鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2021年7月16日号)
*自衛隊よ、シェルターを整備せよ!
中国の軍事チャンネルが「日本が中台紛争に武力介入すると言っているようだが、中国が「その場合は日本を核攻撃するぞ」と脅せば、介入を思いとどまるに違いない」という趣旨の番組をUPした。
この趣旨は多分に政治的なもので軍事的合理性はあまりない。というのも中国が日本を核攻撃した場合、米国がその数十倍の核兵器で報復するという核抑止体制が確立しており、中国の核攻撃は抑止されているからである。
つまり、中台紛争に日本が武力介入しても、中国は日本を核攻撃はできる筈がない。しかし通常弾頭を装着したミサイルなら攻撃は可能である。この場合、米国は核兵器による報復はできないのである。
現在、中国の中距離ミサイル数百基が日本に照準を定めている。核弾頭搭載可能だが、通常弾頭でも発射可能だ。5日に麻生副総理・財務相は都内の講演で「中国が台湾に侵攻したら日本にとっては存立危機事態だ」と言う趣旨の発言をした。
存立危機事態では自衛隊は米軍を防護する役割を負う。中台紛争に米国は介入すると明言しているから、中台紛争で自衛隊は出撃するわけだ。そこで中国の数千発の通常弾頭を装着したミサイルが日本国内の自衛隊の施設に降り注ぐことになろう。
ところが自衛隊にはシェルターがない。シェルターとは防空壕のことで戦時中は日本では軍の施設はもとより民間の家屋にも、あった。ところが今の自衛隊には殆どないのだ。中国のミサイルは精度が向上しており、通常弾頭でも自衛隊の施設を正確に狙い撃ちできる。
自衛隊の装備しているミサイル防衛もすり抜ける性能だから、自衛隊は開戦初日に壊滅すると言ってよい。自衛隊が米軍に提供できる最大の能力は実は戦闘能力ではなく、警戒監視能力である。
自衛隊の施設が破壊されれば、警戒監視能力も壊滅し米軍は東アジアの敵の航空機、潜水艦、その他の位置情報の大半が得られなくなる。台湾防衛のために出撃する米第7艦隊は中国軍からの攻撃の探知が遅れ、苦戦を強いられることになろう。敗北の可能性も否定できない。
およそ先進国の軍隊でシェルターがないのは日本だけだろう。韓国軍は立派な核シェルターが完備されている。自衛隊よ、今からでも遅くはない。シェルターを整備せよ。
(2021年7月16日号)
*自衛隊よ、シェルターを整備せよ!
中国の軍事チャンネルが「日本が中台紛争に武力介入すると言っているようだが、中国が「その場合は日本を核攻撃するぞ」と脅せば、介入を思いとどまるに違いない」という趣旨の番組をUPした。
この趣旨は多分に政治的なもので軍事的合理性はあまりない。というのも中国が日本を核攻撃した場合、米国がその数十倍の核兵器で報復するという核抑止体制が確立しており、中国の核攻撃は抑止されているからである。
つまり、中台紛争に日本が武力介入しても、中国は日本を核攻撃はできる筈がない。しかし通常弾頭を装着したミサイルなら攻撃は可能である。この場合、米国は核兵器による報復はできないのである。
現在、中国の中距離ミサイル数百基が日本に照準を定めている。核弾頭搭載可能だが、通常弾頭でも発射可能だ。5日に麻生副総理・財務相は都内の講演で「中国が台湾に侵攻したら日本にとっては存立危機事態だ」と言う趣旨の発言をした。
存立危機事態では自衛隊は米軍を防護する役割を負う。中台紛争に米国は介入すると明言しているから、中台紛争で自衛隊は出撃するわけだ。そこで中国の数千発の通常弾頭を装着したミサイルが日本国内の自衛隊の施設に降り注ぐことになろう。
ところが自衛隊にはシェルターがない。シェルターとは防空壕のことで戦時中は日本では軍の施設はもとより民間の家屋にも、あった。ところが今の自衛隊には殆どないのだ。中国のミサイルは精度が向上しており、通常弾頭でも自衛隊の施設を正確に狙い撃ちできる。
自衛隊の装備しているミサイル防衛もすり抜ける性能だから、自衛隊は開戦初日に壊滅すると言ってよい。自衛隊が米軍に提供できる最大の能力は実は戦闘能力ではなく、警戒監視能力である。
自衛隊の施設が破壊されれば、警戒監視能力も壊滅し米軍は東アジアの敵の航空機、潜水艦、その他の位置情報の大半が得られなくなる。台湾防衛のために出撃する米第7艦隊は中国軍からの攻撃の探知が遅れ、苦戦を強いられることになろう。敗北の可能性も否定できない。
およそ先進国の軍隊でシェルターがないのは日本だけだろう。韓国軍は立派な核シェルターが完備されている。自衛隊よ、今からでも遅くはない。シェルターを整備せよ。