沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

中国の国慶節とは共産党独裁開始記念日だ   世界各地で中国の圧政と弾圧に抗議集会やデモ

2024-10-04 10:26:54 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)10月4日(金曜日)弐
        通巻第8443号 
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 中国の国慶節とは共産党独裁開始記念日だ
  世界各地で中国の圧政と弾圧に抗議集会やデモ
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10月1日は中国の国慶節。世界中でも華僑等が慶祝行事を開催し、お祝いムードに包まれたかと思いきや。

アメリカでは香港の活動家たちがワシントンDCにある「香港経済貿易局」の前で、示威行進と情宣活動を行い、「(下院を通過した)『香港経済貿易局の特権と免除を剥奪するよう求める法』(略称「香港経済貿易局認定法」を上院も速やかに可決するようにと呼びかけた。
彼らは法案の背景を紹介し、上院議員に電子メールまたは電話で法案可決への支持を求めるよう訴えた。

当該法案は行政府に対し、ワシントン、ニューヨーク、サンフランシスコにある三つの香港経済貿易局が現行の特権、免責を延長できるかどうかを、法案発効後30日以内に認証することを義務付けている。

香港の李嘉秋行政長官は、「香港国家安全維持法を中傷し、香港の人権状況に対する信用を傷つけるものだ。これは国と特区の発展を抑制するための政治的目的であると考えており、米国が独自のやり方を貫けば、中国は効果的な対抗策を講じることになるだろう」と反論した。香港行政長官はいまや北京のあやつり人形だから、北京の言い分を代弁しているのである。

 舞台はロンドンに移る。
10月1日、反中国のデモと集会が開かれた。かれらは「旧王立造幣局」に集合し、「新しい中国大使館建設」に抗議し、同時に中国政府による人権弾圧を批判した。旧王立造幣局跡地が新しく中国大使館となる可能性がある。中国は「博物館」の建設を申請している。

 参加者は「民主主義がいかに脆弱であるかについての警告だ。民主主義を守るために行動しなければ、いかに簡単に(独裁者によって)侵入されてしまうか。大使館を拡張する計画は受け入れられず、中国の影響力を許すことはできない。中国が英国に深く浸透する前に最後のチャンスだ。英国政府はこの計画を阻止するために迅速に行動しなければならない」と口々に訴えた。

 2018年、中国政府はランドマークのロンドン塔の向かいの土地を2億5,500万ポンド(約3億3,800万米ドル)で購入している。しかし地元のタクン市議会は、2022年12月に「博物館を建設する」という中国の計画を全会一致で拒否した。
 2024年になって中国は当該市議会の拒否決定は「根拠がない」として再度申請を提出した。

 デモ参加者等は、「共産主義国が資本主義国にこれほど大きな大使館を建てるのは実際には不必要であり、また中国は国境に関係なく民族を弾圧している」と主張して、ロンドン市民の注目を集めた。


 ▼デモにはチベット人も参加

在留チベット人参加者は、「チベットにとって、この75年間は苦しみ以外の何ものでもなかった。多くのチベット仏教寺院は破壊され、精神的指導者たちは亡命を余儀なくされ、チベット国民は『基本的人権』を失った。
中国共産党の恐るべき弾圧、恐怖政治だ。世界で起きていることだ。我々は英国政府に対し、沈黙を続けず、この問題を無視しないよう求める」と訴えた。

台湾でも揉め事があった。
10月1日、在留香港人グループが台北市のMRT西門駅前で「反中建国記念日」の情宣活動の最中、『愛国者』を名乗る中国人夫婦が通りかかり、「解放」「香港、私たちの時代の革命」と書かれた旗を破損した。
清門町は東京で言えば浅草にあたる下町、多くの買い物客があり、また手頃な値段で産品を販売している。

この夫妻は入国書類に不備が多く、入国管理局と台北市警察は夫婦を逮捕し、滞在許可と出入国許可を取り消したうえ10月3日、強制送還の措置がとられた。
トンだ国慶節だったのである。

