沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

「宮崎正弘の国際情勢解題」

2020-01-16 10:49:06 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和弐年(2020)1月16日(木曜日)
         通巻6341号   
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 習近平がミャンマー訪問、13億ドルの「手土産」(?)
  チャウピューの港湾プロジェクト、最終決着か。スーチーと会見へ。
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 2020年1月17日、習近平主席はミャンマーを訪問する。
 目的はシルクロード構想(一帯一路)の目玉プロジェクトのひとつ、チャウピュー港湾整備事業(免税工業特区建設など)で、スリランカのハンバントタ港、パキスタンのグアダル港、そしてバングラデシュのチッタゴンの浚渫工事請負、モルディブの無人島開発など、「借金の罠」作戦の一環と考えられ、とりわけインドが警戒を強める。

 チャウピュー港は中国へ向かうガスパイプラインがすでに敷設されており、雲南省の昆明と結んでいるが、地中にパイプラインが埋められているので、現場へ行っても運転手の指摘があるまでわからなかった。

 チャウピュー郊外に広がる広大な土地(台地のような農業地帯と山林)はすでに中国が買い占めており、大きな看板と事務所のビルが建っていた。
しかし工業団地や港湾などの工事を始めた様子もなかった(2018年初夏の頃)。けたたましくも勇ましい掛け声だけで、実態がないことを筆者は当時レポートした(拙著『日本が危ない!  一帯一路の罠』、ハート出版を参照)。

 工事の遅れはラカイン州の地政学的要衝において、チャウピューが適切か、それとも北のシットウェイ港のほうが適切かを判断しかねたこと、スーチー政権が最終的な態度を示さなかったことなどだった。

 ラカイン州は、ロヒンギャが集中して住んだ地域であり、仏教過激派がイスラムのロビンギャを追い出し、かれらはバングラデシュに逃れた。その数最低でも70万人、国連の援助でテント生活が続いている。

 このロヒンギャの難民問題で世界のメディアが騒ぎ、ミャンマーは国際的孤立を深めていたうえ、当初示された中国のプロジェクト予算があまりにも膨大で、総額70億ドルをミャンマーが最終的に支払えないことが明瞭、したがって13億ドルへの減額という決定がでるまでに時間を要したのだ。

中国は、ミャンマーが国際的孤立に追い込まれた隙間に、忍び込むようにしてスーチー政権に近づき、昨年は王毅外相がネピドー(首都)入りして、最終案を煮詰めていたのである。ミッソンンダム建設中止で冷却化していた中国とミャンマーの緊張関係は、突如、友好関係に変貌した。
1月17日からの習近平訪問は、段取りがついたからとみるべきで、手土産は13億ドルの港湾開発である。


 ▼赤い資金と軍事支援はアジア諸国にとっては魅力なのだ

バングラデシュ(昨師走)とスリランカ(2019年六月)へプロジェクトの決定前に中国はフリゲート艦を寄贈している。
ならばミャンマーへは? 同国の政治実権はスーチーにはなく、軍が握る。軍が賛同する背景に何らかの軍事的な装備の贈り物があるはずだろう。

地政学的に見れば、南シナ海からマラッカ海峡を抜けてカンボジアのシアヌークビル港はすでに中国の「領土」然としており、ミャンマー(チャウピュー)からバングラデシュのチッタゴン、スリランカのハンバントタ港はすでに99年間の租借が認められ、中国の軍港に化けている。
つまりアンダマン海からベンガル湾を扼する軍事態勢が中国基軸に変貌した。

さらにインドの南端を北西に舵をきればモルディブ、そしてパキスタンのグアダル港。その先がホルムズ海峡、紅海ルートでは入り口がジブチ(すでに中国の軍事基地)と、いまや歴然と中国の軍事力突出地帯となってしまったではないか。

そして、このシーレーン防衛を表看板に、中国は一日800万バーレルの石油輸入と、マラッカを経由しないでもパイプラインで近道ができるミャンマーのパイプラインが完成、パキスタンとも新橿ウィグル自治区のカシュガルへと至るガスパイプライン、石油パイプラインの二本のルートがまもなく完成する。

台湾総統選 大陸も照らす民主の灯台

2020-01-16 10:43:27 | 日記
随分前の話だが、「李登輝総統選挙」の時、偶々飛行機で隣の席に座った台湾人と話した折


「李登輝さんは、当選しますかね?」と訊いたら「大陸も含めて選挙しても当選する」と自信を込めて言われた言葉が、今も忘れられない。



【view point 池永 達夫  2020/1/14(火)台湾総統選 吹いた蔡旋風(上)】

台湾総統選は現職の蔡英文総統が、過去最高の817万票を獲得し再選を果たした。しかも投票率は75%という高さだ。台湾の民主主義の結実でもある今回の総統選の結果は、台湾併合を狙う中国への牽制(けんせい)球になった。ただ、中国が柔軟路線に転じることはない。台湾海峡の波はこれから高くなりこそすれ、なぎになることはない。(台北・池永達夫)

台湾の総統は、元首であり陸海空軍の(統帥権)を持つ最高権力者だ。

 その総統を人々の一票で選ぶ直接選挙こそは、台湾の民主主義を象徴するものだ。これこそが大陸・中国にはない台湾の資産でもある。

 共産党一党独裁の中国では、権力の正統性が欠落していることから、指導者に力がなければ長老政治になりやすく、力があれば強権統治に陥りやすい。いずれにしても待ち受けているのは権力の機能不全だ。

 その意味では、台湾は中国に対する灯台だ。

 その灯台には、中国共産党政権の闇を照らし出し、台湾の自由と民主主義を守り、さらなる高みへと導く役割が課せられる。

 東アジアではいまだ冷戦は終わっていない。共産主義国家は中国だけでなく、ベトナム、ラオスもそうだ。民主化したはずのカンボジアでは言論機関が駆逐され、野党も亡命を余儀なくされている。自由を意味するタイですら、似たような状況がある。民主主義の後退が顕著なのが東アジアでもある。

 その意味では台湾の民主主義は、東アジアの灯台でもある。

 この灯台を守ることは同じ島国であり、自由と民主、人権などの価値を共有する我が国の責務だ。

 自由で開かれたインド太平洋構想を国策とする我が国にとって、台湾との関係強化はその要となる。

 台湾は大航海時代の波に洗われ始めた4世紀半前から、外来政権に翻弄(ほんろう)され続けてきた悲しい歴史がある。オランダやスペイン、清国、日本、中国などからだ。

 その台湾で2000年、初めて自立を党是とする野党・民進党が総統選挙で勝利した。

 だが陳水扁政権の弱点は、立法院を国民党など野党に握られるという「ねじれ現象」と後ろ盾となる米国にそっぽを向かれたことだ。

 ところが今回は、懸念された「ねじれ現象」は回避された。再選を果たした蔡総統の前に議会が「前門の虎」にもならず、米国が「後門の狼(おおかみ)」にもなることはない。むしろ蔡総統が振ろうとしている自由と民主の旗に風を送っているのが現状だ。

 風を頼りに世界の海を渡っていった大航海時代同様、時代の風をしっかり読み込んで歴史的使命を果たす役割が台湾にはある。

 オランダ人が台湾を発見した時、「フォルモサ」(美しい島)と叫んだ。

 台湾には21世紀に、「民主の灯台」として光輝く役割がある。それでこそ人々から「フォルモサ」の賛辞が与えられる。
https://vpoint.jp/world/asia/151040.html