー・ゲンスラーSEC委員長に宛てられた。
マイク・ターナー下院議員(オハイオ州選出、共和党)率いる議員らは、TEMUならびにPDD社を「貿易、奴隷労働、国家安全保障上の懸念の可能性」があるとして警告しているとし、その理由は同社の上級幹部が中国共産党とつながりがあること。同社のトップには中国共産党の国家市場監督管理局の元高官や上海市市場監督管理局の規制部門の元職員などが含まれていることを指摘した。

グーグルはすでに23年に「マルウェアが含まれていることが判明した。かれらのアプリにはグーグルが使われていたため、防御策を強制適用した」と広報担当者が述べている。

「上記の事件など多くのケースが報告されており、米国人の個人データ保護を懸念している」と下院情報委員会の議員らは書簡に記した。「議会のTIKTOKに対する行動と同様に、中国共産党、中国の国家安全保障法との関係を理解しなければならない」(つまりTIKTOK同様に米社への売却命令を出すとか?)

 これらの管轄はFBIとSECであり、TEMUならびにPDDの調査や中国共産党との関係、マルウェアの懸念に関して両社に情報開示を要求したかどうかについての質問もしている。

なにしろ1500円台の帽子が250円とか、3万円はするだろうと想定される時計が2000円とかの安値で通信販売をひろげ、日本、韓国、米国市場をまたたくまに席巻した脅威の存在である。裏があるに違いないと誰もが考えるだろう。

 謎はTEMUが注文1件あたり30ドルの損失を出していると推定されるからだ。「広告費と配送コスト(中国から米国への速達配送は1~2週間)は天文学的な額になる」と下院議会情報委員会の書簡が述べている。


鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2024年9月28日号) *石破新総裁の安保政策

2024-09-28 23:07:25 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2024年9月28日号)
*石破新総裁の安保政策
 9月14日号で私は「自民党総裁選は9人が立候補しているが、軍事の視点で見れば、次期総理として合格点を与えられるのは、高市早苗しかいない。なぜなら彼女だけが、非核3原則の見直しに言及しているからである。」と書いた。
 石破茂氏は昨日、自民党総裁に選出され10月に総理に就任する。石破氏は防衛通のように言われているが、彼が防衛大臣等を歴任した時代は2000年代初頭であって、中国の軍事的台頭はまだ問題にならず、防衛費は削減されていた時代であり、現在の安全保障環境とはまったく違う。

 石破氏はアジア版NATOの創設を主張しているが、NATOは集団防衛機構であり、集団的自衛権の全面的な行使が必須である。現在の日本のように集団的自衛権を1%しか容認していない状況では、アジア版NATOなどは、絵に描いた餅に過ぎない。
 また、氏は日米地位協定の見直しも主張しているが、日米安保条約は集団的自衛権を前提にしているにもかかわらず、集団的自衛権の行使を1%しか認めていない日本の現状で、日米地位協定の見直しを推し進めようとすれば、日米同盟に亀裂が生ずるのは必定である。

 9月14日号でも書いたが、中国が中距離核戦力を増強しつつある現状において、これを抑止するためには、米国の中距離核ミサイルを日本に配備する他なく、その為には「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核3原則の見直しが急務となるが、氏にその言及はない。
 はっきり言って石破氏の安保観は極めて危険であり、次期、石破政権で、日本の安全保障は危機的な状況に陥ることが懸念されよう。

 伽藍みーTUBEで、パレスチナ自治区ガザ地区の紛争について解説した。下記をクリック
https://youtu.be/sjPYUacnTLM?si=JWebeblQhL3UNgev

米下院「中国制裁法」を可決。台湾侵攻抑制が目的   共産党高官の在米資産凍結。入国禁止など即座に対応できる法源

2024-09-28 23:06:13 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)9月28日(土曜日)
     通巻第8432号
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 米下院「中国制裁法」を可決。台湾侵攻抑制が目的
  共産党高官の在米資産凍結。入国禁止など即座に対応できる法源
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 米国下院はまた「中国制裁」を主眼とする法案を可決した。
 9月25日、米下院は、「中国共産党(CCP)の専制と抑圧に対する制裁法案」を賛成243、反対174で可決した。反対に回った多くは民主党議員である

 これは「中国共産党阻止法」と呼ばれ、骨子は「中華人民共和国共産党全国代表大会の議員に制裁を課す」ことにある。中国共産党が「香港の自治権の侵害」、「台湾の人々に対する攻撃の激化」、「ウイグル族のイスラム教徒に対する弾圧と大量虐殺行為」の責任を負っているからである。

 米国大統領が「制裁対象行為」が行われたと判断した場合、中国共産党中央委員会、ならびに中央委員候補およそ360人が米国内での不動産の売買を禁止される。これらの指導的共産党幹部は米国への入国ビザを取得できなくなる。既存のビザは取り消される。
 共産党高官の在米資産凍結。入国禁止など即座に対応できる法源となる

「制裁対象となる行為」とは、「香港の自治権を侵害する」、「台湾の人々に対する嫌がらせ、脅迫、または攻撃の激化をもたらす」、「ウイグル族のイスラム教徒を含む中華人民共和国内の個人または社会集団に対する政治的抑圧、人権侵害」等となっている。

そうした政策の「策定または実施において重要な役割を果たす」行為を対象とする。つまり大統領が決断すれば、何時でも発動できる制裁手段が盛り込まれている。
下院通過の法案は既存の「台湾関係法の」重要性を繰り返し、その拡大版とも言えるだろう。米国は「台湾の人々の安全、あるいは社会経済体制を危険にさらすような武力やその他の形態の強制に抵抗する能力を維持する」とする基本姿勢を明確にしたのである

 今回の「中国共産党阻止法案」の可決は、中国共産党幹部を標的とした一連の法案に続くもので、党の宣伝機関の主張とは裏腹に、彼らの多くは米国に多額の金融資産を保有している事実がある。

なお、「中国共産党(CCP)の専制と抑圧に対する制裁法案」は上院に送られ、上院が可決すれば大統領が署名し成立するが、現在の米国上院は民主党が多数派のため、実際の成立の可能性は低いかも知れない。