米議会下院は中国制裁法案のオンパレード   共産党幹部の在米資産凍結など強硬策がずらり

2024-10-03 14:44:01 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)10月4日(金曜日)
        通巻第8442号  <前日発行>
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 米議会下院は中国制裁法案のオンパレード
  共産党幹部の在米資産凍結など強硬策がずらり
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 米国議会下院は「バイオセキュリティ法」など、中国の脅威に対抗するための一連の法案を可決した。すぐさま中国政府が強く反発した。

9月9日、米議会下院は賛成306票、反対81票で、「バイオセーフティ法改正案」(HR8333)を可決した。主に米国連邦政府を制限するもので、上院に送られる。ただし上院は民主党が多数のため、可決見通しは薄い。

中国政府は、「断固とした反対」を表明した。中国外交部の毛寧報道官は「米国が中国企業に対して『差別的措置』を講じている」と非難し、「中国企業を不当に抑圧するためにさまざまな言い訳を乱用することをやめろ」と獅子吼した。

法案には中国企業名が網羅されていたため、当該の中国企業数社も声明を発表し、「米国の国家安全保障に対するいかなる脅威」も否定したうえで、法案の展開に細心の注意を払っていると述べた。中国関連企業の株価は大幅に下落した。

「バイオセーフティ法」は共和党の下院議員マイク・ギャラガー(下院中国問題特別委員会委員長=当時)が民主党議員のラジャ・クリシュナモーティと共同で提案されていた。時間がかかったのは米議会の仕組みと優先議題がさきにあったからで、くわえて中国側のロビィ工作も舞台裏で展開されていた。

主眼は国家安全保障上の脅威と認定された中国のバイオテクノロジー企業と米国連邦政府が取引を行うことを禁止し、米国の税金が関連企業に流れることを防ぐ契約を結ぶことを目的としている。

「外国の敵対者」という表現が盛り込まれた。とくに米国の機密医療データを収集している疑いのある中国企業を指す。

下院米中戦略競争特別委員会のジョン・ムーレナー委員長は、「私の同僚の中には、この法案に中国企業を名指しすることに疑問を抱いている人もいるかもしれないが」と注意を喚起しつつ「議会には国家安全保障関連法を制定する憲法上の義務があり、その中には国家安全保障に対する脅威となる『外国の敵対者』によって支配されている企業を調査し、その法律の中で名指しすることも含まれる。それらの企業は「BGI」、「MGI」、「無錫無錫AppTec」、「無錫生物製剤」など五社である。国家安全保障に対する容認できない脅威となる証拠は明らかである」と
採決前に演説した。


▼中国「軍民融合」戦略の一環、米国の国家安全保障に脅威をもたらす

「これらの中国企業は遺伝子配列決定とバイオ医薬品の先進企業で、中国の「軍民融合」戦略の一環であり、米国の国家安全保障に脅威をもたらすと考えられる。ゆえにこれらの企業と協力すると、米国の機密医療データが中国政府の手に渡る可能性が高い」とムーレナー議員は発言した。

とくに「無錫無錫AppTec」は2024年3月に、機密性の高い医療知的財産権を中国共産党の公式部門に譲渡したと米国の安全保障局が指摘していた。
「BGIより深刻なのは、同社が遺伝子配列決定とバイオテクノロジーにおいてファーウェイ企業と同等であり、中国共産党軍と協力していることだ。遺伝子配列決定技術がひとたび兵器化されれば、それが中国共産党によって利用される可能性がある」

同日、下院は「反中華人民共和国悪影響基金認可法」(HR 1157)を351対36の投票で可決した。
 これは夥しいフェイク情報との闘い、透明性の促進、汚職の削減、中国の経済行動やその他関連する事項への対抗など、中国共産党の世界的な影響力と闘うために、2023年から2027年まで毎年3億2,500万ドルの当該基金への支出を承認した。
 アンディ・バー下院議員は、「中国共産党の世界的な影響力の増大は、国家の主権と、我々が守ろうとしている『自由で開かれた国際秩序』を直接脅かしている」とし、「この法案は、我々に中国に対抗する手段を提供するものである」と述べた。

 米議会下院が9月9日に可決した中国制裁法は、「台湾紛争抑止法」(HR 554)、「中国共産党のドローンに対する抵抗法」(HR 2864) )、「経済スパイ防止法」(HR 8361)

