中原中也 「サーカス」
幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾風吹きました 幾時代かがありまして 今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り 今夜此処での一と殷盛り
サーカス小屋は高い梁(はり) そこに一つのブランコだ 見えるともないブランコだ
頭倒(さか)さに手を垂れて 汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
それの近くの白い灯が 安値(やす)いリボンと息を吐き
観客様はみな鰯 咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら) 夜は劫々(こふこふ)と更けまする 落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルヂアと ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
ジンタのリズムにのって、迷宮の世界に誘ってくれるサーカス小屋。幼い頃へのノスタルジアへ知らないうちにご招待。甘美な匂いに抱いたエロス。入り口で声張り上げる呼び込みのお兄さんも、今ではイケ面ピエロが手をとってお出迎え。サーカス小屋の今昔物語。
六文銭(まるで六文銭のように) サーカス
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