ジロがゆく

なんとなく生きてます

花だより

2021-02-26 23:06:05 | 日記
 この時季の花はなんと言っても山桜。
 ふるさとの山桜は既に満開だそうです。


童心の陽に照らさる花だより



 昔、京都北山の芹生峠から芹生の里を経て花背峠への山道を歩いていたとき、道端にサクラのひこばえを見つけたことがあります。不心得は承知のうえでそれを抜き取って持ち帰り、鉢に植えました。2~3年後だったか、初めて数個の花が開きました。ごく小さな、可憐な花びらでした。正確な樹名がわからないので、豆ざくらと呼んでいました。その後、枝も増え、花の数も増え、お気に入りの鉢になりましたが、引っ越しの混乱の中で枯らしてしまいました。その後、同じ桜をみることはありませんでした。
 ふるさと鹿児島の霧島連山の西端、栗野岳がさらに西の方へなだれ落ちるあたりの山腹に天然記念物のエドヒガンザクラの巨木がポツンと立っています。その花が上記の豆ざくらによく似ていて、いっぺんに気に入りました。遠く車を走らせ、3回見に行きました。その都度、ひそかにひこばえを探しましたが、見つかりませんでした。その巨木のそばにこれもまた大きなエドヒガンが立っていましたが、それが先の樹の子であるか、きょうだいであるかはわかりません。いずれにしろ、小さな花弁をつける山桜は稀少な種類なのでしょう。
 山桜は開花と同時に新しい葉も開きます。この時季になると、脳裏に、西と東の山奥で小さな赤い新葉がチロチロと萌え出すというイメージが浮かんできます。

山桜紅の新葉に異境の火




 京都渡月橋の左岸にさくら餅を商う古い小店があり、亡妻とよく立ち寄りました。妻お墨付きのお菓子でした。

さくら餅亡妻立たせる渡月橋


 ただ、これを食べるとき、初恋の少女に食べさせてやりたいという思いがチラと頭をかすめることがありました。妻に内緒にしていたことはいうまでもないでしょう。

桜もち初恋遠き熾の火の





アラ炊きの骨にも灯る薄日あり


       


花便り花より先に書いて置き


       

最新の画像もっと見る