9月10日に下院が可決した法案は、「孔子学院および中国関連団体に対する国土安全保障省の制限に関する法律」(HR 1516)、「香港経済貿易局認定法」(HR 1103)、「2024年米国農業を外国の敵から守る法」(HR 9456)、「2024 年米国電気自動車分野における中国の支配の終結」(HR 7980)などだ。

かくして全米に蔓延するアンチチャイナ風潮を背景として、米議会下院は中国制裁法案のオンパレードとなった。


部下の信頼も決断力も欠く石破氏        櫻井よしこ

2024-10-03 12:55:08 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
                 頂門の一針 7009号 

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 部下の信頼も決断力も欠く石破氏
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             櫻井よしこ
日本ルネッサンス 第1115回

自民党総裁選挙の票読みが進む。情勢は変化し続けるが、党員票で顕著な強さをみせるのは石破茂、高市早苗、小泉進次郎の三氏に絞られている。各メディアによる調査に共通するのは小泉氏の失速、石破氏の翳り、高市氏の躍進だ。

9月16日、『読売新聞』1面トップの情勢分析では高市氏が石破氏に、党員票と議員票の合計で123票の同数となり並んだ。見出しは「高市・石破・小泉氏競る」だ。高市氏の名前が一番上である。支持が同数の場合、優勢な候補者の名前を先に持ってくるのが報道の常道だ。

上位二者の争いが高市・石破両氏のそれになる可能性は低くないということだ。その場合、私は断然高市氏を推す。石破氏には日本の舵取りを託したくない。理由のひとつが拉致に関する氏の政策である。

この事案に関連して石破氏の選対本部の陣容からいやな感じが漂ってくる。長年、拉致被害者の家族の皆さんと共に活動してきた「救う会」会長の西岡力氏が語った。

「彼の選対本部には日朝国交正常化推進議員連盟(以下、日朝議連)の主要メンバーがそっくり入っています。まず、選対本部長の岩屋毅氏は2018年6月に日朝議連が再編された時の副幹事長です。選対本部の衛藤征士郎氏は日朝議連会長で、平沢勝栄氏は日朝議連幹事長代理です。石破氏本人も日朝議連のメンバーです」

右の陣容が意味するところを広く世の人々に知ってほしいと思う。日朝議連は長年、拉致問題解決の第一歩は東京と平壌に連絡事務所を置き、拉致被害者について調査することだと言ってきた。だが、拉致は北朝鮮政府による国家ぐるみの犯罪だ。日本人被害者一人一人をどこに住まわせ、何をさせるか、どう待遇するかは北朝鮮政府が決めるのである。

北朝鮮寄りの主張

北朝鮮当局は当然、拉致被害者一人一人の情報全てを把握しており、今も厳しい監視を続けている。日本人拉致被害者のことは調査しなくても彼らは全てわかっている。なのに、石破氏らは連絡事務所と調査委員会を立ち上げて調査せよと言う。北朝鮮の時間稼ぎの罠に自らはまり、彼らの意に沿う行動をしようというのだ。西岡氏が指摘した。

「石破氏らは統一戦線部工作員の影響を受けていると考えられます。統一戦線部は横田めぐみさんら8人の方が死亡したと言ってきた組織で、めぐみさんらを帰国させるつもりはない。日本側に8人は死亡と思い込ませるために、偽の遺骨まで送ってきた。めぐみさんらの奪還を諦めさせた上で、あと数人を日本側に返して拉致問題の解決としたい。その上で、わが国から膨大な額の援助を手にしたいのです」

石破氏は2018年9月の自民党総裁選挙における公開討論会で日朝間の「ストックホルム合意」(14年5月29日)に関して「(安倍政権が)これは信用ならないっていうことで、無視することになっちゃったわけです。そこから足がかりは何もなくなってしまったわけです」と、安倍晋三氏を非難した。

これがどれだけ北朝鮮寄りの主張であるか。ストックホルム合意の土台となった日朝平壌宣言を読めば分かる。平壌宣言は02年に小泉純一郎首相が訪朝し、金正日国防委員長と発表したものだ。

