沖縄・台湾友の会

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日本児童殺害事件以後、中国からの撤退が本格化     しかし今頃引き上げても手遅れである

2024-10-01 22:01:24 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)10月1日(火曜日)
     通巻第8436号   <前日発行>
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  日本児童殺害事件以後、中国からの撤退が本格化
    しかし今頃引き上げても手遅れである
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 外国企業の中国への直接投資は、ドイツを除き激減、とくに目立つのは台湾企業の集団的撤退である。くわえて反日活動家の日本人児童殺害事件が起こり、「生産拠点におけるリスク分散において常に最も優れてきた日本が、日本少年殺害事件を契機に、中国共産党の長期にわたる反日プロパガンダの影響状況に照らした結果、台湾に次ぐ外資の中国撤退の波を形成しつつある」(在米華字紙『博訊新聞網』、2024年9月29日)。

 米国有数のシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)は、「分断ではない多角化 ─台湾の産業は戦略地政学的リスクに対応している」とする研究結果を発表した。
「台湾企業の57.4%が撤退プロセスにある。中国本土から離れたか、撤退を検討している。2023年末時点で台湾企業610社へインタビューした結果である」。

 撤退理由としての回答順では(1)高すぎる人件費(33%)、(2)サプライチェーン中断の可能性(25.9%)、(3)投資政策の変更(25.2%)となった。一番の理由と想定された。安全保障上の憂慮は下位だった。理由の四番目が海峡両岸戦争のリスクに対する懸念(24.1%)だった。日本でも有名な「鼎泰豊」も中国市場からの撤退を発表した。

 台湾企業のなかには「撤退が遅れるとコストがかかる」という分析がある。これから撤退しても、基本的に手遅れである。一例として闇ルートを通じて人民元を海外に送金する際の手数料が3%から12%に上昇し、最近では20%を超えている。阿漕なヤクザの高利貸し並みの金利だ(ただし、これは金利ではなく手数料である)。

 中国共産党はまた、税務調査、土地使用調査、あるいは突然の規制変更などで身ぐるみはがそうと躍起であり、台湾企業の経営者の一部は事実上『夜逃げ』同然の逃亡をなして、身の安全を守った。

 進出初期には地方政府から安価な土地補助金があり、この制度を利用して進出したが、いまや不動産使用権を売りたくても売れない。工場施設の中古市場も壊滅しており、スクラップにするしかない。
 台湾企業の中国投資は最初、給料の安さだった。そのうえ台湾対岸の福建省は同じビン南語だから言葉が通じる。この時代、台湾へ行くと食堂に五、六人の経営者仲間があつまって、「中国に妾をおいているが毎月1万5千円だ。能率給を導入したらよく働く。台湾の人件費の十分の一でいい」などと自慢し合っていた。

 ▼台湾企業の中国進出は落とし穴だったのか

 台湾の大企業の本格進出は台湾プラスチックだった。筆者は同社本社に王永慶をたずね、「台湾併呑をいっている中国に進出して大丈夫ですか」と訊いたことがある。「中国人と台湾人は言うことと遣ることが違う。かれらの本心はよくわかるさ」と言っていた。当時、李登輝政権は海外への直接投資を5000万ドルが上限としており、台湾の世論は台湾プラスチックの本格的進出に慎重だった。

 そうこうしているうちに台湾企業、台湾と合弁する日本企業の進出が本格化し、台湾馬淵モーターのCEOに会うと「蘇州名誉市民に選ばれ、行くとパトカーが先導する」と言っていた。

 そして時代がまた変わり、奇美実業の許文龍までがパネル工場を大陸に建てた。許は台湾独立運動のスポンサーとしても有名だったから、社員を人質に取られ、「台湾独立に反対」の意見広告を台湾全紙に打たされた。李登輝は「許さんの心境は台湾人なら理解できる」と発言したものだった。

 過去30年間に台湾企業が25000社、日本企業の13000社が中国に投資した。中国の高度成長を支えたが、人件費もまた高度成長、加速度が付いて、台湾の人件費と並んだ。コストメリットは消えた。

23年、三菱自動車工業が撤退し、新日本製鉄も中国の宝山鉄鋼公司との20年間の協力関係を終了する。

いずれ「誰もいなくなった」工業団地があちこちに出現し「鬼団地」(ゴースト・インダストリアル・パーク)となる。

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