すでに広く知れ渡っていることだが、午前中の会談で金正日氏が拉致を認めなかった。随行していた安倍官房副長官が昼食時間中に、盗聴されているのを前提に、金氏が拉致を認めず謝罪もしないなら平壌宣言をなしにしてこのまま日本に帰りましょうと発言、すると金氏は午後の会談の冒頭で拉致を認めて謝罪した。

だが、この時の平壌宣言は肝心の拉致の件に全く触れていない。宣言に明記されたのは「国交正常化の早期実現」、日本側による「過去の植民地支配」への「痛切な反省と心からのお詫び」、日本側の「無償資金協力、低金利の長期借款供与、人道主義的支援等」である。

平壌宣言は拉致はなかったかのように位置づけ、日本が謝り、長きにわたって経済援助を続けていくということだけを謳った実に一方的なものなのだ。同宣言を基につくられたのがストックホルム合意で、それを安倍氏が「無視」したと、石破氏は非難したわけだ。

安倍氏が拉致被害者全員を奪還すると言っていることについても、石破氏は全員生存の確証はあるのかなどと迫った。安倍氏はこのとき実に的確に答えたと、西岡氏は振りかえる。安倍氏の反論はこうだった。

「日本人を拉致したのは彼らです。一体どうやって、何人拉致しているかという全貌は、私たちは分からない。はっきりと認定できているのは17人であります。死亡したという確証を、彼らは出していないわけです。日本側に渡した遺骨は偽物でした。ならば、政府としては、(全員が)生きているということを前提に交渉するのは当たり前じゃありませんか」

尊敬も評価もされない

石破氏に日本国の首相になってほしくないわけ、拉致問題解決の陣頭指揮など執ってほしくないわけは以上のとおりだ。

石破氏は安全保障に詳しい、信頼できる防衛大臣だったと評価する声がある。だが、自衛官らの間に正反対の評価を下す人々は少なくない。

03年、イラク戦争のとき、当時は防衛庁長官だった石破氏に仕えた幹部が語った。日本は輸送機C-130を3機派遣して航空輸送の任に当たることになっていた。ところが石破氏は防衛会議を頻繁に開いて細かい質問を繰り返すばかりで、トップとしての決断を下すのが非常に遅かったというのだ。

たとえば石破氏はC-130がバグダッドに着くまでに地上から攻撃を受けたらどうするのかと質した。自衛官らはミサイルや地上の火器による攻撃を自動的に察知し、攻撃を回避する手段を講じると答えた。機体の下に特殊な防弾盤をつけ、上部にはバブルウィンドー(半球状の窓)を設置してそこから攻撃を目視できるようにもした。

防衛オタクと言われる石破氏は午前中一杯、小さなことまで集中して質問する。自衛官は午後一杯かけて情報を整理して次の防衛会議に臨み質問に答える。だがまた同じことが繰り返される。

当時の幹部が言う。

「微に入り細に入り、質問はエンドレスです。それも悪いことではありませんが、指揮官は肝を据えて、最終的には自分が責任を取るという姿勢で部下の言葉を信じ、迅速に決断しなければなりません。石破さんはしかし、質問して質問して、疑って疑って決断しない司令官でした」

なぜ、そうなのかと問うと、「恐らく責任を取りたくないからだと思います」と幹部は答えた。

私の知る範囲で、防衛大臣としての石破氏を高く評価する自衛官はほぼゼロだ。自分の部下から尊敬も評価もされない人物に、国を任せるわけにはいかないだろう。



あたらしいNATOのトップは「トランプの理解者」?    移民に厳しい元オランダ首相が就任

2024-10-03 12:54:22 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)10月3日(木曜日)
        通巻第8440号  <前日発行>
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 あたらしいNATOのトップは「トランプの理解者」?
   移民に厳しい元オランダ首相が就任
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2024年10月8日、NATO新事務局長に就いたマーク・ルッテ、「米国大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利する可能性に対する懸念」を吹き飛ばし、同時に「ウクライナを支援し続ける」と発言した。
NATO新旧事務総長交替の儀式後の記者会見での発言である。
ロシアについては「クレムリンが無謀で無責任な核兵器使用発言をしてはいるものの、核兵器に至る差し迫った脅威はない」との見解を示した。

 このルッテ(元オランダ首相)は、ロシアがウクライナを侵略し、中国が軍事力を増大している時期にNATOのトップとなる。
前任のストルテンベルグはトランプとは対立的だった。トランプ前大統領は防衛費を十分に支出しないNATO加盟国を保護しないと脅し、ウクライナ戦争を終わらせるためにロシアのプーチン大統領と迅速に合意すると主張している。

だが、ルッテは「心配していません。私は両候補(トランプとハリス)をよく知っています。ドナルド・トランプ氏とは4年間一緒に仕事をしました。支出を増やすよう圧力をかけてきたのはトランプ氏で、NATOの防衛支出は増えています。米国大統領選挙の結果がどうであれ、私は両候補と協力できるでしょう」

 ルッテの印象といえば、芸術家タイプ、繊細な感受性の持ち主で、音楽家でもある。ライデン大學では歴史学を専攻、卒業後はユニリーバにつとめ、2002年に政界入りした。
オランダも多数政党乱立の連立政権が繰り返され、ルッテは首相として連立を主導したものの『政権基盤』は脆弱と言われた。ルッテは首相時代、自転車通勤で知られた。
移民問題ではやや厳しい姿勢で臨んできた。

総裁選出馬演説、抜群の高市早苗氏       櫻井よしこ

2024-10-02 09:33:40 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
                 頂門の一針 7008号 

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 総裁選出馬演説、抜群の高市早苗氏
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             櫻井よしこ


日本ルネッサンス 第1114回

9月9日、高市早苗氏が自民党総裁選挙に正式に名乗りを上げた。「サナエあれば、憂いなし。」の標語を背に熱を込めて語った90分はいかにも高市さんらしかった。

会見の内容は文句なしだ。経済安全保障担当大臣として所管してきた事案に加え、年来のキャリアの実績を十分に示して、すでに出馬を表明している候補者の中で群を抜いて充実した演説だった。

大きな流れで見ると、党員支持は相変わらず石破氏がトップ、進次郎氏が差を縮め、高市氏は微増でもう一息だ。小林氏は前回10%を超えていたが勢いに翳りが見える。

高市氏は政策を語り、質問に答える中で、自分の前に立ちはだかる石破、小泉両氏らの主張をひとつひとつ打ち消した。質疑応答でマイクを握った朝日の記者は政治資金不記載問題を問うた。朝日は、政治資金問題を「裏金問題」とし、不記載議員らの追及に執念を燃やし続けている。不記載問題を煽り続けるメディアに、当該議員をどう扱うかと問われた政治家は、ポピュリズムの流れの中で厳しいことを言いがちだ。その典型が石破氏である。氏は総裁になれば、不記載議員一人一人から自分が直接事情を聴き、
選挙で党が公認するか否かも厳しく吟味すると語った。

他方、高市氏は「自民党で既に処分済み」という全く別の見方だ。

「8段階の処分があるが、その中で非公認よりも遥かに厳しい処分が5人の方に下されている」

これは世耕弘成氏らが離党を迫られ、西村康稔氏らが党員資格停止処分を受けたことを指す。高市氏はこうした一連の措置を非公認よりも遥かに厳しい処分と見た。その上で、「党内で議論を積み重ね、調査をして、決着した処分を、総裁が代わったからといって、卓袱台返しすることは独裁だと思います」と明言した。正論であろう。

小泉氏の間違い

同じ朝日の記者が夫婦別氏問題についても質した。高市氏の回答はまたもや冴えていた。同件については6日に小泉氏が立候補会見の中で総裁就任1年以内に別氏制度を認める方向で法案を提出し、党議拘束なしで政治家一人一人の考えを重視する旨、語っている。それに対して高市氏は以下の一連の事実を指摘した。

令和3年12月の内閣府の世論調査は、夫婦同姓を維持した上で旧姓の通称使用を法整備するのがよいとした人が42.2%、今のまま夫婦同姓制度を維持すべきだ、が27%。合計69.2%、約7割の人々が戸籍上の姓は夫婦も子供も同じがよいと考えていることを示した。今年7月のTBSの調査でも、旧姓を通称としてどこでも使えるように法制化すべきと望む人が最も多く47%だった。

一連の事実関係を紹介した上で高市氏は自身が総務大臣として手がけた法改正も含めて、自民党政権が成し遂げた成果を列挙した。住民基本台帳、マイナンバーカードでは戸籍上の氏と旧姓の氏の両方が併記され、旧姓も使える。運転免許証、パスポート、印鑑登録証も同様だ。現在314に上る国家資格で旧姓が使えないものはゼロだ。

小泉氏が出馬宣言で語った「旧姓では不動産登記ができない」との主張に関して、高市氏は「できます」と正した。小泉氏は今年4月に法改正されたことを知らなかったのだ。

高市氏はそれ以上は言わなかったが、小泉氏の「研究者の方については論文や特許の取得時に、戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できない」とする発言も間違いだ。現実社会において旧姓で論文を書いている研究者を、私は複数知っているし、他にもそういう人は少なくない。このような基本的間違いを、小泉陣営が事前にチェックできていないこと自体、懸念すべきだ。

小泉氏は、夫婦別姓が日本社会にもたらす根本的な変化についてよく考えるべきだろう。夫婦が別姓で、子供も別姓、さらに孫の世代になればより多くの姓が加わりそれらが別々になる。一体自分のご先祖様はどなたなのか、と混乱しかねないだろう。これが本当に子供のための選択肢、多様性なのか、二児の父となった小泉氏が願う子供の幸せの形なのか、私は疑うものである。

同問題は日本人の家族のあり方に関わるものだ。欧米諸国でふえているからといって、安易に制度を変えてよいわけではないだろう。戸籍上の同姓によって不自由を感ずる人がいれば、それを改める法整備をすればよい。社会の大多数の人々がそれでよいと言っている制度そのものを変えるのには慎重であるべきだ。いわんや、1年以内と区切って断行するのは日本社会の分断を招く。

世にいう人たらし

高市氏の1時間にわたった出馬演説は経済、安全保障、対中外交などおしなべて納得のいくものだった。氏の話を聴きながら、私はどうしても綺羅星の如く安倍晋三氏の周りに集った人々のことを想わずにはいられなかった。安倍氏は学者、自衛隊員、ジャーナリスト、官僚、政界における同僚や先輩、経済人など、どの分野の人からも、どの世代の人からも敬愛され信頼された。氏の周りに集った、各分野において傑出した人々は、無私の協力を惜しまなかった。そうした周りの人々が安倍氏の戦略、戦術をやり遂げる実戦部隊となった。
安倍氏はひたすら意思を強く保ち日本の未来について前向きに考え続けた。それが周りの人間のやる気の源となっていた

総理補佐官を務めた今井尚哉氏は、自分もチームアベもいつも1年、2年、あるいはもっと先までのカレンダーを念頭に置いていたと語る。この法案をきちんとした形にするには、いつ迄に内容をまとめるのか、いつ与野党間の交渉に入り、いつ迄に合意を得るのか。国会提出、法案成立の時期、そのために必要な審議日程などをきめ細かに計算する。

タイミングと同様、陣容づくりが非常に大事だ。法案は誰を軸に組み立てるのか、事柄、その目的を深く理解している人が中心にいなければならない。アベノミクス推進の時の浜田宏一氏、安保法制の小松一郎氏、皇室問題の山埼重孝氏などがすぐに連想される。安倍氏はこうした人材を天性の魅力と信念で魅きつけた。いつも相手を信頼し、基本的に朗らかだった。一言で言えば安倍氏は世にいう人たらしだった。

政治の方向性は指導者が自らの価値観、哲学で決める。が、指導者が該博であるだけでは政治は動かない。指導者の功績は、同じ志の、優れた人材を集め、彼らの能力を結集できて初めて現実となる。

高市氏は自分は同僚、先輩、後輩議員らとの交友を深めることが苦手だと告白する。その点を変える気はもうないのだろう。それでも私は氏の政治哲学を実現してより良い日本を作るために、氏の周りに集う人材を大事にしてほしいと願っている。